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47.尾行

ママルが1人で、街中で震えていた男に声を掛ける。

「あの、大丈夫ですか?」

すると突然、ナイフを突きつけられた。

「か、金を出せっ、持ってる分!」


「わっ、だ、出します!」

ママルの演技は下手くそだが、相手はそんな事をまるで気にせず、

差し出した小型銀貨2枚をふんだくる。

「こ、これで、全部か?!」

「全部ですよ~~!!」

ママルはそう言いながら、逃げるようにその場を後にし、ユリ達と合流した。


「よし、これで後は尾行するだけだで」

「確かにシンプルですね」

「ふぅ、じゃ行こっか」


コソコソと後を付いていくと、そんな3人に、男の3人組が声を掛けて来た。

「おい女、獣くせぇぞ、奴隷の趣味が悪ぃ」

「……………」

「おい!俺らと遊ぼうぜっつってんだよ、なぁ?1人でこっちこいよ」

「ちっ…うるさいのう」

ユリは一瞥もくれずに言葉を返す。


「んだと!このクソアマが!」

そう言いながら、男たちは刃物を構えた。


「≪サークル:魔法円範囲化≫≪コーマ:昏睡≫」

攻撃魔法は敵との距離が近いため、万が一仲間に被弾したら困るので、一旦避けた。

(とりあえず寝かしたけど、モンスターか調べて、当たりだったら殺した方がいいのかな…)


「曲がった、いくぞ」

「はい」

「お、おう」



男は入り組んだ路地裏へと入っていく、街灯も随分減って来た。

「私は、屋根伝いで上から見ます」

「頼んだ」

テフラが家の屋根の上へと消えていく。


そのまま尾行を続けていたら、男が歩いて行った方向とは別の家の中から、

怒鳴り声と叫ぶ声が聞こえて来た。


「オラァ!死ねオラ!全部出しやがれ!舐めやがって!!」

「やめてくれ!!もう無いから!!!」


「ユリちゃん」

「行ってこい」

「気を付けてね」


ママルは声のする家の方に駆け出す。

声の聞こえる方を頼りに近づくと、ドタンバタンと暴れているような音も聞こえる。

(ここか?)


だが、一軒の家の中に入ろうとした時、音が止んだ。

(遅かったか?!)

焦る気持ちで2階へと駆け上がると、そこには返り血で赤く染まる女が立っていた。


奥には、震えている少女と、それを庇っている青年。

女の横には、男の死体が横たわっている。

(どういう状況だこれ?)


女は、ママルをジッと見つめてから口を開いた。

「…あ、あなたも…違うのね。良かった」

「な、何が?」

「…こ、これ、消したかったのよ、ね?」

女はそう言いながら、手に持ったナイフで男の死体を指す。


「まぁ、その、モンスターだったらね…」

「モンスター?…あっ、その、蛆虫をそう呼んでいるのねっ」

「蛆虫…」

(なんか、異様だ。アプライを唱えたい、が、この距離で大丈夫だろうか)


「…ぁ、あの、それじゃぁ…」

「ま、待って!」

女は背を見せて、窓から外に身を乗り出した。

「≪アプライ:鑑定≫」


●モンスター:人間:スイーパー Lv82 スキル:検眼 魔覚 その他詳細不明

モンスター化している


気がつくと、女の姿は見えなくなっていた。

(アプライ間に合った…、てかモンスター?!あれで?!)


「………えっと、君達は、大丈夫?」

隅で震えている2人に声を掛けると、青年が声を絞り出すように返事をする。

「あ、あぁ…」


一応この2人もアプライで確認したが、不審な点はなかった。

だが青年の方には殴られた痕が目立つ。


ママルは頭部装備を外しつつ話しかけた。

戦闘時はフル装備でも、人と話すときには顔を出す、もはやママルの習慣になっている。



「これ飲んで、傷が治るから」

そう言ってポーションを渡すと、

青年は恐る恐ると言った感じで、ポーションに口を付けた。


「どう?」

「な、治った!すごい!」

「良かった。それで、ちょっと話を聞きたいんだけど…」


話してみると解る、この街で初めて会った正常な人間。

1週間か2週間か、正確には解らないが、気づけば街の人々がおかしくなって、

親もどこかに行ったきり帰ってこない。


死体すらもはや見慣れているほどで、

この兄妹は、今はひっそりと家の中で息をひそめていたところを、

男に押し入られ、食料を隠し持っていたのに気づいて激昂したらしい。


おかしくなってる人は、フラフラと虚ろな状態が続き、そのあと凶暴になる。

そして、あの女は夜に出没し、凶暴になった人を殺して周っているらしい。



「その女の人の事は何か知ってる?」

「あの人は、メイリーさんだよ…特に親しかった訳じゃないけど……、

前に食事処で働いてたのを見た事がある。口数が多い感じじゃないんだけど、

丁寧で、少し抜けてて、看板娘だって。近くに住んでる人は皆知ってると思う。

でも、なんて言うか、全然雰囲気が違う…。あの人はあの人で、なんかおかしいって言うか…」


「なるほど…、ありがとう」

(この子達、どうしよう、置いていくのも、連れて行くのも不安だ。

早くユリちゃんの所に合流したいが…いや、あの女は、モンスターだけを狙って殺してるような感じがした………それなら、この辺りはもう安全なのか?いや、それより、ユリちゃんと俺で交代するべきか…?)


「あの…お姉ちゃん、ありがとう」

(…………お姉ちゃん…?…俺か!)

と妹の方が発した言葉に反応が遅れる。


(多分この子より俺の方が小さいのに…、何かちょっと嬉しいな。

いや、嬉しがってる場合じゃないだろ)

「い、良いんだよ、その、2人はここで隠れていてね、絶対に迎えに来るから、安全な場所に連れて行く」

「安全な場所なんて、あるのか?」

「まぁその辺りの段取りは追々話すから、俺はもう行かなきゃ。

あ、俺がママルで、あとユリかテフラって人が来るまで、絶対隠れておくんだよ」

「わ、わかった…気を付けて…」

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