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105.その後

街には、黒魔術師達やサイクロプス、ミノタウロス等の大型亜人種のコープスもいて大混乱に陥っていた。

だが聖騎士達や、ローゼッタがスカウトした、ママル達を含む者達の活躍により、

民間人への被害は極々少数で抑えることが出来、全ての敵を殲滅する事が出来た。


その戦いが終わる頃には、朝日が昇り始めていた。



翌日、城の死体の片づけを手伝いながら、その多くを≪アプライ:鑑定≫で確認していったが、特に目新しい情報は得られなかった。


更に2日後。昼過ぎ、ママルはローゼッタに連れられて、ラディアスと言う名の貴族の隠れ家へやって来ていた。

その家の一室で、拘束されたヴォヌエッタ王が錯乱している。


そんな王に≪サニティ:正気持続≫を唱えると、徐々に正気を取り戻す。

加えて、片っ端から様々な解呪を試みると、≪ハルス:幻覚≫や≪シンカー:思考低下≫等、いくつかに手ごたえがあった。

これから暫く、定期的に通って治療に協力して欲しいとの事だ。



更にその家の地下には牢屋がいくつかあって、そこにオスレイと、もう1人の男が拘束されていた。


城内を片付けている時に見つけて、気を失っていたこいつを拘束し、回復の魔法をかけていたらしい。

目覚めたのはつい先ほどだ。


「ちょい、こいつ呪術師ですよ。色々情報を吐かせたいですが…」

ママルは、相手が呪力を纏っている事を、気づけば感知出来るようになっていた。

自分がいつも扱っている力だからだろう。他の魔力や気力については、まだうまくはいかない。


「まぁ、そうなのだろうと思ってはいたがね。だからわざわざ回復させてでも生かしたし、その上で牢の中にいれて、ママル君1人を連れて来たのさ」

「なるほど…。でも、危ないし、殺した方が良い。

転移系の魔法とか使われたら、拘束とか無意味ですから」



ママルとローゼッタの会話を聞き、ペンタスは焦って答える。


「ま、待ってくれ!!俺はモンスターじゃない!ちゃんと反省する!!してる!!」


「………今から、お前の能力を見る魔法を使う。スキルだとか、そう言った物の情報だ。ただ、隠そうと思われていると見れない。全部を明かせ。1つでも隠されていたら殺す。どっちみち死体になれば、全部見れるからな………」

「わ、わかったよ…お嬢ちゃん、おっかねぇなぁ………どうぞ…」

「チッ……≪アプライ:鑑定≫」


●人間:呪術師:ペンタス Lv103 スキル:呪詛 平疹不 満疹不 不体苛 不心苛 怖厭避 快厭避 etc

呪術師集団 ワールドバースの一員だった。自身が受けた多大なストレスを、呪術として発散する術を身につけた。

呪耐性(中) 弱点:蛙



「……か、隠してないぞ…何も」

「そうみたいだな……。いや、折角だ、お前らの事について、教えて貰おう」

「い、いいぜ、何でも答える…」


「モンスター化について、どうして知ってるんだ」

「デテリオって奴から聞いたんだよ。そういう仕組みがあるって。

あいつがどうやって知ったかは、知らない」


「……そうか。…お前のスキル、どういう効果だ?俺にはスキル名しか解んねぇ」

「…えっと、呪術師は、基本的に、得意な分野みたいなのがあるんだ、俺の場合は、それはストレスだった。体とか、心とかに対して、色んな形でストレスを与えることが出来るんだ。えっと、他の場合だと、俺が知ってる中だと、デテリオなら衰退。ドローニなら水没。クァダバルなら死体とか使ったり…。

俺が知ってるのは、こいつらくらい…」


「他の呪術師については知らないのか…。じゃあ………、

お前らが使うスキルは、詠唱がちょっと変だよな、アレは?」


「えっと、呪術魔法は、基本的に3段階に分けられる、まず、≪呪詛≫を宣言、呪いってのは、相手を恨む力だけど、

例えば初見の敵を恨むなんて事は出来ないだろ?だから、まずこれだ。

次に、ここが一番色々あんだけどさ、呪術の内容に関わる部分。

俺なら、例えば≪不体苛≫だと、体に不快なストレスをかけるんだ。

そして最後に、≪順転≫や≪反転≫なんかを追加する。

これは、この世に溢れてる呪力を絡めとるための呪文だ、

不体苛に反転をつけると、関節や筋肉が逆に動くような力が加わる。みたいな感じ。…………えっと、伝わってる?」


「なんとなくな…」

「えっ!ちょっと!解んないから殺すとかナシだぜ!!!!」

「……なんでお前らは、同じような奴らで集まってんだ」

「集められたんだ!えっと、なんつったかな……いや、待ってくれ、誤魔化してるんじゃないぞ!!ほ、ほんとに…、その、俺自身はデテリオから声をかけられたんだけど…。そういえば、デテリオは?どうしたんだ?流石に逃げられたか…」

「殺したよ」

「ま、まじかよ…、ど、どうやって…。あいつの呪術はトンでもねーんだぜ!

近づく人とか、魔力だとか、運動エネルギーとか言うのまで、ぜーんぶ一瞬で衰退して、なくなっちまうんだ」

「……普通に魔法で殺した」

「は?!…おっ!…お前は……?」


「いいだろ、話を戻すぞ…お前は、いつから呪術師なんだ?」

「…えっと、何年前だったっけかな……、いや、その、ワールドバースに入った時はもう呪術師だった。黒魔術師からクラスアップする奴が多いらしいけど、俺は最初から自力で成ったんだ。けど、気づいたら成ってたからなぁ」


「ふむ……お前らは、何がしたいんだ、あんなことをして…」

「…正直、わっかんねぇ。ただ、俺には出来たし、その才能を認めてくれたし、稼ぎになった、だからやってただけだ…」


「クァダバルは、世界を手に入れるみたいな事言っていたが?」

「お!あいつ知ってんの?!」

「…殺したからな」

「そ、そうか……。まぁ、俺達は、恨まれるようなことをしていた。その自覚はある…。特にあいつは…俺も嫌いだった…けど…」

「けど?」

「いや…悪ぃ…なんでもない」

「殺されて、ショックか?」

「………この分じゃ、ドローニや街のグリッチャー達も死んでるだろ?知り合いが、皆死んじまったなって。思っただけさ」



「………グラスエスにコープスを差し向けてるのはなんでだ」

「えっと、…なんだったかな…あの、神殿が、悪魔召喚に邪魔だって。

確か、中になんか隠してるから、それを出すんだって」

「……つまり、お前らは悪魔を召喚したい、って事じゃないのか…?」

「あー、確かに、そうなるな!」

「お前は、悪魔を見た事は?」

「まぁ、一応あるよ。なんだっけ、アレ……。そう、低級悪魔っつってた。

今は、低級しか出せないから、神殿が邪魔だって話よ」

「…なるほど。辻褄が合って来たな……」


「いや、合うも何も、全部正直にしゃべってるってば!!」

「低級って、どんな奴だった?」

「アレだよアレ。スライム」

「あ?!!」

「他にも色々いるみたいだけど、俺が見た事あるのはスライムだけ」


(アレが悪魔だって?いや、確かに、不思議な事じゃない。

そうか、ずっと昔から、何かの理由でこっちに召喚されて、

だから皆知ってるみたいな感じか…?)



ママルが思案していると、ローゼッタが口を開いた。

「グラスエスには、今コープスの他に誰が居るんだい?呪術師は?他は知らないと言ったが」

「詳しくは解んねぇけど、少なくとも1人は呪術師がいるんじゃねぇかな…、死体が出たら、コープスにする必要があるし…。

あとは、お前らの方が詳しいだろ。自国が奪い取ったんだろ?」

「まぁ…、そうだね……。では、最後に聞いておくが、貴様はなんで城で倒れてた。誰にやられたんだい?」

「………爺さんと戦った。そんで俺は負けたよ。爺さんを殺したかどうかは解んねぇ…。まだ生きてるのか?」

「………………亡くなったよ」

「……そっか…」


「城が復旧されたら、貴様はその地下牢に移す、その後、法にのっとった刑に処されるだろう」

「お、俺は…、結果論だけど、ここヴェントでは、その爺さんしか殺してない。信じて貰えるか、解んねぇけど」

「………ヴェント以外では?」

「………………………あるよ。俺は、アイフ村の出だ。全員、殺した」

「…………なるほど。後ほど、詳しく聞かせて貰おう」



それとなくアイフ村の事をローゼッタに尋ねると、

数年前に、村民全員が謎の死を遂げた村だと言う話だった。


(殺しを楽しんだって雰囲気じゃないな…。こいつにも、色々あったって事か…)




「ママル君、他に聞きたい事は?別に今日限りと言う訳では無いし、

何か思い出したら言ってくれたら良いんだが」

「とりあえず、大丈夫です。それと、ペンタスにあまり危険を感じないので、

ユリちゃん達も呼んできて、オスレイの話も聞きたいですね」

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