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104/182

102.交代

「≪ブルーム:乱花≫」

「≪エイジス:蕾冠≫!!!」

メディウムの攻撃から、ローゼッタは皆を守る様に光の盾を展開した。


「テフラちゃん!これ!」

「いえ……私は…ポーションが効かないので…」

「そ、そんなっ!」

「でも、大丈夫です………」



――――メイリーが目覚めるのを待っていた時。


ママルはアイテム袋から1杯のウイスキーを取り出した。

小さいグラスに入ったそれは、たった一口で飲み干せそうなくらいだ。

そして同時に、雑貨屋で買ったスキットルへとウイスキーを流し込む。

するとグラスは霧散して消えたが、スキットルへ入ったウイスキーはそのままだった。


「前に一回ポーションで試したんですけど、こうやって移しておくことが出来るんですよ。まぁ、そうじゃなきゃそもそも飲むことも出来ないんだろうけど」

「へぇ。その能力、ホントに不思議ですね」

「で、これ、テフラさん持っといて下さい」

「私がですか?」


「なるほどのう。確か、お主の飲み物はポーション以上の効果があるとか言っておったな」

「そうそう」

「キツい酒であれば腐りはせんだろうし、魔法薬耐性も関係ない可能性があると」

「そゆこと!よく解ったね」

「な…なるほど……」


「今後、俺の飲み物は、出来るだけテフラさん用にとっときます」

「そ!そんな!私だけ特別扱いみたいな…」

「いえ、魔法薬耐性を考えると、絶対そうした方がいいですから」

「だな」

「………あ……、ありがとう…ございます……」


テフラはそう言って、スキットルを自身のベルトへと着けると、

ガバッとママルにくっついて、その胸にグリグリと頭を擦り付けた。


「わっ!ちょ!」

「…………な……、撫でて下さい」

「えっ………」

「…駄目ですか?」

「……い、いえ……」


ママルは遠慮がちに、テフラの頭を撫で始める。

すると、テフラの尻尾はブンブンと振られていた。



――――――



(勿体ないなぁ…でも、絶対今飲むべき、ですよね)

スキットルを煽り、ウイスキーを一息で飲み干す。

「くぁっ!!~~~~っ」

(キッツいお酒!!!お…美味しい…、いや、そうじゃなくて…)

「ホントに治った…。行けます!」


3人がかりとなれば、流石にこちらがずっと優勢だ。

だが、ハイクラスが3人でかかっても捌き続けるだけの力がメディウムにはあった。リミッターが無い事から常に100%の力で動き、多少のダメージは物ともせず、感情がない事から遠慮もなく、疲労も感じないためだ。


徐々にまずメイリーの体力が尽き始めて、押されて来た。

(このコープスは状況がよく見れている。強い上に賢い。更に体力は無尽蔵…。

くそっ……。私も、ちょっと、酔いが……)


「ハァッ!ハァッ!…父さん!…もう、良いでしょう!どうか、安らかに…、眠って!お願い……ッ」


その時、一瞬メディウムがたじろいたのを、テフラは見逃さなかった。

「ローゼッタさん!もっと話かけて下さい!!声は届いてます!!

例え感情はなくとも!きっと記憶はあるんですよ!!」


「!!父さん!私だよ!!ローゼッタだ!!解らないかい?!」

「グ………ゥゥゥゥ………」

「父さん!!お願い!!…もう…」

「ガアァッア!!!」


メディウムは、足元の床を思い切り踏み砕き、穴を空けた。

そこからまるで逃げ出すように穴に飛び込むと、ゆっくりと歩き出す。


「お、追わせてくれ!」

ローゼッタがそう叫んで、その穴に続こうとした時。



「あ~~っれ…、ドローニちゃんは?どこいった?」


「お2人とも!新手の呪術師です!」

現れた男の姿を見てテフラが声を上げると、ローゼッタはメディウムの後を追う事を中断し、3人は改めて距離をとる。


「…女の呪術師の事かい?……それなら、そこの壁の穴から落ちていったよ。

多分魔力も尽きてたから、死んでるんじゃないかな……」

「………おい、落下死て…、それじゃぁ!グッチャじゃねぇか!!!

使えねぇじゃねぇかよぉぉ~~~!!!」

「ッ………!!!」

(なんだ…この魔力……こいつは……ッ)


「ローゼッタ、それに、乳のでけぇお前、良いな。死体は綺麗に処理してやるぜぇ」


自分へ意識を割かれていないと思った瞬間、テフラは一気に間合いを詰めようと駆け出すが。

「待って!!!!」

メイリーの叫びを聞き、後方に飛び2人の横に戻る。


「お~~、よく気づいたな。綺麗になんて無理だ、全員グッチャにしてやる」

「2人とも…。あいつが纏っている魔法、なんか、異様だわ、絶対近づかない方が良い……」

メイリーは≪検眼≫で把握したスキルの性質の雰囲気を伝える。


「くくく、衰亡のデテリオ、押して参る。なんつって」

すると、デテリオはスキルを唱えるでもなく、ズカズカと歩き3人に近寄って行く。


「ヤバい!!!離れましょう!!!」

「かっかっかっか!めっちゃビビってるゥ~~!!」


「≪クレセント:来晄≫!!」「≪巣蜘血≫!」

2人のスキルはどちらも、デテリオへ到達する前に朽ち果てる様にして消滅した。


「無駄だって!私が展開している呪術の前には、全て無駄だぁ!大人しく死ねよぉ!」

「デテリオ様!!」

「チッ、おっせぇよ、お前ら、前行け」

デテリオは、駆けつけて来た黒魔術師の3人を顎で使う。

「前衛…ガゾンは居ませんが…」

「おい……オイッ!!何口答えしてんだよ!!」

「す、すみません!!」


3人は、前に出るためにデテリオの横を通り過ぎる。

だがその時、最もデテリオに近かった1人が倒れ込んだ。

その皮膚は剥がれ落ち、肉は変色し、骨にヒビが入って行く。

「あっ!あああ゛あぁッ!!あああああ!!!」

「あ、わり、解除してなかったわ」

「た!助げで!!助けてくだざぁい!!」

「うるせぇ!!」


デテリオは、その頭蓋を踏み砕いた。

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