表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

103/181

101.銘々

――ママル達が突入して数分後。


「……そろそろか」

オレットがそう言うとほぼ同時に、各所の聖騎士隊が民家に向かって声を上げる。


「我々は聖騎士隊です!!皆様!!今夜は家から出ないように!!

鍵を厳重にかけ!絶対に外に出ないようにして下さい!!」


街中の各所に配置された13隊は、何れも同様に声を張っている。

「そこの!今すぐ家に帰るんだ!自分の命が惜しいならば!」



オレット達が受け持っている大通りは深夜でも多少賑わっていて、

外を歩いていた民から様々な疑問を投げかけられるが、聖騎士隊の信頼は厚い。

そのため、殆どの者は言われるがまま帰路へとついて行った。


「我々の動きに感づいた者が動き出すかもしれない、コープスが現れなくても、警戒を怠るなよ」

「ハッ!」


オレットの声に部下のサリサは応答するが、スカウトされたメンバーは未だどこか不安げだ。

普段は傭兵を行っている剣術士と魔法士、

そしてコルセオでの闘技大会に出場していた槍術士が、サリサの後ろに控える。


それから10分もしない内に、街中から悲鳴や怒声が聞こえてきた。

「出たようだな。来るぞ、構えろ」

「クソッ、お前ら、やるぞ…」「あぁ…!」「楽勝だろ…」


公園広場、聖堂、民家、飲食店、下水道、あらゆる場所の地下から、

ゾロゾロと亜人コープス達が湧いて出て来た。

コープスに与えられている目的は、ただ目の前の生き物を殺す事だけだ。


「マジで腐ってやがる!ゴブリンにコボルトに、オークまでいやがるぞ!」

「まず俺が魔法で牽制する!!≪ファイアスロー:炎投≫!!!」


痛みを感じないコープスを燃やしても意味は無いが、

顔を炎に包ませ、視覚、嗅覚を奪う事が狙いだ。

前方を歩くコープスの足が止まり、大群の行進は乱れた。

すかさず剣術士と槍術士が首を刎ねて周る。


「よし!行けるぞ!」

「あぁ!!」


「後ろからも来てます!」

「そっちは私1人で良い!サリサは3人を援護しながら、囲まれない様注意を払ってくれ!」

「ハッ!!」


(他のチームも、うまく立ち回っててくれよ…)




――――




「コープスが動いている?!」

(と言う事は、ドローニかペンタスが死んだのか…?

折角……!!折角……色々やってたのによぉ……、

結局この街を捨てる事になんのかよぉ!!)


「ッックソがあっ!!!!!」


デテリオは、テーブルを殴りつけて破壊した。


「……………ふぅ……………ふぅ………………。

いや、違う違う、普通に敵がいるなら、それをぶっ殺せばいいだけだ。

コープス共は全部ロォレストにでも送ってヴェントから出せば、

愚民共なんか、数か月もすりゃあまた素知らぬ顔で生活し始めるんだから……、

ふぅ、焦る事はない。よしよし…っよし。

って事はぁ………、まず、ドローニの様子でも見に行くかぁ。

死んでたらコープスにしちゃおうか。一回あの体で遊んでみたかったしな!

ふんふん。意外と悪くないぞ、よしよし」



機嫌を直したデテリオは、隣の部屋の扉をノックする。


ゴンッ!ゴンッ!

「オスレイ君。いるかな?」

「は、はいっ!!」


宰相のオスレイは、即座に扉を開けてデテリオを招き入れた。


「ちょっとヴォヌエッタを見張っといてね、隣の部屋にいるから」

「か、構いませんが、先程から城内が騒がしいようですが、一体何が」

「いーからいーから、黙って言われた通りにしとけ」

「は、はい………」

「あ、そうだ、≪呪詛・宍碍擦礙(ししがいさつげ)()・流転・(えん)・縛・捻転≫」

「なっ!な、何を!!」

「これ、持っといて」

「…これは………」


デテリオは、オスレイに石の様な奇妙な物体を渡した。

「城の衛兵とかいたでしょ、あれコープスにしてるから。

それ持って命令したら動くよ。今作ったんだ、凄いでしょ」


「あ、……は、はい!流石でございます!」

「むふふ、じゃあこれ使って守っといてね」


そう言ってデテリオは部屋を後にし、

オスレイは隣の部屋に移動しヴォヌエッタを見張っていると、

大勢の兵士コープスがぞろぞろとやってきた。




――――




(ポーション、これは…凄まじいな…)

ユァンは、未だ痛みは引かないものの、足の骨折どころか、

視覚と聴覚が戻ってきているのを感じる。


フラフラと、なんとか気力を振り絞り立ち上がる。


(上階から聞こえた戦闘音。おそらく、ロゼ達じゃ。

手助けに行くか…。オスレイを探すか……。

オスレイは間違いなく、こやつらと繋がりがある事が解った。

確実に殺るか捕えたいが、探索となると時間がかかる。

まずは、ロゼに加勢すべきじゃな…)


歩く度に、右脚に激痛が走る。

治りかけだからこそ、あまり動かさない方が良い、

そんな事は解っているが、足を止める訳にはいかない。


(俺がこれ程やられる相手…ロゼは無事なんか……。

俺は…………メディウムよ……絶対に、ロゼは守るからな……)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ