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ボスを倒そう

一部を除き、衣服は見た目以外のステータスに影響を与えない

 目の前には、荘厳な雰囲気の扉があった。バトルタワーの最終ステージ前だ。ここまで9階は通常の敵だけだったが、この階には単体のボスが待ち構えている。ここまで、アランの調べた攻略情報と、ナナ達の実践経験で突破して来た。ジョーとアランはライフルに銃剣を取り付けた。

「いよいよだね」

「ああ!やってやろうぜ!」

ナナとジョーは意気揚々としていた。

「ねね、ボスの対策もバッチリなんでしょ?」

「まぁな。ただロボみたいな奴が出たら厄介そうだ」

アランは抜刀したリリーに答える。

「どんな相手でも倒すだけ。準備はいいかな?行くよ」

ナナを先頭に4人は扉の先へと進んだ。


 扉の先は薄暗い地下室のような場所だった。周りには作業台のような物があり、天井からは鎖が垂れ下がっている。

「中々雰囲気あるな。で、この場合は何てボスなんだ?」

「待ってくれ、この感じ……」

アランは思考を巡らせた。ボスは6種類程だから、1体ずつ思い出す。

「見て!」

リリーが刀で前を指した。暗闇の奥から2m以上の背丈の人影が現れた。鉄仮面を被り、血濡れたエプロンを着て巨大な肉切り包丁を持っている。

「あんなボス、攻略サイトにはいなかった……」

「どういうこと!?」

「多分サイトは更新されてないんだと思う。人気が下がり始めてから大きなアプデがあったから……」

振り返るリリーにナナが答えた。

「クソ……どうする?」

アランは情報を鵜呑みにして、更新日時の確認を忘れた自分を罵った。


「対処はいつもと同じ。リリーは前線、アランとジョーは左右に散開、私はバックアップに。攻撃開始!」

ナナは冷静に指示を出した。それと同時にリリーが飛び出し、ジョーとナナは部屋の左側に移動した。

「ジョーと交互に攻撃して!奴の注意をリリーから逸らす!」

「分かった!」

ちょうどリリーがボスに接近、刀で斬りつける。ボスが肉切り包丁で反撃しようとしたが、彼女は素早く離脱した。アランはM16をフルオートで撃ち込む。すぐに弾が切れ、リロード中はジョーが攻撃した。ボスのターゲットが2人に変わると、再びリリーが飛び込んだ。ボスは肉切り包丁を振り回すが、動きが重鈍でリリーは軽々と避けていた。

「ボスはこうやってターゲット回すのが基本。このゲームはタンク役がほとんどないからね」

「なるほどな」

ナナに相槌を打った時だった。

「助けて!」

リリーがボスに片手で掴まれていた。

「集中射撃!怯めば離すはず!」

ナナの号令で3人は撃ちまくった。


 3人の猛攻によりボスが怯み、どうにかリリーは脱出した。

「あれ予備動作が少ない!それに次食らったらマズイかも!」

リリーは物陰に隠れ、包帯型のアイテムで回復していた。そこはボスが武器を振り上げて迫る。

「アラン、これを奴の頭に投げて!」

気が付けばボスの近くまで来ていたアランに、ナナが何かを投げ渡した。リモコン爆弾だ。

「ああ。ちゃんと起爆してくれよ」

彼は思い切り振りかぶり、それをボスに投げつける。ボスの鉄仮面にそれが当たると、ナナが起爆スイッチを押した。距離はあったが、アランは爆風で後ろに倒れ、ダメージも受けた。

「奴の顔を!」

爆煙が消えるとボスの鉄仮面は割れ、凶悪な顔が露わになった。アランは立ち上がり、M16を一心に撃ち込む。明らかに効果があり、怯んでいる。

「行けるぞ!」

アランがそう言うと、ボスが最後の意地を見せた。得物を振り上げ、凄まじい速度でジョーに迫った。彼は攻撃をモロに受け、大きく弾き飛ばされた。

「大丈夫か!?」

「一気に4分の3くらい持ってきやがった……」

呻きながら彼は立ち上がる。今度はナナへとターゲットを切り替え、同様の攻撃を食らわせた。そして、アランへとその切先を向けて飛び出す。回避が間に合わない、そう思った瞬間にリリーが前に割り込んだ。彼女は勢いを付けて跳躍し、ボスの喉元を真横に斬り裂いた。


 ボスの動きが止まる。力なく腕を降ろし、そのまま前に倒れ、動かなくなる。身体を硬くしていたアランは、ゆっくりと動き出した。「Congratulations」の文字が目の前に浮かび、歓声や拍手の効果音が聞こえる。

「やった!倒したよ!!」

リリーが両手を上に上げて喜んだ。

「やったな!クリアしたんだ!」

ジョーはまずリリーの頭をわしゃわしゃと撫で、続いてアランの肩を叩いた。

「お前の情報のお陰だぜ。マジ助かった!」

「最後はぶっつけ本番だったけどね。と言うか、私にはないわけ?」

「なんだ?お前も撫で撫でされたいのか?」

「そう言う訳じゃないけどさ」

ナナとジョーは軽口を言い合っていた。

アランはとても満ち足りた気分だった。第七突撃隊として、初めて高難易度の敵を倒したのだ。それに自分も貢献出来た。ふと前を見ると緑色の大きな箱が4つ出現していた。

「なぁ、何か箱があるぜ?」

「お、待ちに待った豪華報酬だな。1番右のは貰うぜ」

ジョーが真っ先に飛び付き、後の3人もそれぞれ箱を開けた。


「インテリア用ソファーに、迷彩服……お、このスコープ良さそうだな」

4人は報酬を物色していた。目の前のアイテムリストをスクロールしてチェックする。

「俺のは……」

報酬は換金アイテムの他、銃のカスタムパーツや服などだ。その中に気になる物を見つけた。

「なぁ、このストーナー63って何なんだ?」

「ストーナー63!?」

アイテムを見ていたナナが振り返る。

「それかなりレアな武器だよ」

「本当か!?じゃあ強いのか?」

「……帰ってから話すね」

何とも言えない顔をされてしまったが、とにかくバトルタワーを攻略したのだ。4人はそれぞれの戦利品を受け取り、プライベートルームへと戻った。

銃のレア度と性能は比例しない。強いかどうかは使い手の腕次第だ

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