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久しぶりに二人の夜

 椙山と一緒に風呂に入りまめまめしく全身を洗ってもらった。

 好きな人とふたりっきり♡

 なんて甘い雰囲気はみじんもなく元気な上司と疲れた部下のただの男湯だった。


 「ひさしぶりにふたりきりだな」

 椙山が髪をわしわし洗いながら見たことないほど優しい笑みを見せた。

 これはどういう状況なんだろう?

 あの二人と対峙して疲れた私を癒してくれているの?それとも誘っているの?


 「彰人さんって……」

 姫野の言った男色と言う言葉が気になりモヤモヤしていたらつい口から声が出ていた。

 「俺がなんだって?」

 やっぱり優しげだ。当然上司だった時には見たことがない。

 「彰人さんって男色なんですか?」

 「どういう質問だ?それは……俺がお前のことが好きだと言っていることに対する疑問か?」

 「だって令和にいた時にはこうなるとは思っていなくて……」

 「前にもこんな話しなかったか?まぁいい。令和にいた時にもおれはお前のことを想っていたし、お前もそうだと思っていた。違ったのか?男だからとか女だからとかじゃない。俺は綾という人間が好きなんだ。前にも言ったろう?不安なら何回でも言う。いつ聞かれても答えは同じだ。この戦いが終わって令和に戻った時、綾が男でも女でも変わらず同じ想いだと思う」


 この戦いが終わって令和に戻る……え?今なんて?


 「令和に戻れるんですか?!」

 「これは失言だったな……はっきり言って戻れるのかどうかはわからない。例えば雪哉くんと聖太朗くんを殺される数分前に殺された場所と違う場所に連れて行って、俺たちも同じように本社爆発の数分前に戻れば可能かもしれない。でも現状で俺が運べる人数は限られているのにこちらに来ている人数はかなり多い。把握できていない人もいるだろう。現に姫野は令和に戻って仕事もしているようだ。だが何か引っかかるんだ。もしパラレルワールドだとしたらそんな単純な思考でよいのかどうかとか……もしもその考え方がうまくいかなくて危険な目にあうくらいならみんなで明治(こっち)で生きていくのもいいかもしれない。俺たちはみな一度死んでいるんだ。ここが天国だと思えばそれもいいのかもしれない……」


 まぁ、たしかに誰かの頭の中で考えたことが世の道理にかなっているかどうかなんてわかるわけない。

 「でも、これは姫野りかのつくった世界じゃないんですか?」

 「面白いことを言うな。たしかにあの女が調べたり呪ったり先祖を利用したりした世界観なのかもしれない。確かなのはみなあの女に振り回された被害者だって事だ。なぜ明治なのかはわからないが、ここに転生させられて馴染めなくて死んだ者もいるかもしれないし、身売りをしなければならなかった者もいたわけだろう?許せるわけがない」


 「私は……」

 私はどうなんだろう?

 またみんな……雪哉も香取くんも生きていて私も女性に戻って編集の仕事をバリバリしてたまに椙山と打ち合わせと称して食事をしたり仕事のアイデアをだしあって笑ったりできればそれにこしたことはないかもしれない。でもこれ以上誰かに危険やリスクが伴うならばこのままでもいいと考えてしまうのも事実だ。

 「私は戻りたいです。できれば姫野りかの被害者全員元に戻してあげたい」


 「そうか。そうだな……」

 椙山は曖昧に返事をして少し考えるそぶりを見せた。


 「以前、八坂さんに、もし昭和に戻れるならば戻りたいかと聞いたことがある」

 「八坂さんはなんて言ったんですか?」

 「八坂さんは戻らなくていいとはっきり告げた。八坂さんの生きた時代は地獄のようだったと。第二次世界大戦の最中ならもちろん明治にいたほうが平和だからな。でも例えばあと50年生きたえら八坂さんは本当の自分が生れてきてしまうかもしれない。そうなった時に今いる八坂さんはどうなるのか。反対に、令和に連れて行ってしまった場合もどうなるのかわからない。どちらにしても時代の異物になってしまうんだ。令和で生きていたら100歳くらいになっているということだろう?突然年をとって老衰なんてことになってしまう事になるかもしれない」

 「たしかにそれは怖いですね。それならここにいたほうが安全かもしれないですね」

 「どちらにしてもキーパーソンは姫野だ。あいつにこの状態の説明をさせて。そしてあいつを始末しなければこの時代に残っても平和はこない」

 「誰が姫野りかにこの説明をさせるんですか?今日思いましたけどやっぱり怖いですあの人……好みの男性を拘束して呪いをかけてその人たちと同衾しながらエネルギーを吸い取っているって言うじゃないですか!私もそのめにあいそうになりました。私が女性だった時は嫌っていたくせに男性になったらあっさり手のひら返すんですね」


 椙山と話をしながらお風呂に入っていたらすっかりのぼせてしまった。

 今の今まで、私は死んでここに来たのだから元の時代に戻れる可能性なんて少しも考えていなかった。

 姫野りかを、場合によっては鳳編集長を倒さなければばらないけど、それがなければ今の状況も悪くないと思う。

 雪哉と香取くん、椙山もいて八坂さんのことも尊敬していて大事に思っている。健吾の事も嫌いではない。

 姫野のせいでちょっと変になっていたかもしれないけど、雪哉が亡くなった後の私の癒しだった。


 桔梗さんの事はまだわからないけど、香取くんが好きだった子ならきっといい子だとおもう。

 これからも仲間は増えそうだし、無理に戻の時代に戻らなくてもいい気もする。


 「あっ、あれ? 健吾くんってこっちで女の子だったのに令和に戻ったら男性に、つまり元に戻ったんですよね?私も彰人さんに令和に連れていってもらえば女性に戻るんですか?」

 「それも、やってみなければわからない。おそらく……としか言えないな。だけど俺としては明治にいる間は男性でいてほしい」

 「なんだかんだ言ってやっぱり男色……」

 「いや、そうじゃない。戦いの間は男の身体の方が有利だし、女性になってそのフェロモンまき散らされたら俺は心配で夜も寝られなくなるだろ……そんなことより久しぶりに二人だけなんだ。こっちに来い」

 

 布団を二枚敷いたのに自分の布団に来いっていうなら一枚でよかったんじゃないの?

 「狭いからくっつけましょう」

 そう言って自分の布団をひっぱって椙山の布団にくっつけた。ダブルベッドみたいな感じ?

 私は大満足で布団の端によって椙山の顔を覗くと、椙山が私の腕をひっぱって自分の布団に引っ張り込んだ。

 「狭い方がくっついて寝られるだろう?それに綾かわいがってから寝たいし」


 強く抱きしめられて口づけをされる……嬉しいけど……長いよ……

 久しぶりに二人だけの夜だけど今日は疲れすぎているから寝かせてほしい。

 

 私は身体は男だけど心は女のままなのだろう。

 だから男性になったとはいえ女性を強く求めることもない。

 好きな人はこの人だけだし。


 結局椙山は思う存分私をかわいがって先に寝てしまった。

 

 あぁそうか。

 他人から見たら今の私も男色って言われちゃうのか……

 

 

大変申し訳ありません

なろうでの表現に行き詰ってしまってますので

書き直すか引っ越しします

もうしばらくお待ちください

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