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夫々の能力


 対策と連携という言葉がゲームや試合ではなく現実の事なんだと思ったとたんに、私はめちゃくちゃビビッてしり込みをしてしまった。

 健吾君を助けに行きたい……でも行ける気がしない。


 「綾、しっかりしろ!お前の能力はなんだった?考えてそれを実体化させられるならばしっかり対策を立てる必要があるだろ?闇雲に突っ込むのが正解じゃないだろう?」

 椙山に諭されて焦っても良い事はないんだと理解する。

 でも理解したからと言って焦る気持ちがおさまるわけではない。


 「そうだ!先輩」

 香取くんが何かを思い出したように振り返った。

 「先輩は御神木に何をお願いしたんですか?正確に伺ってなかった気がします。だってあの時御神木の光が雪哉(ゆっきー)にも降りかかりましたから」


「なんだって?聞いてないぞ?」

 椙山に班長だった時の顔で問いただされた。


 「あっ、えっとぉ……とりあえず紀尾井町に帰ってからにしましょう」

 家に帰るまでに思い出さなきゃ……

 





 紀尾井町に戻ってきたのでみんなでお茶を飲みながら書いてみることにした。

「じゃあとりあえず自分が御神木にしたお願いを書いてみよう」

 椙山が号令をかけるとみんな粛々と書き始めた。


 雪哉は

『姉が殺されるのは自分には阻止できないので自分がこの世界で再び姉に会えますように。

 姉を迎え守るだけの力をつけられますように。姉がこの世界の万人に愛されて、恙なくすごせますように。香取くんに再開できますように』

 と神経質そうな文字で書いてある。


 香取くんは

『俺は天候を支配したい』

と大きな字で書いている、めちゃくちゃ彼らしい。


 八坂さんは

『せっかく生まれ変わったんだから今度は丈夫な脚と危険察知能力を下さい』


 椙山は

『人を一人連れて時代を行き来できる能力をください』

と書いてある。

 

 私は……なんて考えたんだっけ?


 『私はその時々に必要なものを『生成』というか『具現化』できる能力が欲しいです。

あっ、でもどうしよう、『増幅』とか『コピー』とかも必要らしいので、うーん……でも『増幅』……

バフ、デバフは私には使いこなせないんだよね。そういうのは雪哉が得意だったから

『増幅』は雪哉が貰えば良かったのに!私は無理かなー……えっと、『コピー』。

『コピー』はいっそのこと、この脇差にあったらいいのにね。

やっぱり私は『生成』で!ファイナルアンサー!』


 「うん。こんな感じ!」

 私がようやく思い出しながら書いたものを読んで椙山が首を傾げる。

 「脇差?脇差しって?」

 あ、そうか彼は妖刀の事を詳しく聞いてないのかな?


 「雪哉くん、雪谷八幡さまの事も書いた方がいいんじゃないかい?」

 雪哉が八坂さんに言われて

「あ、そっか……」と言いながら書き始めた。


 「それって雪哉と八坂さんしか知らない話だよね。そもそもなんで雪谷八幡様に行ったか聞いたっけ?」

 私が疑問に思って聞くと雪哉が自分の書いた紙を指さしながら


 「この『香取くんと再会できますように』ってお願いした後に、御神木の銀杏の木から方向を指し示すように光が伸びたんだ。それは香取神社の方角だったんだけど、実は同じ方角のその先に雪谷っていう八幡様があるのを知って八坂さんに連れて行ってもらったんだ。その時に御神木の光と同じ(オーブ)(やしろ)の裏手の薮に向かって飛んで、そこにこの脇差しが落ちてたんで頂いたわけなんだけど……」

 「それは妖刀ですよ。ワタシには湯気のようなものが出て見えるんです」

 八坂さんが付け加えた。


 「で……『コピー』をその妖刀の脇差しがもらった?そんな事ができるのか?」

 椙山が首をかしげる。


 「コピーとかいう写しの能力をその妖刀が受け取れましたよ」

 八坂さんが自信満々に答える。

 「八坂さんがそんな自信をもって言うって事は実証してるんですか?」

 椙山が期待に満ちた目で八坂さんを見ると八坂さんがニッと笑って


 「雪哉くんが柏原……つまり鳳に会いに行く前にその妖刀を見せてと雪哉くんに言って、ワタシがあちこち触ってから返したんですよ。だから雪哉くんが呪いの糸のようなものが見えたんだと思います」


 八坂さんに言われてはじめて気づいたらしい雪哉が

 「あぁ!あれか、なんで僕にだけ見えるんだろうって思ってたけど刀が八坂さんの力をコピーしてたからだったのか!」


 「……じゃあ雪哉くんに降りかかった光は『増幅』ってことか?」

 椙山が呟いた独り言に


 「ですね!」

 と香取くんが嬉しそうに答えた。

 

 「つまり、増幅とコピーと生成が全部手に入ったわけだな?綾の優柔不断のせいで……」

 「ちょ!せいでじゃなくて、おかげでって言ってくださいよ」

 私が椙山に怒った顔を見せたが椙山はおかまいなしで


 「よし、綾!何か追跡できるようなものを生成することを考えろ!増幅がいるって事は俺も一人じゃなく何人か連れてタイムリープできるかもしれない。いや、追跡できなくてもいいんじゃないか?全員で姫野が現れた時間に俺が連れていければいいんだよな……そうするとその時点で姫野と対峙することにになるな。姫野と対峙するにはまだこちらの戦力と作戦が弱いな……」

 「椙山さん、我々の能力について書いたから、他の人についても書いてみたほうがいいんじゃないですかね」


 八坂さんが紙に吉原健吾ゆめちゃん千里眼、鳳(柏原)洗脳 と書いた。

 「そういえば鳳が『転生者』にはマインドコントロールが効かないって言ってましたけど、椙山さんはタイムリープを貰えって命令されたんですよね?どうでしたか?」


 「言う事は聞いたけどマインドコントロールされてる感じじゃなかったから俺を見て『転生者には効かない』って言ったんじゃないか?洗脳の力が強かったから明治政府の中枢まで潜り込んだり忘れさせたりできるんだろう?」

 椙山が雪哉に答えた。


 私は八坂さんの書いた鳳の能力のところに

 『転生者には効かない。複数人の記憶も操る』と書き足した。


 「いや、待て。そこに増幅とか同じ洗脳のスキル持ったヤツが協力している可能性もあるから」

 「でも協力してくれる能力者がいるって事はもうその人の能力と考えたほうが早くないですか?」

 香取くんが香取くんらしいことを言うと椙山が

 「まぁ、そうだな。過小評価の方が危ないから、加味した能力はソイツのモノと考えたほうが正解かもしれない」と言った。



 そして全員が私の方を向く。

 「えっ?私一人で追跡する能力とか考えなくちゃいけないんですか?それこそ千里眼を増幅させないと無理じゃないですか?千里眼持ってるゆめちゃんを捜しに行かなきゃいけないんですよ?」


 「あっ」

 「雪哉どうした?」

 「ゆめちゃん この脇差し触ってます!護身用に短刀か小脇差が欲しいって言ってたので、懐に入れるなら短刀の方がいいよ、脇差しだと同じ長さでも鍔があるから邪魔になるって話をしていて……その時にこの鍔を触って、同じ長さでも鍔があるのが脇差でないのが短刀なんだねって……」


 「雪哉(ゆっきー)増幅も持ってるんだから百人力じゃないか!どうなんだよ?使えそうか?どんな感じ?」

 雪哉が香取くんの質問に一つ首を傾げてから目をつぶる。


 「あ、わかる気がします。感覚でなんですが方向と時間軸がわかるようです。でもどうしましょう?姫野って人も一緒です」


 「じゃあ俺と雪哉くんで偵察に行ってくる。見るだけですぐに帰ってくるから心配するな。その紙もわかる範囲でどんどん書き足してくれ!雪哉くん行こう」


 椙山と雪哉が偵察に向かったとたん姿がかき消えた。

 不安と期待で胸が苦しい。

 

 

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