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彼女いない歴


「沖田っ!お前が死んだなんて俺は信じてなかった!俺より2歳上なだけのお前が病気で死ぬ訳ないだろう?」


 えっと……そんなには詳しくありませんが、歴史は嗜む程度にはイケる口ですし、新撰組も大好物であります。特に土方、沖田、斎藤は好物過ぎて二次にも手を出した過去があります。


 うん……今なにが起こっているのだろう?たしか、斎藤一見学ツアーで警視局にやってきた。・・・で、私に力いっぱい抱きついているコレは誰?


「すみません……誰ですか?」

 半ば現実逃避ぎみに馬鹿みたいな質問をしてしまった。本当はわかっている。でもわかりたくない気もする。


 抱きしめていた腕を一度ゆるめ、肩を掴んで少し離すと「その人」は私の顔をじっと見た。


 近い!ちょっ、近すぎですって!


「沖田?俺の事を忘れてしまったのか?」さっきより力強く抱きしめられた。



 (私が手を出した薄い本に斎藤一×沖田総司もあったなぁ。私は薄い本の中に転生したんだね?)


「斎藤さんっ」

 現実が理解できてない私は訳のわからない妄想をして、抱きしめてくる彼を抱きしめ返してしまった。

「沖田、お前が山南を想って結婚も遊女と遊ぶ事もしなかったのはわかっている。でももう二度とお前を離さない。お前が一番大事なんだ!」

「斎藤さんっ!自分も貴方をお慕いしていますっ!」


 むせかえるような濃厚なフェロモンは彼からのものなのか自分から出ているのか、彼の腕のなかで私は昏倒した。



「姉さんっ!」

 雪哉の声で意識が戻ると、私は紀尾井町の自分の部屋に寝かされていた。昨夜は雪哉の部屋で寝たからこの部屋で寝るのは初めてだね。いゃあ、夢見がいいよ!この部屋。

「雪哉ぁ〜、私なんか幸せな夢を見ていたよ。私が沖田総司に転生してね……」


「綾先輩っ!まだ意識が混濁していますか?」

「⁈」

 えっ?意識?混濁?何の話し?

「姉さんは一人で斎藤一に会っちゃダメだからねっ!」

「⁇」

 んっ?会っちゃダメ?

 

「あれ?そういえば私達、斎藤一見学ツアーに行ったんじゃ?」

「そうだよ!で、姉さんが興奮してフェロモンいっぱいだして斎藤一をおかしくしたんだよっ!」

 雪哉が泣きながら怒るをくりだした。

「雪哉落ち着いて!」

「先輩、昨日話した御神木と授かった能力の話、覚えてますか?」

「え!あ、うん。覚えてるよ。香取くんが光る御神木に触れた後、やしろに願った事が能力になったって話ね。で、雪哉は能力を授かれなかったって」

「自分は、まぁそうです。で、雪哉の願いは覚えてますか?」

 私は私の布団に突っ伏して泣いている雪哉の頭を撫でながら昨日の話を思い出した。


「えーと……『自分がこの世界で再び姉に会えますように。姉を迎え守るだけの力をつけられますように。姉がこの世界の万人に愛されて恙なくすごせますように。香取くんに再開できますように』だっけ?」

「そうです。御神木からの光の方向で僕と再開できました。先輩を迎えるための生活の基盤も順調に

 整いました。今思えば順調だったのは雪哉の能力だったかもしれません。先輩にもすんなり再会できました。残る一つは?」

「私が万人に愛されて恙なく……」

「それです!」

「え?どれ?」

「万人に愛されるってやつ、雪哉が凄く心配してたんです。もしかしてやってしまったかもって」

「はぁ?」

「先輩のだすフェロモンは万人を虜にして愛を捧げたくなるという雪哉の能力だと今日確信しました!」

「はぁぁぁぁ?!」


 何てことだ!

 

「私がだすフェロモンって?どういう事?私フェロモン垂れ流してるの?」

雪哉ゆっきー、泣いてないでお前が説明しろ!お前のせいなんだからな」

「わかってるよ。心配した通りだったって。全部僕のせいなんだ」

「ねぇ雪哉、雪哉が私に小さい頃に戻ったみたいな甘え方するのはフェロモン関係ないよね?姉弟だし、男どうしだしね?」

「……」

「先輩、聞きたくないかもしれませんが、男どうしとか関係ない事は今日わかったじゃないですか!万人ですよ?弟も含まれるのでは?雪哉のやきもち異常です」

 雪哉がそっぽを向いた。

 

 いゃあ、その甘えっ子、私は嬉しいけどね。可愛くて!じゃあ、香取くんは……

 

「香取くんは……その、違うよね?普通に話してくれてるもんね?」


 私は恐る恐る香取くんの顔をみた。後輩にフェロモンぶちまけてるとかあり得ない。


「自分は、実は恋愛感情とまではいかないかもですが、綾先輩に憧れていました。先輩が今生こんじょうでは男性だったのが残念だと思ったんですが、男性で良かったです。女性でそのフェロモン出してたら一緒に住めませんでしたね!絶対に押し倒してましたよ。これは先輩が『恙なくすごす』ために男性に転生したのかもしれません。雪哉の願いとして。・・・男性でもハグしたくなりますから」

「ハグ程度ならいつでもどうぞ」

「えっ本当ですか?」

「ぜったいにダメぇ!」


 私と香取くんのいつもの軽口に雪哉がキレる。

「ハグしたら、次はキスしたくなるだろ!」

「だって、男どうしだし。キスはしないでしょう?まさか!」

 この世界きてから何か落ち着かなくてスキンシップが嬉しいし。


「ダメに決まってんでしょ!今日本当にに危なかったんだよ!斎藤一マジになってたし、僕が家族だから連れて帰るって強くでなければ連れて帰ろうとしてたんだよっ!しかも僕らが連れて帰るなら送って行くって家の側まで送ってきたから、うちの大体の場所おさえられたよ」

「えっ、そうだったの」

「そうだったのって、何で少し嬉しそうなんだよ!」

「同人誌に転生したような気がしてつい……」


 歴史上の推しが目の前にいるという感覚も現実みがなかったんだよね。


「姉さんが相手を意識すればする程、フェロモンが強く濃くなる気がするから、本当に気をつけて!」

「綾先輩、それだ!」

「どれだ?」

「フェロモンをコントロールできるようになれば、雪哉のの能力として使えますよ!」

「それって難易度高すぎない?どうやってコントロールの練習するの?自分じゃ出してるかどうかもわからないんだよ?『恋愛感情』を自在に操るとかそんな感じ?私、恋愛経験多くないんだよね。香取くんが恋愛とは何たるかをレクチャーしてくれる?」

「あっ、自分ムリです!」

「何で?まあまあイケメンなんだし恋愛経験くらいあるでしょ?」

「いえ、自分は所謂……」

「所謂なに?」

「=《イコール》歳の数ってやつなんで……

 

「あぁ……」

 

 察し……

 

10/29 誤字脱字、わかりにくい言い回しを改変しました。

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