◈第1話〉「 子供の名はレオ 」
◆第1章【第1話】子供の名はレオ
あれは15年も前の話だ。
爽やかな風に彩られるこの国は、ラフテル王国と言う小さな国である。人口数は約3万人ほどで、商業がとても盛んな国だ。
人口数が少ないのに対して、国土はとても広く、そこに住む人々は幸せに暮らしている。
300年前の戦争からずっとこの国には平和が続いているのだ。
それは、この国の王であるイド=ラフテルの影響が強い。
イド=ラフテル王は温厚な性格の持ち主だ。
戦争が大嫌いで、他国との貿易に最大級の力を注いでおり、とても人柄がいい事で知られている。
彼の見た目はハンサムで、体は大きい。そして金髪で優しそうな緑色の目を持っていた。
そんなイド=ラフテルは、今日と言う日を待ち望んでいたのだ。
今日は朝から夜までずっと落ち着かない様子だった。ずっと同じ部屋の中を行ったり来たり、ぐるぐる回っている。
そう、今日は妻のアテナ=ラフテルの出産日だからである。
「国王陛下、どうか落ち着いて下さいませ」
「あぁ、僕は落ち着いているさ。落ち着いているとも、とても冷静さ。」
「部屋の中をぐるぐる回っていても、出産が早く終わるとは限りませんよ」
「あぁ、分かっている。しかし、もしもの事があったらどうする?‥‥‥僕の妻のアテナに何かあったらどうしよう。生まれてくる子供に何かあったら僕はもう立ち直れない。」
「お気持ちは分かりますが、陛下は少しネガティブに考え過ぎてるご様子です」
「あぁ、そうかも知れない。」
「それでは出産されるアテナ様にご心配をおかけしてしまいますぞ。」
「あぁ、そうだな。その通りだ。‥‥‥僕はどんな時でも冷静に物事を考えてきた。今日も変わらず僕は冷静だ。」
「はい、その通りでございます。あなた様は本日も冷静でお優しいお方です。」
別室では、妻のアテナ=ラフテルが数人の使用人達に囲まれて出産を行っていた。
「奥様、どうか辛抱して下さいませ」
「少しずつ赤ちゃんが見えて来ましたよ。」
「‥‥‥ふぅ‥ふぅ‥ふぅ‥‥」
「さぁ、もう少しです。」
「‥‥‥苦しい‥はぁはぁ‥」
「大丈夫ですからね。安心してください。」
「‥‥‥‥‥イド‥様‥。」
使用人達の声を聞きながら、アテナは少しずつ呼吸をする。
ふー、ふー、と声を出しながらアテナは神様に祈り、自分の手を握りしめた。
ガタン
するとそこに、さっきまで別室にいたはずのイドが入ってくる。
「陛下、お待ち下さい。陛下!」
「通してくれ。アテナの元へ行かせてくれ。」
「陛下、ここから先は奥様から立ち入るなと命じられております。どうか冷静になって下さい。」
「僕はいつだって冷静さ」
そう言ってイドはアテナの部屋へ入る。
使用人達は場所を開け、王の入る隙間を開ける。
「アテナ‥‥」
「あなた、来ちゃだめって言ったのに‥‥‥。」
「僕はどんな時でも冷静に物事を考えてきた。だから君の元に来たんだ。僕らの子供の為に。」
そう言ってイドはアテナの手を握り、優しい目で彼女を見つめた。
それを見ていた使用人達はイドを追い出す事は出来なかった。
「はぁ、はぁ、もう‥‥‥。あなたって本当に言う事を聞いてくれないんだから。」
「すまない、居ても立っても居られなかったんだ。」
「手を離さないで‥‥‥。」
「あぁ」
その日ラフテル王国に1人の男の子が産まれた。
その名はジオと名付けられる。
「オギャー!オギャー!オギャー!」
「こらこら、暴れるな〜!ほーらパパでちゅよ〜!」
「こら!まずは奥様に見せてあげなさい!」
「は、はい。すいません。(僕が使用人に怒られた‥?)」
「はい奥様、可愛らしい男の子ですよ〜」
そう言って使用人は枕元に赤ちゃんをそっと置いた。
アテナの顔の横で必死にオギャー!オギャー!と泣く男の子を見て、喜びの余りアテナは涙を流した。
「‥‥‥よく産まれてきてくれたね。レオ‥‥。あなたの事愛してるわ。大好きよ。」
「あぁ、パパもママもお前の事を愛しているぞ。いっぱいご飯を食べて立派に成長しなさい。」
そしてアテナは少しづつ手を伸ばし、生まれてきた赤ちゃんの髪にそっと触れた。赤ちゃんに触れたアテナの手にイドの手が優しく支えた。
その光景は、まさに幸せその物だった。
しかし、幸せに溢れているこの国に不運が訪れてしまう。
急に街から大きな爆発音が発せられた。
「国王陛下、大変です!この国に侵入者がッ!!」
「な、なんだと?!」
ラフテル王国の街中で大きな騒ぎが起こっていた。
その騒ぎと言うのも、ラフテル王国に侵入者が現れたのだ。
侵入者は膨大な数のドラゴンを連れており、街を蹂躙しているとの事だった。
「ご覧ください。恐らく東の国か北峰諸国の連中でしょう。まさかこの日を狙ってくるとは。」
「守りはどうなっている?」
「はい。いえ、本日は王子のお生まれになられる日、街はすっかりお祭り状態であった為、考え難いですが、我々の警戒大勢に穴があったとしか‥‥‥。」
「いや。この感じは恐らく魔導士だ。私は祭りとは言えこの国の防衛に絶対の自信で挑んでいる。奴らは国の中で召喚されたモンスター達に違いない。その証拠に我らが国の外壁は何一つ破壊されてはおらんからな。」
「ほ、本当ですか?!となれば奴らは‥‥‥。」
「いずれにせよ、今動かねばこの国は滅ぶ。我らが王国が、今、再び焼かれようとしているのだ。」
ドラゴンは巨大な種や小さい種を合わせて約1000匹の大群である。
それに対して、ラフテル王国の軍事力は完全武装した兵士がたった400人しか居ない。
その話はすぐに国中に報告され、すぐに全兵士達が王の御前に集った。
「街の住人の避難を最優先にしろ!非戦闘員は城の中で待機。戦える者は武器を持って戦闘準備!!」
「国王陛下、全兵士、直ぐにでも戦えます。作戦をお聞かせ下さい!」
「あぁ、いいだろう。俺はどんな時でも冷静に物事を考えてきた。だからお前達に命ずる事はただ1つ、この国を守り、盾となって守護せよ。我らが命に変えても絶対に守り抜くのだ‼︎」
「了解!」
イドは馬に乗り、王の剣を抜いて高らかに声を上げる。
「さぁ、俺に続けぇえええ!!!」
「うぉおおおおおおおおおお!!!」
そうして、戦いの火蓋が切られたのであった。
最後まで読んでいただき、
誠にありがとうございました。
今後とも、
この作品を完結まで描き続ける所存であります。
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