表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
運命の重なった時  作者: MEGko
諦めていた時間を取り戻す
82/224

生き別れ

 ふっと写真立てが目に入る。

「え?」

 沙良は目が釘付けになっていた。

 自分の記憶の中のよりは若々しいが……そこには「母親」が写っている。

「先生……その写真……」

 沙良は震える声で尋ねた。

「あ、これね。私の母なんですよ。去年の夏前ぐらいでしょうか、亡くなったみたいです。私は生き別れみたいな境遇だったので」

「……生き別れ?」

 沙良は震えていた。

「私は養子に出されたんですよ。ってこんな面白くない話をしてごめんね」

 沙良は黙ってしまった。そんな話一回も聞いたことない。しかし、写真は確かに「工藤百合絵」だった。別な写真だが、若かりし頃の母は知っている。それそのままだった。


「あの……一つ聞いてもいいですか?」

「どうしました?」

「先生って養子になる前ってなんていう苗字だったのですか?」

「ああ、昔は『工藤』って言いましたよ」

 その言葉で沙良の時が止まった。

「あ、工藤さん同じ苗字ですね」

 彬人は嬉しそうに同じ苗字を指した。


「あの……お母さんってお名前聞いてもいいですか?」

「え? 別に構いませんよ。『百合絵』ですが……」


 工藤百合絵


 全てが繋がった。

 沙良の知らない事実だが、全てが繋がっていた。

 沙良はどうしていいのか分らず涙がこぼれる。

 それを見て彬人はおろおろしてしまった。

「どうしました? 何かありましたか?」

 ティッシュボックスを差し出され、涙を拭う。

「ごめんなさい、ちょっと混乱して。その……私の母も『工藤百合絵』って言うんです。写真が母そっくりというか……母そのものなので混乱して。私そんな話一切聞いていないのでどう捉えていいのか」

「工藤さんって……」

「私の母も去年亡くなりました。同じ頃です」


 その言葉で彬人は止まってしまった。

「そんなことってあるのでしょうか……」

 考え難いと言いたそうな表情だったが「偶然というより必然だったのかもしれないです」そう言いながら優しく抱きしめる。

 沙良は困惑していた。今まで聞いたことがない。しかし……あの写真は母だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ