一番近い朝
蒼は心地よい温もりで目が覚めた。あれは夢だったのか……そう疑っている自分もいたが、自分の腕の中で気持ちよさそうに眠っている沙良を見つめ、それが夢でないことを実感する。
確かに沙良は自分の腕の中にいた。
嬉しすぎて、沙良の眠っている横顔を見ながら、前髪を撫でる。その感覚が更に蒼の心を満たしていく。蒼は嬉しそうに微笑んでいた。
どれだけ沙良を堪能していただろうか。「うぅん……」と言いながら沙良の目が静かに目を覚ました。
「沙良、おはよう」
「…………!」
沙良は蒼を見て現実を思い出す。
(私……蒼くんと……!)
確かに身体全体的な気怠さ、身体の各所に痛みや怠さが襲い掛かってくる。そして自分も蒼も何も身に纏っていない姿が……昨日何があったかを物語っていた。
沙良はどうしていいのか分らず、恥ずかしくて咄嗟に布団をかぶる。
「さーらーどうしたー」
余りにもその仕草が可愛くて、蒼はついついちょっかいを出してしまう。
布団の上から突いていた。ふくれっ面した沙良が、顔を少し布団から出した。
「もう! そーいうイジワル止めて欲しい」
「ごめんごめん」そう言うと、蒼は優しく頭を撫でた。
❖ ❖ ❖ ❖
「お腹空いたな、やっぱり……」
お昼過ぎて、蒼は昨日とは打って変わって晴れ渡っている空を、展望台から眺めていた。
「私もかなりお腹空いた……」
その隣で沙良がお腹を抱えている。
「昨日入れたカロリーより、出ていったカロリーの方が絶対多いからなぁ」
そこまで言って、沙良が反応して真っ赤になる。
「蒼くんはいつまで私を揶揄うのよ!」
「あははは、ずっとこうやって揶揄っていたいんだよ」
そう言う蒼の表情はとても優しかった。そして、その瞳に見入っていた沙良の唇に軽くキスをした。
唇が離れた瞬間、「あ!」と蒼が思い出したように声を出す。
「そうだ、材料あったな。朝食作るぞ」
その言葉で「あ、そんなこと言ってたな」と沙良も思い出していた。
「何作るの?」
「お楽しみ」
ニヤリと笑うと鼻歌を歌いながら、蒼のクッキングが開始された。
やっとこの二人くっついた気がします……ある意味ここまで、長かったな。




