<賢者からのおくりもの> 序
『ほんとにこんなので、どうにかなるのかな。』
『というか、魔法学校で、どうして読書感想文の宿題なんかあるんだろう。』
僕は大きくため息をついた。
目の前には、先輩が貸してくれた<夢見まくら>と、一冊の薄い本。
こいつで書けば絶対大丈夫! とすすめられたものだ。
僕はもともと、何の変哲もない中学生だった。
でもいろいろあって今は、全寮制の魔道学園<マジック・アカデミー>で勉学と修行の日々を送っている。
はずなんだけど……。
長期休みの宿題には、なぜかあの大っ嫌いな読書感想文があった。
魔法書<ルーン・ブック>だったら、スイスイ読める。
でも、小説とかは大の苦手。
理由はいろいろあるけれど……
『ともあれ、宿題なのだ、こなさなければしかたない。』
『せっかく先輩が、発明品と本を貸してくれたのだし、ここはやってみるしかないだろう。』
僕は先輩から聞いたとおり、本を枕にしいて、おやすみなさいと目を閉じた。
すぐに『それ』ははじまった。
目の前に現れたのは、大きな大きなスクリーン。
『なるほど、本のストーリーを映画仕立てで見せてくれるのか。』
『映画だったら、楽しく見れそうだ!』
僕は映画は嫌いじゃない。ワクワクしながら、目の前のスクリーンに見入った。
まるで古い映画のように、カウントダウンが3、2、1。
白黒の画面に古めかしい字体で、タイトルがつづられていく。
その名も――
<賢者からのおくりもの>