表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

67/103

67話 男二人の空騒ぎ その3

 《ログアウトが完了しました》


 ふー、今日もなかなか波瀾万丈だったな。

 しかしこんなヘルメット一つであれだけのゲームができるってのは、なんというか技術の進歩ってのは凄いもんだね。


 ま、それはそれとして。腹も減ったし、ひとっ風呂浴びて食事にでもいくかねっと。


 ん?


 今、普通に立ち上がれたよな。


 …………。

 少しはよくなってきたってことかね?


 ま、痛いのが好きな訳じゃないからな、もしそうなら嬉しい限りだ。


  ▼ ▼ ▼ ▼ ▼


 ふう、いいお湯だった。


 お? 丸田から着信か。

 それとあとは……うん、見なかったことにしよう。


 さて、とりあえず丸田に電話を返すかね。


『十四郎か』


 相変わらず携帯とるの速いな。

 もしかして携帯と見つめあってるのか?


「ぶふっ」


『なんだよいきなり』


「いや、携帯と正座して向かい合ってるお前を想像して吹き出した」


『は? 意味がわからねぇよ』


「いや、うん、気にするな。俺の勝手な想像だ」


『勝手に想像して本人の前で笑い飛ばすなよ、というか隠せよ』


「俺とお前の仲だろ? 細かいことは気にするな」


『気にするだろ。お前、俺に訳もわからず笑いのネタにされて、目の前で笑われて気にしないのか?』


 …………。


「眠ってるお前の目蓋に、目玉を書くくらいにはムカつくな」


『おま、あれ、お前がやったのかよ!』


「あれ?」


『修学旅行だよ!』


 ああ、あの時のあれか。


「あれは俺じゃないぞ」


 まだネタばらしされてなかったのか。

 まあ、流石に時効だろうし犯人を教えてやるかね。


「犯人はお前の嫁さんだぞ」


『な』


「お前、行きの飛行機の中でさっさと寝ちまっただろ? それ見てお前の嫁さんが、私を置いてさっさと寝るなんてけしからんとか言ってな」


『ちょ、ちょっと待て。あれって初日からだったのか?』


「そうだぞ。いく先々で居眠りするお前が話題になってたぞ」


 写真とか撮られてたしな。


『……』


「ちなみにお前が夜寝る度に、上書きされてたからな」


『なんで夜の男の部屋に女が入れるんだよ』


「協力者がいれば簡単だろ」


 なんせ教員付き添いのもとでだったからな。


『……』


「まあ、素敵な彼女のちょっとしたお茶目だろ。もう随分前の話なんだし、広い心で許してやれよ」


『いや、それはそうだが』


「まあ、若気の至りってやつだよ」


『いや、なんであいつの若気の至りで俺が被害うけてんだよ』


「愛だろ愛」


『はあぁ。それで、なんでお前は俺に教えなかったんだよ』


「え? 他人の恋路を邪魔するほど俺は野暮じゃないからな」


『俺の顔に落書きするのは恋路じゃねーだろうが』


「そうなのか?」


『そうだよ。貴方が好きです、顔に落書きさせてくださいとかどう思うよ』


「……そういうのはちょっと」


『俺だってそうだよ!』


「はあ、そろそろ飽きてきたな。そういや、なんか用事があったんじゃないのか?」


『いきなり話をぶった切るなよ! 全く、お前もいい性格してるよな』


「お前の嫁さんほどじゃないけどな」


『話ぶった切ったくせに、蒸し返すなよ!』


「わかったわかった、それでなんの用事だったんだ?」


『その嫁から伝言だよ、晩飯まだなら一緒にいかねえかってよ』


 お、丸田の嫁さんと会うのも久しぶりだな。

 ちょうど晩飯食いにいくところだったし。


「いいぞ、一緒にいこうぜ」


『そうか、あいつも喜びそうだ』


「時間はどうする?」


『1時間後にこっちから迎えにいくよ』


「わかった」


『ああ、それと』


「ん、どうした?」


『十四郎、体に異変があったりしないか?』


 異変?


「いや、特にないぞ。いたって元気そのものだ」


『そうか』


「丸田は大丈夫か? 目蓋に新しく目が書かれたりしてないか?」


『ねえよ! ……いや、ちょっとまて確認してみる』


 しっかし体に異変ねぇ。また珍しいことを聞くもんだ。


『くそっ、目が書かれてやがった! あいつめ、急にお前を誘って三人で食事なんていうから珍しいと思ったら』


「わはははは。折角だからそのまま来いよ」


『行くかよ! ったく、それじゃ1時間後にな。着いたら電話する』


「わかった。まってるよ」


 さてと。

 それじゃ、出かける準備でもしますかね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 超人になってたり...しないな。
[一言] 体に異変…あれだけの刺激を受けてパンツの交換の必要がないのはある意味異変では?(多分違う)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ