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64話 にゅーおふぃす

「こちらが宝玉を設置する新しいお部屋になります」


 お屋敷の一角を丸々改良したのか。

 天井も高いし結構な広さもある。ちょっとしたホールみたいなもんだな。これなら100人くらいは人が入っても大丈夫そうだ。


「そしてあちらが市長の執務室になります」


 確かにホールと繋がってる方が色々と便利だとは思う、思うんだが……。

 この配置、随時仕事と直結されてるみたいであれだな。


「執務室の奥が、先ほど市長がおっしゃっていたベッドもある市長の私室になります」


 寝ても覚めてもか。ゲームとはいえ……。

 まあ、統治者の仕事ってのは普通はそんなものなのかもな。


「?」


「いえ、気にしないで下さい」


 それはそれとして、まずは宝玉の配置だが。

 場所は……そうだな、とりあえずホールの真ん中にしておくか。


 次は……。


「セリスさん、執務室と私室の鍵は開いていますか?」


「中を確認されますか?」


「はい、折角ですので」


「では鍵をお渡しします。そちらの鍵は市長のものとなります。特殊な構造になっておりますので大切に保管してください」


 特殊な構造か、確かに不思議な材質の鍵だな。


【執務室の鍵】

 執務室の鍵。使用者制限あり、登録されている人物以外が使用すると襲いかかってくる。


【ⅩⅣ狼の部屋の鍵】

 ⅩⅣ狼の部屋の鍵。使用者制限あり、登録されている人物以外が使用すると襲いかかってくる。


 ……。


「あの、セリスさん。これは?」


「大丈夫です、扉にも無理に開けようとする者を排除する効果がありますので」


 ……。


「そちらの鍵と扉は私達の合作となっておりますので、どんな相手でもある程度は持ちこたえられますのでご安心を」


 合作……。


「ちなみに鍵と扉の作成に関わったのは?」


「ソフィア様、紅様、ロカ様、鳳仙様、ラクィーサ様、ムジィーカ様、それと私です」


 …………。


 俺がいるときは執務室の扉は開けておこう。


「どうかなさいましたか?」


「いえ、なんでもありません」


 と、とりあえず中に入ってみるか。

 鍵穴、鍵穴、鍵穴っと。あれ?


「鍵穴はありませんので、そちらの鍵を持って扉に触れていただければ」


 触れるだけ、触れるだけっと。おお、扉の一部がぼんやり光って取っ手が出てきた。

 狼と竜と鳥の細工かぁ。モデルが誰かわかるかだけに取っ手がスゲー強そうに見えるな。


 さてと、中を拝見させてもらいますかね。


 おー、広めの書斎って感じだな。

 大きめの窓、見える景色は女神像と湖か。


「こちらの部屋は主に鳳仙様とムジィーカ様が」


 うん、悪くない。いや、ちょうど良く落ち着く雰囲気でかなり良い感じだ。あの二人には感謝しないとな。


「お気に召しましたか?」


「ええ、とても」


 あとは私室か。

 あそこにあるドアかな?


「セリスさん、私の私室はこちらですか?」


「はい、そちらになります」


 んー、ドアノブがないってことは、執務室の扉と同じ鍵を持って触れるタイプか。

 鍵を持ってドアに触れるっと。出た出た、こっちのドアノブはシンプルだな。


 それじゃ、私室はいけーん。


 …………。


 いやいやいや、おかしくね?

 私室っていうかほぼベッドなんですが。そしてこのベッドでかくね?

 何人のれるのこれ?


 そしてそれ以上におかしいことが一点。


 なんで既に誰か寝てるの?


「えーと」


「ソフィア様、ソフィア様」


 うん、まあ、安定のヨダレつき残念フェイスだね、ソフィアさん。


「わふぅ」


「ソフィア様、市長がいらっしゃいましたよ」


「おやかたさま~」


「ソフィア様、その市長ですよ。起きてください」


「わふ? ……おやかたさま?」


 うーん、色々はだけてる美女の寝起きなのに、艶っぽさよりも可愛らしさ全開なのは、あの犬っぽさのせいだろうか?


「おはようございます、ソフィアさん」


「おはようございまふ、おやかたさまぁ…………くぅ」


 二度寝って最高ですよね!

 いや、そんなことより。


「セリスさん、なぜソフィアさんがここに? たしか特殊な鍵と扉だったはず」


「私達の力では、ソフィア様達の侵入を食い止める設備を作ることは不可能ですから」


 確かに、それは一理ある。


「無理に侵入されて、一々破壊されても困りますので最初から鍵をお渡ししています」


「ちなみにほかにも鍵を持っているのは」


「紅様、ロカ様、それと私が。鳳仙様、ラクィーサ様、ムジィーカ様は執務室の鍵のみをお持ちです」


 私室の鍵を持ってる人達の名前が気にならないでもないが。

 うん、まあ、多分城塞をもってしても侵入を防げない人達だし、しょうがないか。


 しかし、立派なベッドだねこいつは。

 シーツのさわり心地も……。


 《新たなベッドと接触。ログアウト地点を変更しますか?》


 なるほど。ベッドにふれるとログアウトの拠点変更ができるのか。

 ということは、とうとう俺もあの小屋を卒業ってことだな。


 《ログアウト地点を変更しますか?》


 もちろんイエスと。


 《ログアウト地点を変更しました》


 よし。若干問題はある気もするが新たな拠点、ゲットだぜ!

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― 新着の感想 ―
[一言] 襲いかかってくる扉とかファンタジーだけどそれ普通は魔王の城とかにあるモノでは??
[気になる点] この鍵ってほとんどの通常プレイヤーより強かったりしそう... [一言] 鍵がないなら扉壊したほうが早いもんな... この面子を防衛できる設備はそりゃあないよな...
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