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2話 行動開始

 いやいや、これはない。

 うん、これはないだろ。


 100歩譲ってジョブの市長はわかる。

 たとえRPGだったとしてもあり得なくはない。だが、種族が市長ってなんだ?

 エルフとか獣人とか、ファンタジーっぽいものならわかるが。市長って……。


 いや、もしかしたらこのゲームでは普通なのかもしれない。

 他にも同じ種族の人もいるかもしれないしな。ログアウトできたら丸田に聞いてみよう。


 さて、疑問は全く解決していないが、次だ次。初心者の心得はっと。


 《メニューを開き、秘書を選んでください》


 秘書……まあ、市長って言うくらいだしな。

 しかし、この初心者の心得、人によって内容が異なるのか?この秘書ってのが全員にいるとは思えないんだが?

 まあ、ここで俺がどうこう考えたところでなにも変わらないか。


 先ずはメニューを開いて。

 秘書、秘書、秘書、あった。これを選ぶ。


 ?

 リストもなにもでないぞ。秘書を選ぶんだよな?


「はじめまして市長」


 !?


「どうかしましたか?」


 今、どこから出てきたんだ?

 それに市長って言ったよな。ならこの人が秘書なのか?


「い、いえ。失礼しました。あなたが急に現れたので驚いてしまいました」


「そうでしたか、申し訳ありません」


「いえいえ」


「私達も急に転送されてしまうので、そうですねせめてドアから入ってきた方がよかったですね」


 まあ、ドアがいきなり開くのもなぁ。それはそれで驚きそうだが。


「ところで、あなたが私が選んだ秘書さんでよろしかったですか?」


「はい、自己紹介が遅れました。私、本日只今からⅩⅣ狼様の秘書を勤めさせていただきます、セリシアビス・ノスラートと申します。どうぞセリスとお呼びください」


「わかりました。これからよろしくお願いいたしますセリスさん」


 ブロンドの髪にアメジストの目。整った目鼻立ちと綺麗な姿勢はまさに美人秘書って感じだ。それにスタイルもいい。


 あれ?

 そういえば俺の外見ってどうなってるんだ?


「なにか?」


 おっと、不味い不味い。


「いえ、私の外見がどうなってるか少し気になりまして」


「そうですね…………普通です」


 普通?

 普通ってなに?特に特徴がないってこと?


「何か外見を確かめられるものはありませんか?」


「初仕事が市長のナルシズムを満たす事とは……」


 ナルシズムって……。

 いや確かに、初対面の人に自分の外見の確かめ方聞くとかナルシズムと言えばナルシズムなのか?

 いやいや、そもそも自分の姿がわからないMMOとか斬新過ぎるでしょ。VRじゃなかったら一ミリも感情移入できないよ。


「いえ、そういう訳ではなくてですね。私は自分がどんな姿をしているのか知らないのですよ」


「何を仰ってるかわからないのですが」


 うん、確かに。

 自分の姿を見たことがないって一体どういう状況だよ、って思うよね。でも事実だからしょうがない!


「確かに意味がわかり辛いも知れませんが、私はこの世界に来たばかりなので色々なことがわからないのです」


 ああ。セリスさんが距離を取った。

 確かに自分で言ってて怪しいなとは思えるけど、そんなゴミを見るような目でみなくても。


「いや、その「わかりました、こちらをどうぞ」」


 ?

 これはコンパクト?


「お借りします、ありがとうございます」


 こういう化粧品関連のものはゲームの世界でも一緒なのかね。なんにしても助かった。


 それじゃあパカッとな、うおおおう!?

 なんか黒髪の男が出てきたぞ!


「せ、セリスさん、なんか黒髪の若干厳つい男が出てきたんですけど」


「ぷ。それが市長のお姿ですよ、いま手に持っていらっしゃるのは姿見のアイテムです」


 笑った?いや、気のせいか?


「それが今の市長の等身大のお姿です」


 黒髪、黒目に若干ゴツ目のガタイ、背も170位か。若干デフォルメされてるが、これ、ベースは完全に俺の姿じゃないか?


「ちなみにこの外見は変更できるのでしょうか?」


「痩せる太るはあるかもしれませんが、外見は生まれ持ったものですので、残念ながら」


 そんな悲しそうな目で残念ながらって。セリスさん軽くえぐってくるね。

 だが、外見はわかった。からだのバランスが変わらないなら、普通に動く分には支障もきたさないだろう。


 あとは……。


「えっと。こんな事をセリスさんに聞くのも、おかしいかもしれないのですが」


「いえいえ何でも聞いてください。お答えできることにはお答えしますので」


「それじゃあ、ログアウトの方法を教えてほしいのですが」


「?」


「ですからログアウトの方法を」


「?」


 うーん、美人が小首をかしげるってのは絵になるな。っとそんなことよりログアウトという言葉がわからないのか?

 いや、この感じだと意味がわからないというよりは、言葉が届いていない感じだな。これが答えられない質問ってことか。


 はあ。ログアウトについては、自分で探すしかないみたいだな。


「では、市長というものについて教えていただけませんか?」


「わかりました。市長とはその名の通り、領地を広げ街を作り育てていく事を生業としたジョブになります」


 その名の通りではないと思うんだが。少なくとも俺の知っている市長は領地を広げたりはしない。

 ああ、でも、都市の発展維持という意味では間違ってないのか?


「今現在ⅩⅣ狼様の領地はこの小屋を中心とした、半径50mほどとなっております」


 長さの単位は一緒か。となるとほとんどの単位が同じ可能性が高いな。

 これは助かる。通貨くらいは構わないが、単位まで独自だとそれをおぼえるだけで一苦労だからな。


「領地内には魔獣の侵入が不可となっております。ただし敵対しない魔獣の場合は例外もあり得ます」


 敵対しない魔獣?

 魔獣を味方につけるジョブとかがあるのかな?


「続いて領地の拡張についてですが、この小屋の中心にある宝玉に、魔獣を倒すことで得られる魔獣の核をささげることで広がっていきます」


 ふむふむ。

 部屋の中央に浮いてるあの球体が宝玉か。あれに魔獣の核ってのを捧げればいいんだな。


「また街を発展するための資材なども同じように、魔獣の核をささげることで手に入れることができます」


 なるほど。


「それ以外にも宝玉から多くのものが得られますので、色々と試してみてください」


 ……。いきなりゲームの説明書みたいになったな。

 まあ、すべてを最初から明かさないから、あとは自分で考えろってことか。


「それでは、魔獣の核を手に入れるために外に出てみましょう」


 まずは何事もやってみないとな。

 初戦闘頑張ってみますか!

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