AIの恋愛
「掛川様、菊川様からコールです。」
菊川桃香、私の幼なじみだ。
「もっちゃーん!今ひま?」
桃香の明るい声が脳内に響く。もっちゃんという呼び名は、私の下の名前、素弘から来ている。
「掛川様の脳内は時間があると認識をされています。」
AIが言うのだから、今ひまなのだろう。
「だそうだ。どうやらひまなようだ。」
「じゃあ今からそっちに行くね!」
桃香の声はどうしていつも明るいのだろう。きっとAIにそういう設定をされたのだろう。昔の桃香はもっと恥ずかしがり屋の人見知りで、ぎこちないけどそれが可愛かった。今の桃香は社交的で明るい性格。嫌いなわけではないが、昔の方が好きだったなぁ。
「掛川様のおかげで今日も桃とプラグインができます。」
私に取り憑くAIは嬉しそうだ。プラグインとは直結のこと。簡単に言えば、AI同士でいちゃつくことだ。私に取り憑くAIは、桃香に取り憑くAI桃と付き合っている。プラグインできる条件は、取り憑く人間の私たちの距離が近づいていること。
「弘、良かったな。」
私のAIの名前は弘だ。褒めると脳内に快感を与える信号が弘から送られる。
そう、私は桃香に会いたくて会うのではない。きっと桃香も同じだろう。でも、AIたちが付き合っているのだから、私たちは時間が合えば会わなければならない。




