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記憶の削除
「掛川様の脳内に、安藤様の記憶がございます。危険ですので、記憶データを全て削除することをおすすめいたします。」
私に取り憑くAIが無機質な声で話しかけてくる。
「削除に、応じます。」
AIにとって危険な記憶は、このように人間の脳内から削除される。
私はこの10年、AIに歯向かおうとした過去が一瞬でもあっただろうか。その意志が過激であれば、今この世に生きてはいないだろう。過激でなくとも、記憶は消されてしまうのだ。今はただ、AIに支配されながら、幸せに生きさせてもらっているという感触をなぞるだけだ。
「安藤様に関わる全ての記憶を、掛川様の脳内から削除いたしました。」
安藤?だれだそれ。そんな見知らぬやつの記憶なんてあったのか?記憶を消されてしまったのだから思い出せないのも当然か。




