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異世界から勇者を呼んだら、とんでもない迷惑集団が来た件(前編)  作者: 笹川 慶介
列国首都奪還・不死鳥の謀略
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31話

 自分の役割がアルデバラン様に討ち取られる事でひと段落つくというので、このままおとなしくくたばって退場しようと自分も考えておりました。

 ですが、こんな事態になってしまっては動かないわけにはいかないですよね〜。ヨホホホホ。

 また恩義の押し売りか、と? ヨホホホホ。ええ、恩義の押し売りです。悪徳セールス能面男の恩義の押し売りです。もはや詐欺ですね。


 しかし、ツァンゲラ相手ならば…いえ、こちらではガヴタタリと呼ばれているのでしたね。かの英語がうるさい怪獣相手ならばアルデバラン様でも戦えるかと思ったのですが、そこは世界の格が認めてくれなかったようです。

 勇者補正ありきというのは、相当大きな壁のようでした。


 そして飲み込まれそうとなったアルデバラン様が、飲み込まれてしまったデネブさんが、国を焼き尽くされそうになっている神聖ヒアント帝国の皆さんが、「誰か助けて!」と叫んだのです。

 そうなったら、自分が寝ているわけにはいかないというものでしょう。

 一生寝てろよ、と? ヨホホホホ。では、皆さんの声に応え、恩義の押し売りを果たした後に退場するとしましょう。魔力も戻ってきましたし、ツァンゲラ…ではなくガヴタタリ相手ならば、あんなバキューム怪獣風情…おっと失礼。かの怪獣相手ならば、自分は負けることはないと思います。ヨホホホホ。


 間一髪のところでアルデバラン様の前に来た自分は、ガヴタタリに対して赤い呪怨ことドジョウ先生を叩きつけて、殴り飛ばしました。

 なんで燃えかすにならずに接近できんだよ、と? ヨホホホホ。それは簡単です。自分の表面上に薄い防護魔法の幕を展開しているのです。

 壁だけが防護魔法だけではないという発想ですね。鎧のようにまとうことができるようになりました。まだまだ発展の余地がある魔法です。ヨホホホホ。

 盾の形にして、仲間に持ち運びできるようにすれば、自分が遠くにいようとも魔力供給が続く限り防護魔法で守ることができますし、この鎧に応用すれば持ち運びも自由となります。

 まあ、重量ないですし、動きを阻害しませんから。

 そう考えると、なかなかに素晴らしい発明ではないでしょうか?

 ヨホホホホ。女神様に授かりしこの治癒師の魔法、極める道はまだ遠いですね。


「GHAAAAAAAAAAAAA!」


 人が女神様に感謝を捧げようとしていたところ、無視するなと言わんばかりにガヴタタリが咆哮をあげました。

 口元に何やら炎を蓄えている様子です。


「ヨホホホホ。何をなさるつもりか知りませんが…」


「湯垣、逃げるのじゃ! お主が戦う理由などない!」


 おっと、アルデバラン様がセリフを遮ってきました。

 すれ違いざまにかけた治癒魔法が効いたようですね。元気になったようで、何よりです。ヨホホホホ。

 さて、アルデバラン様が何かを言っている様子ですが、自分の耳には届かないです。ヨホホホホ。

 逃げる、ですか? できませんね〜。今もあの中から助けを呼ぶ声が炎に乗って自分に届いてきていますので。人族の召喚した勇者のみですが、デネブさんに関してはその人族たちから助けてくれというご指名がある方ですから。それに、魔族とか関係なく、助けを呼ぶ声を無視するつもりはありません。ヨホホホホ。

 何しろ自分、治癒師ですから。

 自分が戦う理由なんてそのくらいです。

 だいたい、ツァンゲラなんぞクソみたいなバキューム風情…おっと失礼しました。ガヴタタリにこの国を好き勝手されるというのは、人族の勇者として見過ごせませんから。ヨホホホホ。


「GHAAAAAAAAAAAAA!」


 それに、迫り来るこの白亜の光線。

 飲み込み切れていない方の力を夜籠りして無理やりねじ伏せている攻撃ごときで、女神様に治癒師を授かる自分の守りが崩される道理などありません。

 ヨホホホホ。所詮、ツァンゲラ…おっとまたしても。

 ヨホホホホ。ガヴタタリの攻撃に関してならば、自分は負けるつもりなどありませんとも。ヨホホホホ。

 というわけで、防護魔法を展開します。

 筒状に展開した防護魔法は、放たれた白亜の光線を零すことなく自分めがけて誘導します。


「ダメじゃ、湯垣!」


 アルデバラン様が手を伸ばします。

 そのアルデバラン様に、振り向きます。

 烏天狗の面で顔は見えませんので、声に出して伝えましょう。


「ヨホホホホ。ご安心下さい、デネブさんは必ず助けますとも。自分は誰かを殺すのではなく、守り助けるために召喚された勇者ですから」


 それが聞こえたかどうか、自分はわかりません。

 確かめる暇もなく、ガヴタタリに向き直った自分は、ドジョウ先生を構えます。

 心臓。対峙する相手の心を抜き取る邪法。赤い呪怨というものは、相手を殺さずに使うときはこう使うのですよ。ヨホホホホ。


 ドジョウ先生が本来あるべき赤い呪怨の形をとります。

 それは白亜の光線の中に飲み込まれ、その中心となっているこの魔法を生み出している心臓に値する相手、デネブさんの元まで一直線に伸びていきます。


「GHAAAAAAAAAAAAA!」


 異変を感じたガヴタタリが何かを叫びますが、自分の耳には届きません。

 赤い呪怨が確かにデネブさんの手をつかみます。

 それを通して、助けて!と乞うデネブさんの声が伝わってきます。

 ヨホホホホ。もちろん、助けますとも。


「捕まっていてください。すぐにそこから出します」


 赤い呪怨を通して、デネブさんに語りかけます。

 それに彼女が頷き、赤い呪怨にしがみついてきたことを確認した自分は、赤い呪怨を引きます。


 それは、はたから見れば本当に一瞬の出来事でした。

 白亜の光線は自分に届くことなく、自分の壊れかけた烏天狗の能面だけを焼き尽くし、赤い呪怨により1つの姿に変わって、ガヴタタリから引き抜かれます。

 白い炎を持つフェニックスの亜種。

 その魔族の元帥が、赤い呪怨に掴まりながら、ガヴタタリの中から引き剥がされるように出てきました。

 それをとっさに自分は受け止めます。


「デネブ!?」


 アルデバラン様が驚きの声をあげます。

 ヨホホホホ。返答して振り向きたいところですが、今はそれどころではありません。

 ガヴタタリは白炎を剥ぎ取られ、本来持つ黒い嵐を纏う化物の姿をとっています。

 お前の方がよほどゲスな化け物だろ、と? ヨホホホホ。それはもちろんです。本能に生きる英語しゃべる獣などとゲスのレベルを比べられるなど、おこがましいというものです。自分があの程度で語れるゲスなはずがないでしょう。ヨホホホホ。


「GHAAAAAAAAAAAAA!」


 ガヴタタリが手を伸ばしてきます。

 気を失っているデネブさんを抱えながら、自分はその影の塊に再度赤い呪怨を伸ばします。


「ヨホホホホ。失礼ながら、心臓をいただきましょう」


 これでいかがでしょうか?

 …スカッ、と。

 赤い呪怨がすり抜けました。


「…あ、そういえば貴方は心臓がなかったですね〜」


 赤い呪怨を速攻でドジョウ先生に戻して、デネブさんを再度飲み込もうとしてきたガヴタタリの腕をドジョウ先生で殴り飛ばして弾きます。


「GHAAAAAAAAAAAAA!」


 ガヴタタリはかなり苛立っている様子です。

 よほどデネブさんのことを喰らいたいようですね。

 焼き鳥ならばともかく、燃えている鳥なんて自分はごめんですけど。ヨホホホホ。

 デネブさんみたいな美人ならば、喰らうより喰われたいですね。ヨホホホホ。

 変態じゃねえか!と? 今更といった感じですね〜。自分が変態など、もはや周知の事実ではありませんか。自他ともに認める紛うことなき変態です。ヨホホホホ。


 そんな変態に趣味のあれこれを言われては、ガヴタタリも迷惑かもしれませんね。

 ヨホホホホ。いいでしょう。デネブさんを食いたいというならば、自分を超えることが条件ですとも。

 というわけで、デネブさんに回復魔法をかけます。


「ヨホホホホ。安定してきましたね。これならば大丈夫でしょう」


 千里眼(医療)でもデネブさんは正常となりました。

 これで後顧の憂なしというものです。

 さっさと倒せリリクシーラが消えて無くなるだろうがボケ!と? ヨホホホホ。承知しました、手早く済ませてデネブさんと神聖ヒアント帝国の皆さんを安心させるとしましょう。

 デネブさんを助け出すことはできましたが、ガヴタタリを倒し切らない限りは真の意味で救ったとは言えませんから。最後の詰めまで、きっちり果たしてみせますとも。この職種を授けてくださった女神様の面目のためにも、ガヴタタリはここできっちりと排除いたします。


 ガヴタタリの体から吹き出る黒い嵐が、リリクシーラの町並みを壊していきます。

 デネブさんを引き出したとは言え、無機物を取り込み肥大化を続けるガヴタタリの成長は止まることを知りません。


 バキューム怪獣はブラックホールにでもなるつもりなのでしょうか?

 だとしたら、ただの邪魔ものでしかないですよね。それも物理的に特大サイズの邪魔ものです。

 ガヴタタリの場合は正攻法で滅するよりも、その習性を利用して自分の得意の戦法で滅多打ちにするほうが確実ですので、攻略法はそこまで難しいことではありません。

 ということで、ドジョウ先生をその頭かもしれない場所に投げます。

 適当だな、と? ヨホホホホ。ガヴタタリはわけのわからない怪獣ですので、適当なのが当たり前なのですよ。ヨホホホホ。

 わけわからねえな、と? ヨホホホホ。こういう相手はそこまでいないと思いたいので、理解する必要はないと思います。


 ドジョウ先生は一直線に飛んでいき、やかましい咆哮を上げているガヴタタリの喉をぶち抜きました。

 なんで頭じゃなくて喉なんだよ!と? ヨホホホホ。細かいところは気にしないでください。

 細かくねえよ!と? …そうですよね〜。結構大きな違いですよね。


 まあ、やかましい咆哮はこれで収まりました。

 さて、フィナーレといきましょうか。

 あれ以上でかくなると、本格的に邪魔です。


「ヨホホホホ。ドジョウ先生、お願いします」


 自分がドジョウ先生を通じて、ガヴタタリの取り込みの邪法に干渉します。

 それをチョチョイと弄くり回して、取り込みの邪法を書き換えます。


「What!?」


 ガヴタタリが驚きのあまりまたも英語をしゃべりました。

 GHAAAAAAAAAAAAA!とか言っていればいいのに、獣に偏りきれなかった出来損ないの英語はひどいものですね〜。

 お前よりはマシだよ、と? ヨホホホホ。確かに、自分よりまはるかにまともな存在ですね。ヨホホホホ。


 さて次の段階と参りましょう。

 そのまま取り込みの邪法を自分に移し替えます。

 ドジョウ先生に付与しましょう。

 これでもう、ガヴタタリは成長できなくなりました。


「GHAAAAAAAAAAAAA!?」


 やかましい雄叫びをあげるガヴタタリを無視し、自分は取り込みの邪法を駆使してガヴタタリを取り込みにかかります。


「自分は鳥よりも、喰らうならば見たこともない珍味に挑むたちなのですよ。その結果何度も痛い目を見てきましたけど。ヨホホホホ」


「GHAAAAAAAAAAAAA!?」


 アホじゃねえの?と? ヨホホホホ。自分がアホやらかすのはいつものことです。

 取り込んだガヴタタリを構成するものを、かたっぱしから自分の中で浄化魔法により消していきます。

 ヨホホホホ。これぞ、吞み込み消化する、治癒師の駆逐戦法です。

 治癒師関係ないだろ、と? 確かにそうですね〜。ヨホホホホ。


 リリクシーラを飲み込もうとしていた怪獣が、逆に飲み込まれていく様は、完全に自分が打って変わる怪物の構図というものです。

 ヨホホホホ。


「GHAAAAAAAAAAAAA!?」


 黒い嵐が吹き荒れているおかげで、アルデバラン様でさえまともに見ていることができない様子です。

 そのなかで、自分は咆哮というよりも断末魔とかしている声を上げているガヴタタリに対して、晒した顔を見せながら一言差し出しましょう。


「ヨホホホホ。食らわれる気分はどうでしょうか? ()()()()()


「!? Who are you!?」


 名乗っても仕方ないので、無視します。

 返答のない質問というなんとも虚しいそれを最後の言葉として、ガヴタタリは自分に完全に取り込まれ、そして消えてしまいました。

 乾いた音を立てて落ちた能面を拾い、それを装着します。


 激闘の終えた直後の静寂がリリクシーラを包む中、自分はデネブさんをお姫様抱っこで抱えてから、アルデバラン様の方に振り向きます。

 言葉を失っているアルデバラン様に対して、自分はまるでなんともなかったかのような軽い口調で声をかけました。


「ヨホホホホ。ご無事でしたか、アルデバラン様?」


「……………」


 アルデバラン様は、言葉が出ないようでした。

 当たり前だろ少しは言葉選べクソ野郎!と? ヨホホホホ。ごもっともですが、それが煽り魔というはた迷惑この上ない自分の本質なのです。ヨホホホホ。






 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡


 神聖ヒアント帝国の帝都リリクシーラにおけるガヴタタリの襲来による一連の騒動と、帝都に訪れた巨大な危機が去ってから、2日後です。

 この事件は、魔族と人族において異世界よりの浸食者という存在を改めて大きな脅威として認識するだけの材料となりました。

 デネブさんは治癒魔法の効果もあり、すぐき復帰が叶いました。

 ヨホホホホ。ちなみに、デネブさんも神聖ヒアント帝国の皆さんも、あの時ガヴタタリを倒してデネブを助け出した存在が何者であるか、わかっていません。

 それを利用して、自分はその立役者をアルデバラン様に押し付けることにしました。

 これで自分とガヴタタリという2つの巨大な脅威に打ち勝った英雄となったアルデバラン様は、魔族皇国においてその地位を大きく上げることとなるでしょう。

 神聖ヒアント帝国も、デネブさんの橋渡しにより、異世界の侵食者の存在を再認識することとなり、討伐に関して協力体制を構築することとなりました。

 異世界の侵食者という共通の敵を倒すまでですが、長い歴史においていつも争っていた2つの種族が初めて手を取り合うことになった歴史的な瞬間となったのです。

 これでアルデバラン様の地位が皇国に置いて高いものとなれば、いつしか和平の道も実現するかもしれません。ヨホホホホ。

 自分の目的はあくまでもネスティアント帝国を守ることであり、魔族を滅ぼすことなどではないので、我がなるというならば自分としては願ったり叶ったりというものです。そのためにくたばる巨悪となるならば、寧ろ似合っていますので引き受けますとも。

 なので、公的には自分は死んだものとなっています。

 これにより、人族の国家と勇者の対立が起きることもないでしょう。


「本当に良いのか?」


 何度も言われた言葉を、別れ際になってまたもアルデバラン様に問われます。

 ヨホホホホ。無論ですとも。自分には自分のやるべきことがありますから。


「ヨホホホホ。もちろんですとも。むしろ、自分としてはこれから自由に動き回れますので、好都合です」


「…本来、この賞賛はお主が受けるべきものじゃ」


 アルデバラン様はまだ渋っている様子です。

 まあ、自由に動き回れるというのはあくまでも雪城さんの捜索をできるということです。

 あとは、勇者と激突する前にジカートヒリッツ社会主義共和国連邦の浅利さんを止めることも自分の役目の1つです。

 それが終わるまでは、ネスティアント帝国には帰れませんね。

 あそこには東田様たちが加わりましたし、魔族も侵略をすることは落ち着くと思いますから、しばらくは自分がいなくでもうまく回るでしょう。


「自分に賞賛が似合いますか? これですよ? ヨホホホホ」


 そう言って、ガヴタタリから出来上がった黒式尉の面を示します。

 自分の唯一の面となりました、黒式尉の面です。かなりレアなものが出てきましたね。ヨホホホホ。


 アルデバラン様は苛立った様子で自分の声を遮りました。


「そんなものがなんだというのじゃ! そなたは国を、魔族を、ワシを…お主をあのような目に合わせたデネブまでも救って見せたのじゃぞ! それなのに…なんでお主が悪にならねばならんのじゃ!」


「…ヨホホホホ」


 こ、困りました。

 アルデバラン様は自分の境遇に怒っているようです。

 …いや〜、自分はこれで満足しているのですが。むしろ英雄として迎えられたら、それこそ今も浅利さんの牙を向けられているかもしれない雪城さんの捜索ができなくなってしまいます。

 自分にとっては、その方が耐えられません。


「ヨホホホホ。お気持ちは大変ありがたいのですが、やはり面目というものがあるでしょう。自分が英雄となって仕舞えば、2つの相入れなかった種族の国を結んで見せたデネブさんが悪にされてしまいます。その方が、可哀想だと自分は思いますが」


「ギリッ…!」


 アルデバラン様が歯ぎしりをしました。

 ヨホホホホ。怖いです。ここまで聞こえてきました。

 自分は、納得がいかない様子のアルデバラン様に事情を説明します。


「アルデバラン様。自分には、今まさに命の危険にさらされてしまっている仲間がいるのです。賞賛を受けることはいつでもできますが、助けを求めている方に手を伸ばせるのはいつでもできるということはありません。彼女を救うまで、自分はその賞賛を素直に受けることはできないでしょう。ヨホホホホ」


 一瞬、言葉を止めて、続きを話します。


「それに、罠にはめたからといってなんだというのですか? そんな理由で助けを求める声を無視するようなものに、治癒師を授かる資格はないというものです。たとえどんな相手でも、たとえどんな困難でも、助けを求める声を自分は無視することは決していたしません。全てを拾えるなどとおごるつもりはありませんが、届く限り手を伸ばさなければ自分はこの魔法を駆使する資格がないと思っているのです。そんなものに、仲間を救うことなどできるはずもないでしょう。ヨホホホホ。何より、命は尊きものですから」


「湯垣…」


 アルデバラン様は、納得はいかない様子ですが、それ以上自分を止めようとすることはやめてくれたようです。


「お主は、強いな…」


「ヨホホホホ。英雄にそう言っていただけるとは、恐縮です」


 寂しげな顔をしてから、何かを決めたような表情となり、自分を見上げます。


「…ワシは、決めたぞ」


「ヨホホホホ。何でしょうか?」


 しかし、アルデバラン様は何も言わずに転移魔法を起動しました。

 って、あれ!? な、なんですか、それは!?


「行ってくるが良い、湯垣! 必ず、お主を落としてみせるからな!」


「え!? すみません、何を言っているのか–––––」


 聞き取れません。

 そう言おうとした時には、すでに転移が完成していました。

 ヨホホホホ。何だったのでしょうか?


 …考えても結論などでないでしょう。聞き取れなかったのですから。

 きっと、本気の一騎討ちで超えてみせるとかでしょうか。

 格上はアルデバラン様の方なのですから、それはむしろ逆なのではと言いたくなったのですが、この仮説自体自分の想像でしかありませんので。


 それよりも、雪城さんを探すとしましょう。

 神聖ヒアント帝国の情報をもとにやってきたジカートヒリッツ社会主義共和国連邦の隣国である、人族国家の中でも最古の歴史を持つ国の1つ。

 自分は、ヨブトリカ王国の国土に降り立ちました。


 …と言っても、森林の中ですけど。ヨホホホホ。

これにて第3章は終結です。

拙作を読んでくださるすべての読者の皆様に感謝を申し上げます。

まことに、ありがとうございます。


…リリクシーラ編に関しては、はっきり言っておまけに近いですね。

二章における主人公が北郷であるように、三章の主人公はあくまでも鬼崎です。

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