24話
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ツヴァイク島の艦隊と連絡を取るため、ハルゼーの乗っている晴嵐には魔導無線機が備えられている。構造は音声を聞き取り送信、受信側のスピーカーでそれを再現するというもの。魔法を利用しているのでか詳しくは分からないけど、連絡できるのならば今はそれを使うことに注力する。
ハルゼーが艦隊との合流を目指して発った後、伊号四〇二はいよいよアウシュビッツ群島列国へ向けて航行を開始した。
この戦でアウシュビッツ群島列国を取り戻す戦いに決着がつく。
不思議と、参陣した多くの将兵たちは同じ予感を抱いていた。
最終局面の戦いに赴く中、私は船室にて今日のマイアとの戦闘に関する反省を行っていた。
魔法を使用する戦いにおいて、想像力は大きな武器となる。
簡略化して即座に発動できるよう、そして効率よく発揮できるように汎用性を追求した、型に当てはまる戦いが、この世界における魔法戦だった。
ネスティアント帝国においても、魔法は型に当てはめて使うものだと記される本が多い。
確かに、その方が上達も習得の早いだろう。万人向けに用いられる戦い方は、長い年月をかけて完成されている。
だが…いや、だからこそというべきか。
同じ魔法でも型を度外視した使用方法は、相手の虚をつくのにとても有効だった。
この世界における先達の積み上げて完成させてきたものを馬鹿にするつもりはないが、私は異世界の勇者で、勇者補正という恩恵を授かっている。魔力量はこの世界のものたちと比べて圧倒的であり、そのためこの世界の万人に向けられて作られている型を無視した使用の仕方の方が、むしろ合っていた。
例えるならば、戦車を倒そうとした際の手段と言えばいいか。
歩兵ならば対戦車ライフルや携行ロケットランチャーを使用する。そして奇襲攻撃で効率よく、限られた物資の中、少ない費用で大きな効果を上げようとするだろう。これがこの世界の常識であり、その戦い方を追求して組み上げた戦術が『型』となっている。
対して、その費用を抑えようという必要性がない場合。それが勇者補正による莫大な魔力を持つ私の場合に当てはまる。費用を抑える必要がないのだから、爆撃機を持ってきて一方的に、そして確実に叩き潰す。コスパはともかくとして絶大な効果を上げられるだけの資源があるのが私の場合だ。
先の戦闘に使用した水圧魔法と音響魔法も、普通はあんな非効率的なやり方はしないというのが型にある事柄である。
水圧魔法を例にすれば、私がやったように大量の水を連続的に使用するよりも、水で刃を作り飛ばす方がはるかに少ない魔力で、最初の一撃としては同じ威力を出せる。防護魔法を力技で突破せず、死角を探して斬りつけた方が少ない魔力で戦えた。
しかし、それは相手も百も承知である。
型があるからこそ、その対応手段もある。
だが、その型を無視した戦い方であれば、相手の意表をつくことが容易となるだろう。
何しろ型に対する対応は、あくまでも型に則った攻撃に対抗する手段だからだ。型を無視した戦い方には、それが型破りになればなるほどに対応できないものとなる。
音響魔法にしても、あのような手段に出る者はこの世界の常識にとらわれている限りはいないだろう。
そもそもこの世界には可聴域や周波数などの見識がまるでない。高い、低いで判断し、聞こえない音は無いとして認識している研究などなされていない雑なものだ。召喚される前の世界で常識的な科学を授業で学んだから、私には使えた戦い方である。
聞こえる周波数が種により違う。マイアはこの世界の方に則った魔法戦ならば私よりもはるかに実力が上だろうけど、型を度外視してくる私の戦い方には逆に素人以上に対応できなかったと言える。今回の勝因は、それだった。
魔法は型に当てはめるものだけど、その本質は術者のイメージにある。
魔法を想像し、それを魔力を使って実現して見せるのが魔法だ。
魔力とともに、発想が大きなカギとなる。
これに関しては、勇者補正によって型に当てはまらなくていいほどに魔力量が高かったからこそ、私にとっては有利に働く要素だった。
型に当てはめる方が向いている場合、ウォーターカッターの知識なんて知識どまりで魔法に応用なんかできなかった。
当てはまらなくていいからこそ、この世界が知らない私たちの召喚されてきた世界の事柄を魔法のイメージに当てはめることができた。
この世界における未知、そして私たちの世界における知識を武器として扱える。それは私にとって大きなアドバンテージになる。
それに、私の職種は『魔導剣士』。魔法でも剣でも戦える生粋のアタッカーだ。
これらの武器は、私にとって大きな力だった。
ただし、圧倒的に戦闘経験が少ない。
違和感をつぶさに拾えば、マイアの転移魔法のカラクリもすぐにわかったはずなのに、結局は分からなかった。
戦闘経験が乏しいので、その辺りを感知する五感がなっていないのだろう。
それだけじゃ無い。
自分が傷つくことに慣れていないため、攻撃を効率的に避けたり、怪我を急所から避けることもできない。
ひいては相手を効率的に無力化したり倒したり、時には殺すこともあるかもしれないけど、そういった攻撃にも戦闘経験の少なさから効果的な応用をしきれていない。
戦闘経験の少なさ。それが目下の課題であり、それは一朝一夕に、そして安全に克服できるものではなかった。
マイアの時はうまく行ったけど、今度の総統府の戦いは多対一の戦いが多くなるだろう。特に勇者である私は、周囲に言い方は悪いけど足手まといになる味方がいるよりは単独で切り進んで強敵を引きつけて戦うほうが効果的である。
そのため、今度の総統府奪還戦においては単独行動を取るつもりだ。
目標は、敵の最大戦力と思われるケラエノとエルナト、二体の将軍の魔族。
これさえ押さえれば、後は神国軍もついている人族の軍勢なら対応はできるはずだ。
その間にスプルーアンスとマハンを確保してもらう寸法だ。
だけど、当然敵の軍勢も浮いてくる可能性は高い。
マイアの時は一対一だったから目の前の相手にさえ集中すればよかったけど、今回は常に死角を気にして周囲を警戒しながら立ち回る必要がある。
これに関しても、やはり経験が大きな要素だろう。感覚については勇者補正と職種の恩恵から常人をはるかに上回るものを持っているけど、戦闘中でもその入ってくる情報を処理して対応していけるかどうかはわからない。たぶん、慣れなければ難しい。対峙する敵が強ければ強いほど、さらに難しくなるだろう。
それでも、アウシュビッツ群島列国を取り戻すために、私は逃げるつもりはなかった。
傷つくことを恐れていては、戦うことを恐れていては、帝国はおろか仲間さえ守れない。
デーニッツとラインハルトの石化が解けなかったらと思うと、目の前で仲間が石化されるのを見ているしかなかったかっての私自身に悔しいという気持ちを強く抱く。
もう、彼らを傷つけたくない。失いたくない。
私は、刀を握り職種で使えるようになった剣術を反復して振ってみながら、その感触に思考をなじませて行った。
「鬼崎様、失礼します」
素振りをしていると、時間の経過を忘れてしまう。
唐突に私の思考を戻したのは、グスタフのノックの音だった。
「どうぞ、鍵なら空いてますよ」
首筋に流れる汗をぬぐいながら、私は答える。
一旦素振りを止めて、刀を鞘に収める中、扉を開けてグスタフが入ってきた。
「ハルゼー提督より艦隊と無事に–––––って、うわぁ!?」
要件を口にしながら入ってきたグスタフは、私のことを見るなりいきなり素っ頓狂な声を上げて両手で目元を覆った。
何がしたいのかさっぱり分からず、私は思わず問いかける。
「…どうしたのですか? 幽霊でも見ましたか?」
本当にそうならば、今頃グスタフも私も顔が真っ青になっている筈だ。
しかし、私は不気味な寒気のようなものは感じないし、グスタフの顔は真っ青というよりは真っ赤である。
…そういえば、召喚される前にもこんな反応を海藤にされたことがあった。
その時、海藤が何に対してそんな反応をしたのかを思い出す。
あの時は確か、この世界に召喚されているだろうクラスメイトの1人、矢田野に誘われて15名のクラスメイトと一緒に彼女の実家の所有する別荘で冬のひと時を過ごしていた頃である。
いわゆるお泊まり会というやつで、2日遅れのクリスマスを参加者で祝い騒いだ楽しいひと時の記憶である。
その際に、初日の夜にサプライズということで矢田野、湯垣、十河、東田、六人部、そして私の企画側のメンバー6人でサンタの仮装をして、クラスメイトが寝ていた部屋に突入しては、集めたプレゼントを配って回った。
その時、海藤が私の格好を見てこんな反応をしたのをよく覚えている。
あの時は確か、私は調子に乗ってミニスカにヘソ出し半袖のサンタ衣装という今思えばとても恥ずかしくなる格好で海藤のところに突入した。
ちなみに、湯垣はトナカイのかぶりものを頭に装着した相変わらずのフルフェイススタイル、矢田野はなぜかピエロにサンタ装束、東田は白ひげ装着のサンタクロース、六人部は森の妖精みたいな緑を基調としたとんがり帽子とワンピース、十河は片眼鏡とシルクハットにクリスマス模様の赤白のストライプ柄の入ったスーツ姿という何とも面白い組み合わせだった。
そこで、海藤は私の格好を見て顔を真っ赤にして混乱した。
あの時そんな反応をされたのは、さすがにふざけすぎた格好が女性慣れしていない海藤には刺激が強すぎたと思う。
もしもグスタフが同じような理由だとするならばと、自分の格好を見下ろしてみた。
今は上着を脱いでシャツと長ズボンという特に色気も無い動きやすい格好だ。
けど、汗のしみたシャツは肌にまとわりついており、下着が透けている。
別にこのくらいは見られても平気だと思うのだけど、それでもグスタフにとっては刺激が強いのだろうか?
私は年増扱いされることはあってもそれはあくまで精神年齢においてのこと。
グスタフから見れば、まだ子供扱いされても文句の言えないような若造だ。
そんな相手にすらこんな反応をするということは、もしかしてグスタフってほとんど女性と関わったことが無いのだろうか?
〔余計な詮索だよね…〕
さすがにそこに踏み込んでまでからかおうとは思わないので、とりあえず椅子にかけてあったタオルで透けている箇所を隠す。
「見苦しい格好ですみません。それで、何か?」
そして声をかけると、予想が当たっていたのか、それでもまだ直視できないくせにチラ見してしまうみたいだったけど、なんとかグスタフは落ち着きを取り戻してくれた。
「いえ、見苦しいなど…コホン。私の方こそ、見苦しい姿を。申し訳ありません」
「別に気にして無いですよ。それよりも、なんでしょうか?」
グスタフも私に促されて、本題に入ることにしたようだ。
男の性はどの世界でも同じらしく、真面目な話なのに何回か私の胸元やヘソのあたりに視線をチラチラと向けている。
まあ、このくらいなら慣れているので許容できる。さすがに舐め回すようにじい〜と見られるのは不愉快だけど、チラ見くらいは許容できなければキリが無いのでその辺りは何も言わないでいる。
さて、先ほど言いかけたこと。
グスタフが私のところに来た要件は、ハルゼーがツヴァイク島に集結しつつあった艦隊と合流できたというものだった。
「すでにハルゼー提督は動ける艦から動員して、大きく7つの軍団に分かれてアウシュビッツ群島列国本島へ向け進撃を開始しているとのことです。我々は作戦通り艦隊とは別行動でアウシュビッツ群島列国本島へ向います」
「わかりました。今の所は順調ということですね?」
グスタフは頷く。
まもなく伊号四〇二も動き始めるので、移動に備えて欲しいとのことだった。
「勇者様は我らに取っても切り札です。今夜はお休みになって、決戦に備えてください」
「そうさせてもらいます」
グスタフの言葉に頷く。
彼が退室した後、動き始めた伊号四〇二の中で、私は決戦に備えて早めの就寝をとることにした。
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先行したケラエノ率いる魔族軍に続くように神聖ヒアント帝国を出陣した六甲騎士団の一角、『アイオワ』騎士団。
計20隻から成る艦隊で総統府を目指して進撃を続けた彼らであったが、その行く手を阻むようにアウシュビッツ群島列国との領海の境目にてアイオワの前にその敵は突然立ちふさがった。
旗艦にて、その敵を確認したアイオワの団長であるランスロットは、単騎で立ち塞がった敵を見て全艦に停止命令を出した。
「…何故こんなところに魔族が?」
アイオワの前に立ち塞がったのは、斧を携えた一騎の魔族で、傀儡となってしまっている神聖ヒアント帝国を陰から操っている立場にいる魔族皇国軍の将軍の一角であった。
その魔族の将軍の名は、アルキオネ。
霧の巨人の魔族であり、巨人の魔族の中でも希少種である女性体の魔族である。
この魔族の将軍は、本来北部地帯にて神聖ヒアント帝国に上陸してくる異世界の侵食者である仮面の勇者を迎撃するためにノースカロライナの後を追って帝都を発ったはずである。
それが何故このようなところにいるのか不明だが、洗脳魔法で魔族が味方であると誤認させられているランスロットは、その魔法に組み込まれた指示に従い、将軍であるアルキオネに指示を仰ぐことにした。
「アルキオネ殿、何故こちらに!? 我々に何かご用命でしょうか!?」
そう尋ねると、アルキオネは旗艦に飛び乗ってきた。
ランスロットの前にアルキオネが立つ。
その時、突然アイオワ騎士団に対して洗脳の魔法を通じて新たな指示が送られてきた。
『アルキオネを抹殺せよ』
他の団長以上に洗脳魔法に侵されたランスロットは、自我をすでに失っている。
すぐに武器である魔導機構の備え付けられている腕甲をはめると、それまで敵意など欠片も向けていなかったアルキオネに殴りかかった。
「死ね、反逆者!」
それをアルキオネは斧で受け止める。
「ッ!?」
人族と魔族ではそもそもの力が違う。
アルキオネに攻撃を押し返されて弾かれたランスロットが二の足を踏む。
そこに、アルキオネは振り回した斧を叩き込んだ。
「ぐっ!?」
とっさに腕甲で防いだランスロットであるが、そのまま甲板に無様に転がってしまう。
それを皮切りに、一斉にアイオワによるアルキオネへの銃撃、砲撃の嵐が巻き上がった。
その砲火の中で、アルキオネはアイオワの進軍を食い止め、騎士団を潰しにかかる。
「…仮面の勇者よ。貴様に拾われたこの命、貴様の仲間のために使ってやる」
アルキオネは銃撃を物ともせずにかいくぐると、アイオワ団長であるランスロットとの距離をひと息に詰め、斧でその体を両断した。
「ガアッ!?」
たった一撃。
それだけで、神聖ヒアント帝国最強の騎士の一角の地位を預かる男は、魔族の駒とされて操られていたその人生を強制的に終わらせられた。
アルキオネの妨害により、アイオワ騎士団は壊滅。総統府防衛のために送られた援軍のうち、約半分の戦力がここで決戦に加わることもなく退場させられる。
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ツヴァイク島に集結していたハルゼー艦隊。
そこに旗頭であるハルゼーが合流を果たす。
「…まさか、こんなに集まってたとはなあ」
ハルゼーを慕い、総統に逆らうことになっても集まってくれたアウシュビッツ群島列国軍の多数の艦を見て、ハルゼーはそう呟いた。
ツヴァイク島には各地から集まったハルゼーを慕うアウシュビッツ群島列国軍、アウシュビッツ群島列国の傭兵海軍の数々、神聖ヒアント帝国六甲騎士団の一角であるコロラドの艦隊、そしてガヴリールの配下である神国軍と、多数の軍勢がある。
合流を果たしたハルゼーは、晴嵐から降りて一通り集まってくれたものたちと顔を見合わせ言葉を交わした後、主だったものを集めて作戦の内容を伝え、総統府奪還に向けて大艦隊を大きく7つに分けて出陣を命じた。
すでに先発の艦隊から第四艦隊までが出陣しツヴァイク島を発っている。
「そろそろ俺たちも出るか」
ハルゼーが陽動作戦の囮を担うこの大艦隊の本隊である第五艦隊の出陣の号令をかけようとした時、ツヴァイク島に4隻の神聖ヒアント帝国の旗を掲げた航空戦艦が姿を現した。
「神聖ヒアント帝国軍だと!?」
即座に対空戦闘の準備が執り行われる。
しかし、神聖ヒアント帝国軍の旗を掲げたその艦隊は、こちらが対空砲火を行うのに先んじて白旗を振ってきた。
「どういう事だ?」
神聖ヒアント帝国は今の所魔族の傀儡国家。敵のはずである。
ハルゼーが困惑する中、その航空戦艦は一旦ツヴァイク島に降り立ち、リーダーと思われる2人の人物がハルゼーに接触を図ってきた。
その2人は、神聖ヒアント帝国において最強の6つの騎士団からなる六甲騎士団の一角、ノースカロライナの先代団長と現団長の親娘だった。
ノースカロライナの団長であるセシリアは、六甲騎士団団長で唯一洗脳魔法を受けていない。
アルキオネ、そしてフォーマルハウトの襲来から異世界の侵食者と聞かされていた仮面の勇者である湯垣に助けられた彼女は、せめてもの罪滅ぼしにと神聖ヒアント帝国から出て、アウシュビッツ群島列国までやってきた。
そして、そこでコロラド騎士団とルメイが健在である事を知り、アウシュビッツ群島列国を取り戻そうとしている軍に加わるべく、北上してきた次第だった。
勇者の1人である鬼崎がこの国を取り戻す戦いを主導している事は、既にアウシュビッツ群島列国に入ってきた際にセシリアたちも情報を集めて知ったので、勇者の助けになる事でせめて湯垣に対する罪滅ぼしの一環になりたいと、ハルゼー艦隊に加えてもらうために来た。
事の次第を聞いたハルゼーは、即答した。
「もちろん、俺たちとしても戦力が増えるのは願ったり叶ったりだ! この艦隊は囮だからな、数は多ければ多いほどむしろいい!」
ガヴリールの率いる天族の神国軍。
セシリアの率いる六甲騎士団ノースカロライナ。
魔族の将軍アルキオネ。
能面を被った勇者というか変質者のこの世界の常識とはかけ離れた精神によってその命を救われた者たちが、同じ勇者である鬼崎に協力してその借りを清算するために集まりつつある。
その戦力は決して小さいものではなく、着実にアウシュビッツ群島列国を取り戻すその未来を勝ち取る力となっていた。
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囮であるハルゼー艦隊は、新たにその軍団にノースカロライナを加え、進撃する。
それに対してアウシュビッツ群島列国の総統府は、キングの率いる本土防衛艦隊と総統府に集結していた魔族軍を送り出し、その迎撃を行う。
数の上では魔族軍を加えたキング艦隊の方が上手だが、ハルゼー艦隊は退かずにその艦隊戦に挑んだ。
アウシュビッツ群島列国を二分しその運命をかけた大海戦が幕を開けた。
そして、それに合わせて伊号四〇二は総統府のあるアウシュビッツ群島列国の本当の湾内に単艦で潜入し、手薄となっていた総統府に奇襲を仕掛けた。
決戦の火蓋が、切って落とされた。
六甲騎士団アイオワ団長ランスロット
…アルキオネとの戦闘で戦死。




