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異世界から勇者を呼んだら、とんでもない迷惑集団が来た件(前編)  作者: 笹川 慶介
南部海岸地帯・魔導の森
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10話

 真っ逆さまになったと思ったら、高い水しぶきを上げて海中に引きずり込まれました。

 高いとは言っても、陸奥と比べると微々たるものです。その上げた水飛沫も大戦艦の航海の大音量に飲み込まれて消えてしまいました。

 甲板で大声をあげたりしなかったのが痛かったですね。陸奥の乗員にこの襲撃を伝えることができませんでした。

 あとは襲撃者がこの1人であることを祈るだけなのですが…。

 陸奥の上げる波にさらわれて、体制が安定しません。


 ガボガボガボ…。


 海水大量に飲み込んでしまいでした。ヨホホホホ。

 波が頭に被ります。

 体が沈んでいきますね。

 あ、また逆さまになりました。

 ゴボゴボ…。

 あの…この状況は結構大変かもしれません。

 陸奥に早く遠ざかってもらいたいです。


 因みに御手杵は手放していません。

 相手がまだ槍に絡みついていることから、陸奥にこれを近づけないための処置です。

 こちらからしがみつきに行くことはちょっと無茶ですよ。

 取り敢えず、陸奥の起こす波をやり過ごさなければ海上に這い上がることもできません。

 要するに、このままだと呼吸困難になるわけです。

 …シャレになりませんよ、これは。


「…プハッ! ゼェ–––––ガボガボ!?」


 また波被りましたよ。

 息が苦しいです。大変ですな。我がことですが。


 と、陸奥のスクリューが迫ってきました。

 漂流者からしてみれば大きな水流が形成されており、スクリューに吸い込まれます。

 おっと、これはまずい事態ですね。

 自由がきかないのか、槍に絡み付いる相手も流れにさらわれないように槍にしがみついています。姿はまだ見てませんが、この状況では泳げないかもしれません。

 このままですと、2人ともミンチ確定ですね。


 ここで引き合いに出すのが、泥沼にはまった二頭の獣です。

 食い、食われる間柄ではあるものの、互いに争えば消耗し泥沼の餌食となります。

 その場合、助け合って泥沼から生還を果たすことが目的となりますね。そこに弱肉強食のアレヤコレヤといった生物間のいざこざは置いておく必要があります。

 泥沼から出るには、片方の獣がもう片方の獣の足場として犠牲となり、片方だけでも生かすという選択をするべきでしょう。

 無益な争いは、たとえ敵同士であっても意味をなさないものです。


 さて、どちらが生き残るかなんて馬鹿げた喧嘩をしている間に両方沈みます。

 よって、ここは蘇生魔法と治癒魔法を行使できる自分が贄となり相手を生還させるべきでしょう。勿論ですが、仲間のための心中ならばいざ知らず、敵の足場として生を終えるつもりはありませんよ。適役だからここは自分が轢かれるまでで、終わったあとは海の中で売られたその喧嘩を存分に買い取らせてもらいますとも。ヨホホホホ。


 というわけで、御手杵を強化魔法を利用して全力で可能な限り陸奥から遠ざけるように投げてました。

 そしてすぐに蘇生魔法の自動発動を自分自身に仕込みます。

 それが完了した直後、まさに紙一重のタイミングで自分はスクリューに巻き込まれて切り刻まれました。ミンチです。挽肉の完成です。


「ふっかあ–––––アァァアババババババ!?」


 そして直後に蘇生します。

 そして直後にスクリューの波にのまれて海中に押し込まれます。

 ですが、スクリューの作る水流により陸奥から多少離れることには成功しました。


「プハッ! ハァハァ…」


 ようやくまともに海上に頭を出すことができました。

 いや〜、襲われて早々にひどい目にあいましたね。

 航行中の船の近くはサメの群れよりも危険とは、案外バカにならない体験でしたな。

 ヨホホホホ。実際、一度死にましたし。


 陸奥は気付かぬままに航海を続けていきます。

 夜の海水はしみますな。体の熱が瞬く間に奪われます。

 回復魔法で体温を維持しますが、万能なる回復魔法がなかったらここでお陀仏でした。

 そもそも蘇生魔法がなければスクリューに轢かれて死んだまま帰らぬ人となっていましたね。ヨホホホホ。


 御手杵にしがみついている襲撃者の気配も健在です。

 どうやら無事に陸奥から退避できたようですね。ヨホホホホ。

 夜の月明かりのみでは相手の位置を目視できませんが、気配を察知することはできます。

 そして奪われた御手杵を持ったまま海中に潜むその相手から伝わる気配を感じ取り、その度合いに我が目を疑いたくなりました。

 ヨホホホホ。相手は、人族ではなく魔族の気配をまとっております。

 しかも、かつて対峙したサラトガ氏やシュラタン氏をも圧倒的に上回る、まさに個の武力としては自分の知る限りダントツで最強に思えます。

 その相手から発せられる気配の質は、桁違いの強さを醸し出していました。


「ヨホホホホ。ご無事なのは何よりですが、えらい敵と遭遇してしまったかもしれませんね」


 実際、遭遇しました。

 気配はたった一体なのですが、その魔族の気配から伝わる圧倒的な強さは数千数万の軍勢に匹敵するものです。

 例えるなら、次元の1つ違う存在とでもいいましょうか。

 さもありなん、絶対に勝てませんよね〜。ヨホホホホ。


 幸いなのはその敵がたった1人であることでしょう。

 軍勢率いてこられたら、陸奥に襲撃があるはずですから大変なことになっていました。

 いかに長門型戦艦といえど、一隻。砲と弾薬も限りがありますし、戦艦を扱っているのは人族です。白兵戦となれば魔族相手には一方的に狩られる側になるでしょうし、そうなれば皇女殿下を守れる戦力がありません。


 魔族の方は進む陸奥には目もくれず、こちらに狙いを定めたままのようです。これも幸いですね。

 襲撃時のあの速度を考えると、自分では陸奥を追う魔族には到底追いつけません。

 治癒師の本懐としてこの手の届く範囲においては自分より先に仲間を殺させはしないを主義としていますので、届かない先に行かれてはどうしようもありませんでした。

 取り敢えず、魔族さんの興味が移るか自分が殺されるかまではカクさんの方に魔族さんが襲うことはないと思います。魔族さんの醸し出す圧倒的な強者の気配を考えると、カクさんでも片手間で片付けられそうな力を持っているようですから。


 取り敢えず、少しでも時間を稼ぐために自身に対して蘇生魔法を再度仕込みます。

 これでもう一度死んでも、即座に復活が可能ですね。ヨホホホホ。

 いや〜、この魔法本当に便利です。魔力も無尽蔵にありますし、本当に女神様には感謝してもしきれません。子爵領で復興のシンボルとして女神様を奉り、新たな宗教を立ち上げるとしましょう。名付けて女神様教団。そのまんまですが、それがいいのです。ヨホホホホ。


 足場を確保するために防護魔法を柱のようにして自分の足元に海底へ向けて縦長に作り上げます。

 さながら海中に存在する見えない円筒ですね。

 ちくわ…いや、穴が開いてないので、新品の鉛筆の方が良いでしょうか。


 そんな例えばどうでもいいですね。いいですよね〜。ヨホホホホ。

 さて、海中に目を凝らせば、何やら魔族さんに動きがありました。

 見えたとかではなくて、気配から動いたというのを感じ取っただけですが。


 急激な勢いでこちらに向かい上がってきています。

 さながら海中から迫る魚雷のようで…って、自分を陸奥から引き摺り下ろした際と同じ突進ではないですか!?

 急いで防護魔法を展開して、進路をふさぎます。


 しかし、三重に作った強固な魔法による盾はいともたやすく打ち砕かれて、海上にその魔族さんが飛び上がってきました。

 水しぶきがかかり、思わず目を閉じてしまいます。

 ヨホホホホ。鍛錬不足といいますか、敵前で自ら視界を閉ざすという愚行をしてしまいました。

 そこに魔族さんの容赦のない攻撃が振るわれます。


「最初に受けた一撃の礼じゃ、受け取れ勇者!」


「–––––ッ!?」


 衝撃が体を突き抜けました。

 魔族さん的には最初のバット攻撃のお返し程度のつもりだったのでしょうが、自分にとっては強力な攻撃です。

 御手杵を叩きつけられた自分は、立っていた足場から大きく弾き飛ばされました。


 激痛ですね。内臓が潰されたようです。

 空中で即座に治癒魔法を行使して破壊された臓器を修復します。

 御手杵に続いて足場までとられました。まあ、仕方のないことでしょう。

 そのまま海に真っ逆さまと行きたいところでしたが、魔族さんの容赦ない追撃が行われます。


「そこじゃ、食らうが良い!」


 占領した足場に立った魔族さんは、自分めがけて御手杵を投げつけてきました。

 魔族さんの声を聞いたと同時に防護魔法の展開を解除して足場を崩しましたが、槍には十分な威力が乗せられたまま放たれてしまいました。

 狙いはしっかりと自分となっています。


 急所である心臓と頭を庇います。

 御手杵は自分の左肩に直撃し、腕一本の根元を丸々消しとばして空の彼方に飛んで行ってしまいました。

 ヨホホホホ。カクさん申し訳ありません。


 血を飛び散らせながらも、治癒魔法を行使して腕を再生させ、回復魔法を同時展開して失われた血を取り戻します。

 それからまた足場を形成して、海底まで届く見えない塔の頂上に降り立ちました。


「ヨホホホホ。力強い一撃ですな。治癒師でなかったと想像すると、到底生き残っている自分のことが想像できません。ヨホホホホ」


 千切れ飛んだ腕が落ちていきます。

 まあ、新しい腕が再生した以上あの腕は用済みなので拾いに行くことはしませんとも。


 魔族さんは海中に戻ったようですが、自分の切れた腕が落ちたところに浮上してきました。

 月明かりに照らされた中で、ようやくまともに初対面を果たします。

 自分の落とした腕を拾い上げたその魔族さんの姿は、赤金色の重厚な鎧に身を覆い、頭からは水牛のような立派に天へ向かって伸びた双角を宿し、色素のない真っ白な髪に同じく真っ白な肌と、燃え上がるような緋色の瞳を宿した、人型の…角と尾が無ければ人族に見間違えることもあるであろう外見の女性体の魔族でした。


 真っ白な色素のない肌は、角も相成りまるで動く像のような無機質で生命感の感じないものです。

 しかし、対照的に緋色に燃え上がるような瞳は闘志と強い感情による主張を感じさせるもので、肌から感じ不向き質感を打ち消すほどの存在感があります。


 そして、何よりもその魔族さんはまぎれもない美人でした。

 自分があったことのある人型の魔族がサラトガ氏とシュラタン氏だけですから、 片や吸血鬼で片やヤギさんでしたし。魔族の外見というものはよくわかりませんな。


 敵さんが美人でも、特に重要性を感じるものではありません。

 手加減なんかしていられない力量差があるというのはわかりきっていますから。油断なんかしませんとも。


 御手杵、借りたものなのですが夜空の星となってしまいました。

 そして自分は今や徒手空拳です。

 武器はありません。魔族さんの動きを見る限り、相手は海中も得意とするようで、地の利もありません。

 そして、まず勝てないであろう力量差をプンプン感じます。

 …勝てませんね、これ。ヨホホホホ。勝てる見込みありません。


 美人の魔族さんは自分から目を離さず、警戒するようなさりとて拍子抜けするような視線を向けています。

 原因は、十中八九、この面でしょう。

 延命冠者の面はわかりやすい笑みが特徴ですからね。

 面だけでなく自分もしょっちゅう笑っていますが。ヨホホホホ。


「凍れ」


 それはともかく、魔族さんが魔法を発動させました。

 たったの一句で瞬く間にその場に氷が浮かび上がります。

 浮かび上がったというよりは、凍らせたという方が正しいかもしれませんが。

 魔族さんはその完成した足場に上がり、自分と同じ高さに目線を持ってきました。


 彼我の距離は3メートル程度です。

 正直、動いて襲撃をされたら一撃でやられる可能性が大の距離感です。


 その状態の中で、魔族さんは動くのかと思いきや、攻撃の手を一旦下げて口を開きました。

 どうやら、何らかの対話をするつもりのようです。


「エルナトの報告とは違うようだが…お主もまた人族の勇者で相違ないか?」


 問いかけてきたということは、ひとまず、対話するということでしょうか。何はともあれ取り敢えず問答無用でバトル再開よりは遥かにマシなものです。

 バトル再開では、自分が速攻で殺されてますから。ヨホホホホ。

 向こうがせっかく好都合の出方をしてくださったのです。

 海に落とされたことは恨んでなどいませんし、御手杵はカクさんのものなのでこれも特に怒ってません。

 別段この魔族さんに殺意が湧くということもないので、穏便に話が進むように自分も対話に応じることとしました。


「ヨホホホホ。いかにも。自分はこちらの世界に異世界より召喚された人族の勇者の1人という認識で正解です」


「左様か。ワシの名はアルデバラン。知っておるとは思うが、お主らを召喚したであろう人族の国家どもと敵対関係にある魔族皇国に使える将軍の1人じゃ」


 自分の返答に対して、魔族さん–––––アルデバランさんは先ほどまで殺し合いをしていたことなど気にもとめないかのように、さも当たり前と言わんばかりの調子で名乗りを上げました。

 名乗られたからには、こちらも名乗るのが礼儀というものでしょう。

 というわけで、やはり何度やっても飽きません自己紹介を毎度と同じ要領で行います。

 大仰に腕を回し、その手を腰と胸に当てて、片足を半歩退けて腰を深く曲げ、その場に一礼をしながら毎回の口上を述べます。


「名乗られたからには名乗りを返すが礼儀というものでしょう。こちらも自己紹介をさせていただきます。初めまして、魔族の強壮なる将軍、アルデバラン様。私、名前を湯垣ゆがき 暮直くれただと申します。面についての無礼はご容赦いただきたく。同郷である他の勇者には変態仮面奇術師、またはマヌケと呼ばれている身です。名前よりも、面を被った頭のネジが錆び付いてすらいない段階で外れてなくしてしまっている変態という認識のもとによるあだ名で呼んでいただいた方が、自分としましてもありがたいことです。以後、お見知り置きを」


 大抵白けるか、奇異な目で見られるか、さもなくば妨害されるか、暴力を振るわれるか。これらの反応ばかり受けてきた自分ですが、アルデバランさん…いや、1度様付けしたので以降もアルデバラン様と呼ばせて頂きましょう。アルデバラン様はそんな自分の悪ふざけをしていると受け取られてもおかしくなどない自己紹介に対して、笑いをあげました。


「ワハハ! お主、面白い勇者じゃのう。ワシ自身もそうであるがゆえに、変人・奇人は気にいるたちでな。暮直と申したか? お主のこと、気に入ったわ!」


 いきなり笑い出して、いつの間にか気に入られてしまいました。

 確かに、アルデバラン様から見ても変人ですからね、自分。人族全員を比べても、自分の変人指数が上回っている自信さえありますので。

 そんな自信が何の役に立つんだよ!と?

 ヨホホホホ。それは簡単なことですよ。はっきり申し上げて、役に立つ場面なんか、一切合切ありませんとも。あったら、それは世界の方がおかしいです。


 アルデバラン様は砕けた態度がお好みなのでしょう。

 自分のことも早速名前で呼んできました。

 名前で呼ばれるのはせいぜい従姉…くらいでしたので。最近では双子が『顔面隠蔽工作員』なんてクソ長いあだ名をつけていました。

 ヨホホホホ。結構、気に入っています。従姉妹たちにつけられたこのあだ名。


 アルデバラン様は、その燃え上がるような瞳を向けながら、拳と手のひらを突き合わせて不敵な笑みを浮かべました。

 殺しあうつもり、満々のようですね。戦闘態勢ということなのでしょう。


「さて…互いの名も知ったのならば、改めて拳を交えることに何の躊躇いがあろうか。異世界の勇者よ、ワシを楽しませて見せよ」


 好戦的な笑みは、無機質な肌や髪の発する作り物感を通り越し、さながら猪突猛進な闘牛のような印象を抱かせます。

 アルデバラン様はシュラタン殿と同じ、戦闘が大好きなご様子です。

 ヨホホホホ。自分は絡め手あってこその戦いなので満足させられるかどうかはわかりませんが、だからと言ってアルデバラン様の誘いを無下にするつもりもありません。

 何しろ、陸奥のためにも時間稼ぎをしなければなりませんから。


 というわけで、徒手空拳ながらも構えをとります。

 一応確認としまして、自分が正面からの戦いにこだわる戦闘狂というわけではないので、搦め手の存在は必須であることは伝えましょう。

 これに対して卑怯な!とか他者から言われましても、困りますが。

 その場合は潔く諦めるつもりです。


「ヨホホホホ。自分、勇者の中ではこと戦闘に関して雑魚のような存在ですので。アルデバラン様ほどの方を楽しませるには不相応ですが、奇策・搦め手を用いることを許可いただければ少しはご期待に添えられるかもしれません。如何でしょうか?」


「かまわぬ。もとより地の利はこちらにある。お主に多少のハンデくらいやらなければそれこそつまらぬからな」


 アルデバラン様は、思いの外あっさりと快諾してくださいました。

 ならば、戦闘といきましょう。


「ヨホホホホ。ありがとうございます。では、先手必勝!」


 身体に強化魔法をかけます。

 加えてドーピング発動させます。

 これにより身体能力は爆発的に上昇されました。

 それから動かずにいるアルデバラン様へ一息に間合いを詰めにかかります。

 奇策もなしの先手必勝攻撃は、発勁を放つ前に、自分の腕を放り投げたアルデバラン様の手によって簡単に受け止められていました。


「ほう、力を増幅したか。強化魔法が扱えると見たぞ」


 余裕で受け止めたアルデバラン様の様子は平然としています。


「だが、地の利を使えば関係あるまい。ともに落ちて貰うぞ」


 構わず蹴りを入れますが、それも簡単に止めたにアルデバラン様に大きく引っ張られます。


「っ!?」


 アルデバラン様に引かれ、体勢を崩していた自分はそのまま海に落ちました。

 水中でアルデバラン様に手を引かれているためにバランスを取るのもままならない自分に対して、アルデバラン様は自分の腕を離さずに体制をうまくキープしています。

 そして、半身を引いて拳を構えていました。


「!?」


 何だか、すごい大技が来る気がします。

 しかし海中では体制を変える自由もなく、おまけにアルデバラン様に掴まれているので、躱しようがありません。

 防護魔法を展開します。気休め程度ですが。

 まさにその通りとなり、防護魔法は気休め程度の活躍のみで砕け散り、アルデバラン様の強力な拳が自分の鳩尾に直撃しました。


「–––––ッ!?」


 体を貫くその強力な衝撃に、意識が飛びそうになります。

 何とかかろうじて意識を保った直後に、激痛と呼吸ができない苦しみが同時に襲ってきました。


 ヨホホホホ。まずいです。すでにピンチかもしれません。

蛙の能面は男、というよりも怨霊系の属する面です。

三途の川にいる妖怪という事になっているそうですが、川の守人とも言われていますので、怨霊に当てはまるかどうかは伝承によって変わってきます。

面の特徴は痩せ男よりもより陰湿で暗い表情が特徴ですね。

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