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プロローグ

思いついた当時、頭がお花畑な自分の頭が露出した作品ですが、同時に自らも久々に心から「面白そうだな」という作品を書かせていただきます。

久々すぎる「一次創作」であり、二次創作ものより時間かかるかもしれませんが、ゆっくりと温かい目で笑い、そして燃える展開を作っていけたらなと思っています。

「資材管理役のジュンマー! どうだ!」

「はっ! 船長! 現在食材の管理がきついです! このままではあと数日は持ちません!」


 とある穏やかな夜の中、中規模の船が海を横断していた。その船内で、十数人の男たちがテーブルを囲み、報告会をしていたようだ。

 ジュンマーと呼ばれた、麻の服着た動きやすそうな中柄な男は敬礼しながら船長である、と思われる、赤く目立つコートを羽織り、髭を少し生やしガサツに伸びた茶髪の40代ぐらいの男に報告した。


 その男は顎に手を置きながら小さく唸る。この船旅において、食料は命の次に大切なもの。となると、考える間もなく補給するべきか。そう彼は思っていた。

 幸い、あと一日持てば何処かの港町に辿り着くはずだ。そこまで持てば大丈夫か。彼は軽くまとめた後、指示をした。


「よっし分かった。次の目的は港町だ。そこで船を泊めてもらって資材確保ってところだ! いいな!」

「「「イエッサー!!」」」


 この雨の真っ只中、彼らは意気投合した。

 きっと、ここまでの間に様々な苦悩や困難が待ち受けていたのだろう。しかし、それらを乗り越え、こうしてめげずに生きている―――。


 彼らが、『海賊』だからであろう。


 宝があれば進み、奪い、我が物にする。これはこの時代、何も珍しいことじゃない。しかし、彼らは町を荒らさないし、必要ではない争いはそこまで好きではない。


 それでも、その船長は『賞金首』であった。


 何となく、このことを気にしている彼は本当に不本意であった。ただ財宝奪ってるだけだってのに、どうして賞金首になってしまったのか、気になっていた。

 ……財宝を『奪ってる』時点でもう立派な賞金首だろ、というツッコみは禁句だ。


「まぁ考えても仕方ねぇ。兎にも角にも、次の街も穏便にいきてぇもんだな」


 相談もせず、ただ一人ボソリと呟く。一応、賞金首としてはそこらかしこに名は知れ渡ってはいるが、穏便に済む自信はあるのだ。ある意味、自分の人徳というやつだろう、と彼は自覚していた。


「しかしまぁ……」


 彼は何となく気になっていた。この船、『華』がないことに。

 こうした男だらけでむさ苦しい船に女性の一人でも乗らせて一緒に大海原を渡りたい、そう思ってはいたが、こうした危険な船旅の中で女性を乗せることにも抵抗感がある。せめて可憐で強い女性がいればなとはいつも思ってるが、そうしたお目当ての人物はなかなかいない。


「ま、今度の港町はこの世界じゃ結構活気あるみてぇだし、誰かしらはいるんだろ」

「船長ー? なーに一人でブツクサ呟いているんスかー?」


 若干小柄な男が、彼に向かって話しかけてくる。彼は「さぁな」とだけ呟いて大きく立ち上がった。


「少し外の空気を吸ってくる」


 それだけ言うと、一度その場を後にした。


======


「……」


 一方。一つの大陸にある深い森の中。丈の長い漆黒のコートを身にまとい、長い白髪の女性が佇んでいた。


 右手には血を滴らせる、刃渡り25cmほどのダガーを握りしめ、足元には、おそらく彼女が斬ったであろう多数の人間が死体となって倒れていた。

 その一つの死体に、彼女は手をかけ、何かを探り始めた。

 深と沈んだ森の中、一つの音が不気味に音を立て、そして、消える。

 彼女の左手には、赤い宝石が埋め込まれていたバッチが握られていた。


「こいつと……後は……」


 次の瞬間、彼女は素早く、その死体の首をダガーで切断し、頭部のみを懐から取り出した麻の袋に詰め込んだ。

 一体どれだけの人間が、彼女の手によって死んでいったのだろうか。誰かがその光景を見ればそう思ってしまうような動きだった。


 彼女が、『賞金稼ぎ』だからであろう。


 必要とあれば敵を殺し、自分が生きて、一生を繋ぐ。まるで橋渡のような人生を彼女は歩んでいるのだろう。

 かと言って、本当に人を殺すことは相手が『賞金首』以外あまりないし、それ以外の戦いはそこまで望んではいない。


「さて……」


 彼女はまた懐から紙製の地図を取り出し、辺りを確認した。細い指先で森を指さし、一直線にゆっくりと、港の方へと進めた。

 この世界はそれぞれ、賞金首の討伐の全般を受け付けている施設、およびそれの支部がそこらかしこに存在していた。それほどまでにこの世界に、賞金首がいることの証拠だろう。

 しかし、今指さした港町にはそういった『受取所』が存在していなかった。が、休息するにはうってつけの場所ではあった。

 よし決めた。そう思うように立ち上がり、一瞬息をついた。


 直後。


「……っ」


 殺気を感じ、彼女はそれを遮るように近くの木へと身を潜めた。

 同業者か? それとも、別の何かか?

 同業者であれば、所謂横取りをする輩の可能性があるし、別の何かであればそれはそれで考える。

 だが、折角の獲物を逃すのは好きではない。だったら、仕掛けるしかない。決意するより早く、ダガーを握りしめて動こうとしたが……

 直後、身を潜んでいる木の裏側から爆発らしき攻撃。予想外の攻撃に彼女は対応しきれずに吹き飛ぶが、うまく両腕で他の木への激突を殺すように衝突し、なるべくダメージを遮る。


「……魔道士?」


 ジンワリと冷や汗が浮かぶ。となると、戦うのは得策ではない。彼女は諦めて、首の入った袋を取らずにその場を離れた。

 というのも、『魔道士』という存在はこの世界において非常に厄介なものである。出会ったらまず、『様々な罠が張られていると思え』と言われるほど、脅威な存在であり、同時にこの世界の危険因子である。しかも、ほとんど顔を見せないものだから賞金のつけ様がほとんどない。とりあえず狩ることが出来れば多額の賞金が供給されるのは確かで、噂によれば10年間自由に暮らせてしまうほどの額ではあるらしい。

 それ相応の危険が付きまとっているのは確かで、彼女が聞いた限り、魔道士が討伐された、ということを聞いたことはない。

 自分の実力はそこまで強くはないと自覚しているし、今の状態で戦ったら勝ち目がない。素早く、的確に判断していた彼女は急いで森を離れるように駆け抜ける。幸い、敵を討伐した証拠品はちゃんと手元にあるのでそれさえ渡せば後は確認するだけで賞金が手に入る。


「あれが……魔道士……」


 一言だけポツリと呟き、それ以降振り返りもせずにこの場を後にした。



 全ては思わぬ方向に交差する。この世界の、生きている人物にとってそれは免れない運命。

 そうして……物語の始まりは大きく告げた。

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