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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

リトル アサシン

掲載日:2015/03/21

その施設では、小学三年生になるとある仕事が与えられます。その仕事とは…

 キャッキャッ、と子供達のはしゃぐ声がする。

そこは六畳ほどの部屋。雨戸が閉められ、その上カーテンも引かれ

ているのか、真っ暗だ。

「シーッ、静かに! 今からマイ姉が大切なお話をするんだって」

 その言葉も明らかに子供のものだった。


「今昼間なんだよね。でも夜みたい。ね? すごいよね?」

「うん、あ、ほら、始まるよ?」


 カチッ、という音と共に、懐中電灯が明かりをもたらす。

その明かりで部屋の中の状況が次第に分ってくる。


 六畳ほどの部屋は、どうやら物置のようだ。そこに子供だけが四

人集まっていた。今、懐中電灯をつけた少女が最年長であるようだ。


「いい? 今からするお話をよく聞くのよ。それからこれは誰にも

言ってはダメ。仲のいいお友達は勿論、小学校の担任の先生にもね。

もしそれを守れなければ…」

「……」

 ゴクンと唾を飲み込む音が聞こえる。


「私達は多分みんな離れ離れにされる。この私達の施設は解散。だ

からね…」

「そんなの絶対ヤダ!」

「みんなとお別れなんて…」

「だよね。だからそうならない為にね…」

「うん…」


 マイ姉が声を潜めて話し始めた。


「私は今年で十三歳になる。この春から中学生。十四になる前に引

退するの」

「え? 何から引退するの?」


 今いるメンバーの中のケイが訊ねた。マイ姉はちょっとだけ言葉

に詰まったけれど、続ける。


「うん、これからそれは話すね。今ここに集まってもらったのは今

年小学三年生になる子達よね。三年生になる子にはこれから仕事を

して欲しいの。これはここの伝統でもあるのよ」

「伝統?」


「うん。私達の施設は予算的に貧しいのよ。だから私達で少しでも

稼がなくてはならないの。でね…」


 マイ姉が暫くお話を続けた。後の三人は真剣にそのお話を聞いて

いた。


「実際にやる時には、途惑ってはダメよ。思いっきりやるの。い

い? その後の始末はゲンさんがやってくれるから」

「本当にそんなコトをするの? それはいけないことじゃないの?」

 由真が涙ながらにそう訊ねる。マイ姉は言う。


「だから言ったでしょ? 私達がやるのは悪人相手だけ。それは世

の中の為にもなるのよ。それはいけないことじゃない。分るわね?」

「うん…」

 マイ姉の確信に満ちた言葉に由真もうなずいた。


「基本はターゲットの前でうずくまるの。そうすると相手は必ず近

寄ってどうしたのって聞いてくる。その一瞬を逃しちゃダメよ。思

いっきり首を狙うの。頚動脈って所を狙うのよ」

「そのナイフで?」


 マイ姉の手にはきらっと光るアーミーナイフが握られている。


「そう。当分の間は訓練として大根やキャベツを切ってもらうから」

「大根とキャベツだって」

「ふふっ、なんだかおかしいわね」

 子供達はキャッキャと笑い出した。


 マイ姉が言う。

「もし万が一、しくじっても罪にはならないから大丈夫よ。今の少

年法では十四才未満の子供の行為は犯罪として扱わない決まりなの

よ。だから安心して」

「あ! だからマイ姉は十四になる前に引退するのか!」


 ミチが納得顔をした。


「そうよ。私だって前科がつくのは嫌だもの。だからね」

「でも、後もう少しはその仕事をするんでしょ?」

「うん。その間にあんた達を教育してあげるから。これも伝統なの

よ」

「ふ~ん」


 三人が同じ様にうなずいた。


「依頼者はネットで。お金は振込みなの。だから直接依頼者と会う

こともないから」

「ふうん」

「で、細々としたコトは総てゲンさんが面倒見てくれるからね」

「うん。分った」


「じゃ、今からナイフを配るね。自分の体の一部として大切にね」

「は~い」


 子供達はそれぞれアーミーナイフを手に、それでお話は終わった。



 ここは子供達だけで暮らすある施設。大人はゲンじいひとり。


 周りの人達は不思議に思う。あの施設は資金に余裕でもあるのか

な? それとも特別なスポンサーでもついているのかな? と。


 実際は子供達がある仕事をして稼いでいるのだ。彼女達の名前は

リトル アサシン。

 小さな暗殺者なのである。

 



少年法では十四歳未満の子供の行為は犯罪として扱わない決まりです。そこに目を付けた彼女達の先輩が始めた仕事。実際にこんな事があるのかも知れません。

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― 新着の感想 ―
[一言] 不謹慎ながら面白かったです♪ この設定、(物語として)夢が膨らみます。 子供たちが主人公のハードボイルドサスペンス? そんな長編にしたら良い物できそう……
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