8:ウィークタウン
本日3本目
書ける時書いとかないと
アクセス4000越えましたーありがたや~
(しかし器用なものだな。相手のスキルを模倣するとは)
(一度体に入ってきて、体の魔力が勝手に反応しました。同時にどう対抗すれば魔力が教えてくれる)
(便利な体質でのぅ)
あれから南にずっと森を歩き、不安になっては飛び上がり方角を修正する。
一見シュールだが、森は景色が同じように見えるので遭難しやすい。
やっとの思いで抜け出した先には大きな街があった。家の数も多いし教会らしき建物もある。
街の周りには、反り立つような石垣があり、大きな門から人が出入りしていた。
門には兵士らしき人間が武器を持ち目を鋭く光らせている。
人々は皆、通行所のような物を見せて入っているように見える。
怪しまれようが、聞いてみるしかないか……
「お前達、身分を証明できるものはあるか?」
「ギルドカードでよろしければ……」
「そうか、見せてみろ……よし、通行料5ルイ、二人で10ルイだ」
(妥当なのかどうか分からないが、今は入れた事を良しとしよう)
二人は通行料を支払い街にはいると、目の前に広がる異世界の街並みは陸の住んでいた日本と違い、何処か遠い世界に来てしまったことを実感させた。
街には多くの露天が広がり、食材は魔物の素材、アクセサリーや雑貨などが陳列し、店員の呼び込みが騒がしいのと、お腹が減ったということで大き目の定食屋らしき店に入った。
定食屋はテーブルと椅子四脚が四組、カウンターには椅子が並び、大将と女将がせっせと仕事をしている。
定食は獣を焼いた照り焼きと、ご飯、おしんこに、汁物といった日本定番のメニューに陸は興奮し、上機嫌で店を後にした。
その後、ぶらぶらと歩いていると人が集まり、騒がしさが異常だった。怒鳴り声や煽り声が飛び交い、「俺はあいつに100ルイ」と賭博の掛け声まで聞こえた。
どうやら二人の人間が殴り合いの喧嘩をしているようだった。その近くには、ウィークタウンギルドと書かれた建物があった。
陸たちは、外の騒動をスルーして店の中に入る。ライガー希少種の素材を売る為でもあった。
「いらっしゃい。見かけない顔だね」
ギルドの受付は若い女性で、はにかんだ笑顔で出迎えてくれた。
道に迷った子供と勘違いされたのかもしれない。
「素材の買取で、これと、これと、これを……」
「……これはライガー希少種! これ貴方が狩ったの?」
はにかみ笑顔は強張り目をぱちくりさせている。
無理もない。
あんな電撃普通食らったら死ぬものだから。
「はい、寝ている所をさくっと…」
陸は面倒だったので、適当に答えたが、はにかみはさらにこわばった。ライガー希少種は例え寝ていたとしても、電磁波を出し続けている為、近づくと必ず気付かれるのである。寝込みを襲うことは不可能なのであった。
「まあいいわ……少し時間をください」
査定中の時間暇だったので、外の騒ぎを見に行くとする。どうやらギルドではこういった騒ぎは日常茶飯事であり、依頼の報酬の分配で揉めたり、酒によって揉めたり、チーム内でいざこざがあったりと騒動は絶えないようだ。
「陸さん。査定のほうが終わりました。全部で43200ルイです」
「流石希少種……値段がいいですね」
「はい! 私はマイっていう名前なの。今後ともよろしくね。」
「はい。ありがとうございます。それと、ギルドは違う場所で登録して、今一仕組みが分からないのですが」
「そうだったんですね。えっと、ギルドではランクがあって、S A B C D E F G までランク分けされていて、依頼の数や、ギルドへの貢献度によってランクが変わるわよ。ランクによっても受けれるものも限られてくるわ。これは依頼の失敗を避ける為なの。失敗ばかりすると、ギルドの信頼が無くなって、依頼が来なくなってしまうから、経験の少ない冒険者さんには、ランクの低いところから初めてもうらのよ。また討伐に関しても、死亡事故防止にもなっているわ」
「なるほど、最初は地道に行かないとなんですね」
「そうなるわ。ただ例外もあって、腕に自身がある人は、実技試験を突破すれば一気にランクが上がることもできるわよ。力があるのに、安い依頼ばかりやらせるのは、ギルドにとっても損だからね」
「その試験僕も受けたいのですが……」
「そ、そうね、試験料4000ルク払えばいつでも大丈夫よ。値段が高いのはひやかしを防ぐ為なんですが、受けますか?」
「はい、では二人分で」
引きつった顔のマイは、子供からこんな大金を巻き上げるなんてっと罪悪感が生まれるが、そもそもライガー希少種を狩るくらいなのだから、実力もあって然るべきと考え、手続きを受理した。
「それでは奥に試験官がいますので、指示に従って下さい」
陸とフェブルはマイに案内され、ギルドの奥に進んでいった。ギルドの奥は小さな闘技場のようになっていて、試験管がポツリと中央にたっていた。
「なんだ、まだ餓鬼じゃないか……俺は元Cランカーの冒険者だったミリスだ。試験は簡単だ。俺から一本取れたら合格とする。それまで俺が実力不足だと感じたら失格だ。今なら返金が利くぜ」
ミリスは腕を組んだまま二人を威圧した。が、陸は飄々と剣を抜き中断に構える。
「いつでもいいですか?」
「舐めるな餓鬼が……いつでもかかって……うっ!」
(舐めてたのはわれのほうだったな)
ミリスは動けなかった。
前方にいた筈の少年がいつの間にか消え、あるのは背中に突き立てられた刃の感覚のみ。
体中の毛穴から汗が吹き出る感覚を覚える。
ミリスはこんな事があるのかと信じられないでいるが、ゆっくり首を後ろに回すと、先ほどまで前にいた少年が背中に刀を突き立てていた。
「坊主……誰に教わったんだ?」
「自己流だよ……ただ走って後ろに回っただけさ」
「っつ! ふざけろ、そんなことできる奴なんかAかSランカーくらいの化物共くらいだぞ……」
「で、合格いただけますか?」
「わーたよ、合格だよ……ったくかなわねーな。じょうちゃんもやるかい?」
「ワシは、水魔法が得意なもんで、これでいいですかな」
フェブルは地面から地下水を湧き出させ、大きな水の球を20~30瞬時に作り出し、ミリスを取り囲んだ。水球は形状を変え、槍のように先端を尖らせた。身動きが取れなくなったミリスは両手をあげて降参した。
(全く。こういう逸材が出ると自信なくなるんだよな。魔法を無詠唱だったり、いきなり消えたりとか反則だろ……)
こうして陸とフェブルはGからDまで昇格が認められたのだった。