6:VSゴブリン軍2
データ喪失から読者さんのキャッシュから復活しました!
助かった・・・家帰ったらバックアップしよ
筋骨隆々の身の丈3m程ある巨大なゴブリンはレオルドの強力な剣を防いで見せた。魔王軍に動揺が走り陸はステータスを確認する。その後も打ち合いは続き、回りの者はお互いの剣の風圧で間に入ることが出来ない。
(ホブゴブリンか~……でっかいのでてきちゃったのか。レオルド大丈夫かな~)
ホブゴブリン
HP :B
MP :D
力 :A
魔力 :C
スキル :肉体強化 剛力
装備 :魔剣[爪紅] +素早さ補正
(魔剣に素早さ補正か、いろいろ便利そうだな)
「レオルド、隙を作る。奴の剣を奪え!」
「は!」
陸は魔力を地面に流しレオルドと鍔競合いをしているホブゴブリンの身体に岩を巻き着けた。ホブゴブリンは忌まわしそうな顔をするが、どんなに力を入れても動けない事に焦り始め悲鳴に近い叫び声を上げる。瞬間レオルドの剣が魔剣を持つ右腕を切り飛ばし、首筋に太刀を入れて絶命させた。
(血のような赤い剣だな……形は日本刀だな。後で鞘を作るか)
(魔剣のようだな。思わぬ収穫よ)
「これ以上我が民を傷つけることは許さん!!」
地響きのような怒号はそれを注目させるには十分であった。ホブゴブリンとまではいかないが、絞まった身体に相手に圧迫感を与える威圧はその者が強者であることを周知させるに十分であった。たじろいだ魔王軍に対し、ジリジリと距離を詰め始めた。
ゴブリン王
HP :S
MP :A
力 :S
魔力 :B
スキル :肉体強化 剛力 威圧 掌握術
装備 :ゴブリン王の剣【A】 ゴブリン王の盾【A】 ゴブリン王の王冠【A】
ゴブリン王の剣:ゴブリンの配下の数程切れ味が増す
ゴブリン王の盾:ゴブリンの配下の数程硬さが増す。
ゴブリン王の王冠:ゴブリンの配下の数程ステータスが上がる
(なんだこの強力な装備は……ここは俺がでないとだめか……)
(ゴキブリみたいな奴等だか、進化した時に自身の魔力で生み出される聖遺物は強力なものだ)
(聖遺物?)
(奴が装備しているものだ。魔を統べる者となりし魔物には、進化の際に自身の魔力から装備品が生み出されるものだ。だいたい自身の願望が影響しやすいのだがな。やすの場合貪欲な戦力増強だろうな)
(成る程ね。進化した魔物は厄介ってことね)
(安心せよ。体の動かし方はわれが教えてやろう。)
(頼むよ。今までろくに運動なんてした事ないんだからね)
「奴は俺が抑える。各隊、ゴブリンを村に踏み込ませるなよ!」
こうして陸とゴブリン王との一騎打ちが始まった。一見陸のほうがステータス面では勝っているもののお互い拮抗していた。ゴブリン王の装備が陸を苦しめていた。盾は魔法も爪紅も弾き、太刀筋からは全てを切り裂くと言わんばかりの威圧感が生まれていた。圧倒的プレッシャーである。
(撹乱してもしっかり付いて来るな……強力な防具には衝撃を与えるしかないか?)
(強力な装備というのはいつの時代も厄介なものだな)
西洋の鎧であるプレートアーマーを装備した兵を倒すのにはハンマーや両手斧で頭に衝撃を与え、脳震盪を起こし倒すものであるが今回は盾。地道に腕に衝撃を与え筋肉疲労を起こさせるしかないが、唯でさえステータスの高い上に肉体強化のスキルもあのでは時間がかかってしまう。
一方のゴブリン王は今までにない強敵を前に慄然としていた。一撃一撃が重く自らの攻撃は捕らえることが出来ない。終わることのない斬劇を前に心が折れそうになる王は、ここで倒れたら部下達が皆殺しにされるという思いから敵からの重苦しい攻撃をしのいでいた。
★ ★
(そろそろじれったくなってきたな……)
戦闘が始まってから10分。なかなか隙が見えないゴブリン王を前に攻め倦ねていた陸は、ゴブリンの数で数値が変わることを思い出し脅し混じりに攻撃してみることにした。
右腕で太刀を振るい左腕で魔力を溜める。最初は魔力を溜めることに意識が殺がれていたが、直ぐに慣れ周りを振動させるほどの魔力が溜まり、それを空に翳し巨大な黒の炎の塊を生み出した。炎の塊は刻々と燃え広がり、更地を覆いつくさんばかりの物となった。
ゴブリン王とゴブリン達は呆然とそれを見つめるしかなかった。強大な魔力。そこから生み出される破壊力は、悪い意味で想像できず、生への諦めすら感じた。今まで気丈に戦ってきたゴブリン王ですら両腕を下ろし驚きの顔を浮かべている。
(闇魔法と火魔法を混合してみたんだが、上手くいったな……)
(なかなか慣れてきたではないか。闇は全ての属性に干渉し、威力を引き上げる)
混合された魔法は基本的には生み出すことが出来ない。発動してから追い討ちで発動し被せる応用魔法なら存在する。
というのも、魔法は維持させる為にも魔力が必要なため、早々に打ち出してしまった方が良いと言うのが一般的である。
しかし陸の場合、魔力を気にすることが無いので、じっくり構成が可能と言うわけである。
闇魔法で強化された炎は水などでは全く消えず、酸素が無くとも闇魔法の魔力で燃え続ける事が可能となっている。
更に闇魔法独特の状態異常も付与出来る。
「おい、ゴブリン王。なぜ人里を襲う」
顔色が悪くなっていたゴブリン王はハッと陸に顔を向け、恐る恐る口を開いた。
「……これだけの兵の数、兵糧が無くなるのは速いのだ。人里を襲い、領土を奪い、食料を確保する。生きる為だ……」
「そうか、食料があれば暴れたりしないか?」
「左様。飢えさえなければ……もともとゴブリン族は人に見られぬ森深い場所に住む者だ」
「そうか、ならば我が軍門に下れ。食料は保証する。」
「下らなければ?」
「愚問だな。こいつを落とすまで」
上空で黒々と燃え盛る巨大な黒炎を一瞥しゴブリン王は観念したのか、力なく崩れ剣と盾を手放した。陸はこれがゴブリン流の服従のやり方なのか? と考えるが観念した様子は窺えたのでほっとしている。
「我がゴブリン軍はそちの軍に下ろう。我が首でよければこの大軍勢の命、契約にて助けていただきたい」
「いや、お前殺したらこいつら束ねるの面倒だわ。フェブル、その契約とか言うやつできるか?」
「契約魔法のことですかな? 準備いたしまする」
「おぉ、ありがたき慈悲よ」
フェブルは契約の魔法陣を羊の革で出来た紙にサラサラと書き始め陸へ渡した。
「ここにお互いの血を垂らし、魔力を混めるのです」
お互いは羊紙に血を垂らし陸は魔法陣に魔力を込めた。魔法陣は光り始め、ゴブリン王の背中に同じ魔法陣が刻まれた。絶対服従の紋章であり魔族契約は絶対に破ることの出来ない契約である。故に魔族は簡単な約束事でも契約書を作り、魔族契約を行うのが常識だった。
「これにより、ゴブリン王とその部下は我が軍門に下った。ここより北に我が城がある。ダンジョンに、牧畜や農業ができる階を設けてある。そこで兵を働かせ、自給自足させよ」
「ありがたき幸せ……」
陸のダンジョンの農場は土に魔力が豊富に含まれている。種を蒔いてから一日で収穫できてしまうため、食料には困らないのだ。こうして巨大歩兵部隊を手にした陸は次なる旅に向かうのだった。
今回得た兵力
ゴブリン王 1匹
ホブゴブリン 50匹
ゴブリンソルジャー 300匹
ゴブリンナイト 1000匹
ゴブリンアーチャー 1000匹
ゴブリンマージ 1000匹
ゴブリンヒーラー 1000匹
レッドゴブリン 20000匹
ゴブリン 30000匹
※大体の数値です