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魔王軍と一緒  魔王の魂と合体!?魔力無限でやりたい放題!  作者: おばっち
1章:セルクリッド編
37/74

37:メリア・ベリオットの戦い

いつもよりちょい長です。

 メリア・ベリオットは馬を走らせていた。目の前の惨劇を目の当たりにしたメリアは来た道全速力で馬を走らせる。制止した兵士もいただろうか、戦場は想像以上よりも混乱していただろう。エミリーが統率させるまで、兵士は蜘蛛の子のように散り散りに分散されセルクリッド軍のもっとも得意であり効果的な隊列からの集中砲火が困難となっていた。


「あれでは兵士達が……私に出来ること。私に出来ることは何か……」


 思いついた瞬間にメリアは身体を瞬時に動かし馬を走らせていた。それは大好きな兵士を守る為。国を守る為。お父様を守る為。自分に今の状況で役立てる方法とは……





★★★





「陸様、何をしておいでですか?」


「フェブルか。冒険者がダンジョンで落としていった武器とか集めさせて色々弄ってたんだ。俺が魔力出すと色々材質とか変わったりするからさ」


「た、確かに……武器から出てくる魔力も魔剣と相変わりないですな」


「でもこれだとただ丈夫な刀だけどね。魔法の性質や属性を付けるには何か魔力とは違う要素が必要なのかもしれないな」


「ふむ、未だに魔道具と呼ばれる属性付きの防具や武器の成り立ちは解明されておりません。長年魔力を当てられ続けると付属するという説と、ダンジョンや洞窟内で冒険者が死亡し、その霊魂が武器や防具に宿り付属する説がございます。」


「成る程ね~」


「魔王さま~遊びに来たよ~」


 声は聞こえるが、ハッキリとした姿が確認できない。薄っすら透けて見えるのは23階死霊のエンティティである。見た目は幼い少女だが実力は魔王級である。


「なんだミチコか。今日は何して遊ぼうか……かくれんぼは俺には勝てないってこの前はっきりしたしな」


「魔王さまの感知スキルずる過ぎです!」


 エンティティの彼女等は自分の名前を忘れてしまった為、陸が命名して回った為日本風な名前になっている。ちなみにミチコは陸の中学の同級生に似ていたため名付けられた。


「お! その短刀はどうしたのですか? 魔力で満ち溢れているです」


「これか? 魔力込めてみたんだけど今一ただの短剣なんだよね」


「これだけ魔力が満たされていれば、死霊の出入りもしやすいですね」


「は!? い、今なんて?」


「ふえ? エンティティや死霊って、武器宿る事できるんですよ。ただ武器に魔力がないと入り込めないんですけど。だいたい無意識に入ってしまって出れないってパターンが多いんですけど、ここまで魔力の高い魔剣なら出入り自由です」


「マジか!? ちょっとミチコこれ入ってみて」


「はーい」


 陸の手に持っていた短刀の中に、死霊のミチコがすーっと入っていった。一瞬白く光った短剣は、恐ろしく冷たい冷気を放っていた。



冷鬼の懐刀

全ての熱を吸収し突き立てた物を一瞬で凍り付かせる。空気中の水分を刀身に集め凍らせることで刀身を好きな長さ形に調節できる。また、氷結魔法強化、魔力消費軽減などの効果もある。



(これはやべぇ……23階のエンティティを武器に宿せば最強の兵器が生まれちまう……氷の属性になったのは、ミチコが氷結魔法が得意だったからなのか? 宿る死霊によって変わるのか。)


「ミチコもう出てきても良いよ」


「ふぁーい」


 気の抜けた返事ととみに、短刀からするするでてきたミチコは晴れ晴れとしたドヤ顔でこちらを見ている。


「ミチコ凄いわ! ちょっと他のも試したいから、23階の皆呼んで来てもらえる?」


「いいですよ~直ぐ呼んで来ます!」


  


★★★




 陸は並べられた武器、もとい兵器の数々に魑魅魍魎でも見ているかのような表情の陸はその兵器のスペックに驚きを隠せない。それぞれの個性が武器のステータスに顕著に現れていた。


 初老のエンティティ徹郎テツロウさんは空間転移が可能な為、空間を歪ませて武器の一部を好きな場所に転移できる。


 個性が強い物もあれば、ぶった切ると爆発するような単純明快なものまで幅広く健在し死霊の特性と武器の種類を吟味しながらどの武器に誰を入れるか悩ましい所である。飛び道具が出せるならば武器のリーチの特性は完全に無視できる。と思ったが、切りつけた後の追い討ちも捨てがたい。などと長考しているとレオルドの部下が慌ててノックもせずに入ってきた為、並べられた武器の異様さに呆気にとられていた。


「どうした?」


「あ、し、失礼しました。急ぎの報告をと思いまして……」


「いいよ、いいよ。どうした?」


「は! 先ほど開放した女が再び現れまして、魔王様に合わせろと喚いておりますが如何致しましょう」


「どうしたんだいったい? 忘れ物か? フェブル何か預かっているか?」


「いえ、何も拾得物はございません」


「まぁいいや。話を聞いてみよう。皆もう武器から出てきて自由にしてていいよ」


 陸の言葉を合図に武器からワラワラとエンティティ達が跳梁跋扈湧いて出た。皆俺の武器の方が強いだの、私の方が使い勝手が良いだの、私が陸様の愛用になるだの好き勝手雑談を始める中、メリア・ベリオットが現れた。




★★★




 メリアは開いた口が塞がらなかった。というのも通された部屋に陸は居たが、その陸の上を死霊がうようよと漂いながらこちらを凝視している。こちらが珍動物でも見られているようだった。この場面上確かに人間のメアリは場違いなのだが、20以上もの死霊が集まっているというのも自然界ではなかなか見られないだろう。唖然とした表情のまま固まっているメリアに陸は声を掛けた。


「どうした? そんな口をだらしなく押っ広げなくても」


「し、失礼な! い、い、やいいんだ。それよりお願いがあって参上した」


「聞くだけ聞こう」


「ありがとう。今我国セルグリッドが大量のアンデットに襲われている! 貴殿の御力をお借りしたい!」


 メリア・ベリオットが今自分の力で出来ること。咄嗟に思いついた安直な考えだったが、今まで敵であった魔王陸の力を借りる事だった。駄目で元々。ヘタをしたら又迷惑を掛けるどころか命を取られるであろうと思っていたが、皆が命がけで戦うのならば私も命をかけて戦わなければと駆り立てられたのだった。最初に陸に出会った感触から、話は聞いてもらえるだろうと踏んだ。このコネクションこそ私の戦場だと。パイプを繋げられるか、交渉での戦争。ここで上手くいかなければ私の大好きな国が滅んでしまう。


「それは大変だな……でもちょっと準備に時間掛かるかもな」

(部下も増えたし、どう人選して誰にどの武器持たせるかもゆっくり考えたいな。)


「そ、そうですか。ですが、助けてくれることには前向きなのですね!」

(しまった。彼にとってアンデットに滅ぼされた後に攻め込んで奪ってしまえばいい話なんだ。今すぐ兵を出して彼が得をする事とは……セルクリッド王国が健在で彼が得をする事……)


「アンデッド軍の倒滅は任せてよ」

(部下の力も見ておきたいし、いい相手だと思うわ。セルクリッドも魔王を退けてるし1日くらい持つでしょう)


「有難うございます。それでは何かお礼をしたいのですが! 私もこう見えても王国の貴族ですの。国王様とも交渉も出来ますわ」

(倒すけど直ぐとは言わないところがいやらしい……少し向こうの条件も引き出さないと)


「王との交渉か……魔王と人間の王がテーブルに着くってのは凄いね」

(講和とか和平とか結べて、楽に行き来できたら楽だな)


「えぇ、確かに長い歴史の中じゃ今まで無いことだけれども、貴方ならきっと可能だと思うわ。私にはその準備が出来ます」

(食いついた。大体の魔王が自分の侵略した土地を国と認めるよう迫ってきた。幸いここの周辺にはベリオット家の土地もあり、国の為ならばこの魔王に譲渡してもいい)


「セルクリッド国か……いいね。美味しいものもあるし。お近づきになれるのはいいな」

(美味そうな店もあったし、普通に買い物とかしてみたいわ)


「!! お近づき……成る程確かにその方が手っ取り早くていいですわね」

(王家かその周辺貴族と結婚して親戚になる。政略的には国として認め親戚となり、領地も取れるし人質も取れるから自然と終戦するわけだ)


「メリアさんだったかな? よかったらメリアさんに頼みたいね」

(この人真っ直ぐだし、色々任せても大丈夫そうだな)


「え!? 私ですか!」

(そんな! 私を嫁に貰いたいだなんてなんて大胆な……ですが、私一人で国が救えるならこの条件飲みましょう。お父様もきっと分かって下さいます)


「それじゃ、明日の昼くらいで大丈夫かな? もう遅いし眠いよね」


「そ、それでは遅すぎます! 今の現状セルクリッド軍は押されてしまっていて壊滅寸前なのです!」


「え!? 速く言ってよ~ フェブル、階層の幹部集めて。出陣するよ!」


「ははぁ!」


 

 今宵、一国の軍隊程の力を持った武器を魔王級の魔物が人の姿に変わりてアンデット軍に攻め入ったのだった。

武器に霊が入る。完全にオーバーソウルです。すいません。

シャーマンキングが無事完結出来てかなり嬉しかったです。あの漫画もキャラ多いけど個性強くて好きでしたね

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