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魔王軍と一緒  魔王の魂と合体!?魔力無限でやりたい放題!  作者: おばっち
1章:セルクリッド編
33/74

33:勘違い!?

日付変わる前に更新しようと思ったのですが、気付いたらこんな時間に……

 陸は目の前で縛り上げられた女性の猿轡を外した。 

 息苦しそうでもあったし何よりも会話がしたかった。

 目の前の女性はポカンとした表情で陸を見上げ呆気に取られていた。


「少し話そうか」


「な、な、なんで人間が魔王やってるのよ! 速く縄を解きなさいよ!! 直ぐ軍が来て、貴方達もう終わりよ!!」


「まぁ落ち着いてよ…俺は陸。貴方の名前は?」


「何で魔王に名前なんか教えないといけないのよ」


「コミュニケーションの基本じゃないか。じゃあ教えてくれたら縄を解くよ」


「絶対よ! 私はメアリ。メリア・ベリオットよ!」


「解いてあげて」


「よろしいので?」


「約束だから」


 陸は予め決めていたように部下に指示を出す。

 一方のメリアは律儀に約束を守る魔王もいるもんだなと関心し、自由になるまで大人しくしていた。


「今日はどうしてこちらまで?」


「何を言ってるの!? あんたらが人の子供を攫っていたから助けようとしたのよ! 分かったわ、あんたが人間だから若い女集めてたのね! 下衆!!」


「魔王様になんてことを!」


 傍にいた魔王軍の部下が剣を抜いて詰め寄るが、陸が目で制止する。


「丸腰の女性に武器を向けるものじゃないよ」


「はっ」


「へ~ ちゃんと統率されているのね」


「まぁ、魔王だからね……それより人攫いの現場にいた子供ってミニスの事?」


 そういいながら陸は外を指差しそれに釣られてメリアは外を見た。

 すると城の外の庭で、今まで聞こえて来なかった子供のはしゃぎ声が聞こえてきた。

 そして目に映るのはのは先ほど魔物に囲まれていた少女が、鉄(クロガネ)に輝く竜が少女と戯れている。


「タンちゃんもう1回やるー!」


「我の身体で遊ぶのはそろそろ飽きたであろう。違う遊びを考えるのだ」


「やーだー! タンちゃんの尻尾で滑るのー」


 無邪気に遊ぶミニスをあやしながら構っているタンニールは祖父と孫のようである。


「ミニス! ちょっとこっちにおいで」


 ミニスに向かって手招きする陸に従いミニスはトボトボと向かってくるが、見覚えのある人物を発見した。


「あ! 勘違い女!!」


「え!? 私!?」


「そうよ! 貴方がこなければ私は今頃可愛いくて、綺麗な虫を手に入れられたんだから! 貴方のせいでしばらく外出禁止になったのよ!! どうしてくれるの!?」


「どうしてくれるのって……」


 激しく捲くし立てられたメリアは圧倒されながらも状況把握に努めるのだが脳の整理が追いつかない。

 もともと攫われようとしていたと勘違いしていたのだが、魔物と人間が仲良く一緒にいる事自体が有り得ない事なので根本的な考え方から覆すには時間がかかるのであった。


「えーと、ミニス達はマルシア邸に捕われていた所を外に出してあげたんだ」


「そうよ、あんな奴の所より陸にーちゃんの所のほうが何倍もマシよ! それに国に帰ったって皆帰る場所なんかないもん」


「そんなことが……マルシア侯爵の息子は確かに良い噂は聞かなかったが、子供を捕らえていたとは」


「そう、だからメリアの勘違いなんだ。だからそっとしてもらえるかな? ちなみに魔王が人間だってことも。まぁ、皆信じないと思うけどさ」


「そんな無理よ! この事は偵察隊を通じて国に知らせが行ってる筈だもの」


「うわ、じゃあ直ぐに帰ってくれる?」


「なんでそんな投げやりなのよ!! 捕らえたんだから、最後まで責任取りなさいよね!」


「では陸様、今夜は人間の煮込み料理にいたしましょうか……ヒッヒッヒ」


「フェブル、それあまり美味そうじゃないな……」


「あんたらやっぱり悪魔よ! 魔王よ!! お父様速く助けて……」


 日も暮れかけていて一人で帰すには心元無いしそのまま返さないのも問題なので、取り合えず一晩城に泊らせて朝一で送っていく事にした。

 だが、先遣隊が夜中ダンジョン内に進入してくるとはセルクリッド側は余りにも素早い行動であった。




★★★




 時刻は日付が変わった頃だろうかこの世界では正確に時間を測る術が無い。

 エミリー達は9階の開けた通路で一息付いていた。 


 彼らの顔色はけしていい色ではなかった。


 不安や焦りなど負の感情で押しつぶされそうな表情で皆一点を見つめている。

 それもそうだろう国に期待され出発したエキスパートチームが任務遂行が出来ずにいるのだから。

 何も出来ませんでしたといって帰る事もできるだろうがそれは大きな期待を裏切る事になってしまう。

 

 彼女達は国の期待なのだ。


「どうしたものか……」


 出てくる言葉は溜息に似た感傷的な台詞ばかり。

 

 まさかダンジョンに炎竜まで出てくるとは驚きであった。

 炎竜は危険害獣の中でも頂点に居座る竜種であり国家級の戦力で臨まなければ撃退は不可能といわれている。

 それをエキスパートチームだからといって5人は少なすぎた。

 かつて伝説の冒険者バエルが一人殿となって己の命と引き換えに撃退したという伝説は世界中でも有名な話ではあるが、今の状況なら、バエルはどう戦っただろうか……


「「強い魔力を感じます!」」


 双子のリーナとローザの警告に皆身構えた。

 またサラマンダーでも来るのかと思った矢先、絶叫が頭上から降ってきた。


「な、なんだ!」


 突然頭上に穴がぽっかりと開き瞬時に螺旋状にU字のスライダーが形成されメリア嬢がグルグルと落ちてきた。

 今一状況が掴めないメンバーであったがメリア嬢の無事が確認出来た事で安堵した。

 どうやら上から回りながら下りてきたのか目を回している為なかなか起きられないらしい。


「メリア嬢! 無事で良かった!!」


「あれ!? エミリー殿! 助けに来てくれたのね!!」


「どうして上から?」


「陸とかいう生意気な魔王が迎えが来たみたいだからさっさと帰れといって落としたのです! 信じられません!!」


「ああ、いや、魔王が逃がしたのか?」


「はい、人間を攫っているというのは勘違いだからさっさと帰れと」


「訳がわからん……頭が痛くなってきた」


「エミリー殿! それより脱出いたしましょう。さあ、メリア嬢は私が負ぶります。」


 スタミナの鬼ことカーシスがメリア嬢を背負うとエミリー達は脱出を始めた。

 帰り道では来る途中に目印を付けていた為、スムーズにダンジョンの脱出に成功するのだった。




★★★



 

 エミリー達がメリア嬢を救出し無事脱出していた頃。

 セルクリッド国近郊に現れた怪しげな女性。


 草を刈る農具の大鎌を肩に担いだ赤い瞳の少女がこんな夜更けに歩いている。


「やっとついたわぁ……ベルゼブブ様……お迎えにあがりました」


 

今頃三点リーダの使い方を知る。 そんなレベルです。

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