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魔王軍と一緒  魔王の魂と合体!?魔力無限でやりたい放題!  作者: おばっち
1章:セルクリッド編
27/74

27:VSベルゼブブ2

今回は2話投稿です

 ベルゼブブは驚愕した。


 これほどまでに武術が優れた人間が、これ程までに魔力を鍛えられるかということである。

 仮にも、魔王である自身と同等、もしくはそれ以上の力があるというにも関わらず……


「化物め……」


 毒の治療が終わり、目の前に映った幼き少年は、古の魔王すらも恐れる魔力を溜め込み、放出しようと待ち構えている。

 

 取る行動は一つ。


 三叉魔槍トリシューラの投擲による妨害である。

 あの魔力を形にさせるのは不味いと思ったが一瞬。 

 ベルゼブブが一歩踏み込み、足が地面を掴み上げるかの如く踏ん張りを利かせ、腕を一直線に押し出した投擲は、陸に突き刺さると思われた。

 だが、結果的にみたら、三叉魔槍トリシューラは弾かれていた。


「な、なんだ貴様!何処から現れた!!」


 そこには黒い光沢が光る、魔製合金で作られたゴーレムが複数いた。


「我ら、主を守ることは必須条件である」


「バエル達、良く来てくれた」


「は!出すぎた真似かと思いましたが、主と異なる大きな力が対立しておりましたので」


「よし、鳧をつけるぞ。危なくなったら離れろよ!」


――――――――――危険な迷宮製作ダンジョンクリエイト――――――――――

 

 先ほどまで崩れ落ちていた石壁や、床石などが、綺麗に舗装され、先ほどまでいた場所が、一瞬で変わってしまった事にベルゼブブは驚いたが、何故壁や床を直しただけで、あれだけの魔力を使ったのかが理解できなかった。


「流石に魔法で、この国ふっととばす訳にはいかないからね」


 そう言うと陸は壁の中に埋もれて消えてしまった。戸惑うベルゼブブだったが、次の瞬間部屋全体が爆発を起こし、ベルゼブブを焼き尽くした。


「なんだ!ぐわぁああ!!」


 止まる事のない爆発、業炎、落石崩壊、陸の発動させた魔法:危険な迷宮製作ダンジョンクリエイトは、火属性や土属性の魔法をスキルのダンジョンクリエイトと合わせ、トラップだらけの部屋を一瞬で地下に作り、敵を爆殺炎上からの生き埋めにする凶悪な技であった。

 ベルゼブブと陸は、一瞬で地下100m近い所まで部屋ごと移動し、トラップルームに変えたのだ。

 一度、城をダンジョン化させた時に、実験的にトラップルームを製作した際に、ネズミ一匹の侵入で、ダンジョン全体が振動するほどの威力になってしまい、過度なトラップルームは控えるようにしていたが、こうして実を結ぶことが出来たのだから、ネズミも本望だろう。


 きっと。



★★★



 屋敷の周りには、心配してかゴーレム軍が、囲むように主の帰還を待ちわびていた。

 主の絶対的勝利に揺らぎはないと信じながらも、帰還を待ちわびる姿は、とても健気である。


「おぉ、皆も来てたのか。待たせて悪いな」


「いえ、我ら主様の親衛隊その物。主様の窮地から救い出すのが我らが勤め」


「今回の敵は初めて苦戦したかもしれないな。ベルゼブブとかいったか。置き土産も貰ってきたぞ」


 陸は三叉魔槍トリシューラを手に掲げ、得意げにドヤ顔を決めるのだが、表情の読めないゴーレム隊の内心は、若干引きつっている者が多い。

 ベルゼブブとは、世界に猛威を振るった古の魔王であり、遙か昔に各国の軍が4日かけて封印したものだった。

 ベルゼス家は、代々封印術式が得意な家計であり、それも、ベルゼブブ討伐を指揮したのもベルゼス家初代当主によるものだからだ。

 故に代々封印を任されてきたのだが、一人の駄目息子がやらかしたのだった。


「よし!ここから脱出するぞ。貴族襲撃の犯人になっちまう」


★★★



 後日、回復魔法で傷を消して、綺麗に整えた子供達を、親の元へ返してあげた。

 ただ、スラム出身で、親が居なかったり、獣人で、出身地が遠かったりした子供達は対応に困った。

 陸は最後まで面倒みるつもりだが、身寄りのない子供をどうするかまでは考えて居なかった。

 家族がいるなら、遠かろうが連れていけばいいのだが、家族が居なければ連れて行きようがない。

 陸は少し悩んだが、「俺の家に来るか?」と子供達に問うた所、皆「うん」っと応えたので、陸は久々の帰城となった。

 子供達が、まさか魔物がわんさかいる城へ連れて行かれるとはこの時思ってもみなかったであろう。


 一方魔王城では、陸の帰城の連絡を受け、大慌てになったのは言うまでもない。

 お出迎えの準備から、夕食の準備まで、ゴブリン達が張り切っていた。

 レオルドの軍も、訓練に余念が無く、魔王不在の中、統率を取っていた。

 タンニールはというと、城の庭でゴロゴロと寛ぎ、腹が減っては魔物を狩りに出たり、ゴブリン達の作った野菜などを頂いていた。

 ダンジョンには、冒険者が度々訪れてはいたが、10階まで登ってこれた者は未だ現れず、10階より上の魔物達は暇を持て余し、同族同士で戦闘訓練(と言う名の殺し合い)を行い、独自の進化を遂げていた。

 

 実は、10階まで来れない理由があった。


 9階までは、平凡な洞窟であるが、10階に上った段階で、溶岩は流れ、火山は噴火、強烈な熱波は吹き荒れるなど、人間が生活することの出来ない環境設定になっているのだから。

 因みに11階はブリザードが起こる-40の銀世界である。

 真面な人間では、この2フロアだけで攻略不能だろう。

 それがあと20階も続くのは流石に鬼畜であった。 

 本来の目的は、城の防衛であるため、これくらいが丁度いいのだが、魔物達は血に飢え始め、稀に下の階に降り、人間を襲う事もあった。

 10階にはサラマンダーが多く生息していた為、冒険者からははぐれ火炎龍に襲われたなどという不幸な噂が広まったたという。

 

 陸のダンジョンでは、過酷な環境設定も簡単に行えてしまうため、希少な魔物の進化や繁殖も成功している。

 溶岩の中で生息しているサラマンダーも、陸のダンジョンの中では、フロア全てが溶岩溢れる活火山なので、過ごしやすい上に、天敵も居らず、大量発生してしまっている。

 その中でも、生まれつき体格にも恵まれた固体が、グループのリーダーとなっていき、最終的には3っつのグループに分かれ、三つ巴の縄張り争いにまで発展した。

 陸の思惑とは裏腹に、魔王城のダンジョンでは、同属同士の熾烈なバトルロワイヤルが展開され、優秀な個体が進化を遂げていくのであった。

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