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魔王軍と一緒  魔王の魂と合体!?魔力無限でやりたい放題!  作者: おばっち
1章:セルクリッド編
25/74

25:古の魔王

梅雨に入って涼しくなったけど、雨は嫌

 男は震えていた。


 マルシア卿に雇われ、屋敷の警護長を任されていた冒険者のラズベルは、目も前の子供二人に恐怖した。

 

 何故だかわからない。


 最初は何故こんなところに子供が、と思ったが、目が合った瞬間に身体が震え始めた。

 薄暗い夜の闇に、星光に反射した瞳がギラリと光る。

 ラズベルは誰何をすることも忘れる程威圧に押されていた。

 彼が最後に記憶しているのは、必死の思いで一言目を口から発したところで目の前が暗転し、気付いた時には屋敷の庭先に倒れ、太陽は真上まで上っているのだった。


 陸は、目の前の男が、仲間を呼ばれるのは面倒だと思い、男の口が開こうとした瞬間に縮地術を使い、男の後ろに一瞬で回りこみ、刀を抜かず、鞘で頚椎を叩いた。

 すると男は糸が切れた操り人形のように崩れ落ち、気を失ってしまった。


「ちょっと強かったかな……しばらく起きないかも」


「陸様、首が落ちなかっただけ、上手く加減できてございます」


「お前らどんだけだよ……俺はもう人として終わりだな……」


(なに、落ち込む必要はない。この世界力こそ全てである。)


(本当世紀末だなぁ……)

 悲痛の溜息と共に、デルクは今までの人生を振り返り、杭が無かったか思い返すのだが、未練しか出てこない自分に腹立たしさを感じるのであった。


「さぁ、中に入ろうか。屋敷内には警備を置いていないみたいだし」


「そのようですな」


 そのまま真っ直ぐにマルシアの居る地下室に乗り込んだ。薄暗く、石を積み上げて作り上げた壁は、通路を狭く感じさせる程の圧迫感を感じさせていた。

 最初は動物の鳴き声かと思わせる声が、部屋に近づくにつれて子供の悲鳴と下劣な罵声だと認識できる大きさまでになっていた。

 扉を開けて、陸が目にした物は、天井から垂れ下がった鎖に手を繋がれ、無理やり爪先立ちさせられている子供達である。

 

 子供は皆裸体であり、服など着衣はない。

 

 部屋の隅では、ピクリとも動いていない。


 呼吸も細いながらしているが、手当て無しでは危険だろう。


 子供の中には、獣人も混ざっており、尻尾の生えているものや、耳が犬の耳など様々だ。

 彼ら、彼女らの身体は、蚯蚓腫れや、青痣など、鞭に打たれたのだろうか、綺麗な身体の者はいない。


「ふひゃひゃははははは! はぁはぁはぁ」


 醜く太った男がいた。


 手には革製の鞭を持ち、地面に向けてクラッキングしている。

 乾いた鞭の音は、子供達には恐怖の主旋律となるだろう。

 鞭は元々地面を叩いて、音を出し、牛や家畜を追い立てて、移動する為に使われた農具だ。

 いつの間にか、致命傷にならない為、拷問用具に用いられるようになったが、100回も連続で叩かれればショック死することもあるだろう。


「おい!」


「ひゃっひゃっひゃ・・・うん?なんだお前ら。新しい玩具か! うおおおおおおおおお!!!!!」


 マルシアが陸に向かって荒い呼吸と歓声を上げながら突進してきた。

 が、無情にも陸の前蹴りが未曾有に食い込んだ。


「うごっうがああああ・・・・・」


「気持ち悪い。近寄るな」


「きっきさま!!! ぐああああああああああああああああ!!!」


 マルシア卿の叫び声は動物の咆哮かと思わせる程に大きく、部屋の空気をピリピリと震わせた。


「お前は甚振るに値せず!四肢を切り落とし、泣き叫ぶ顔を踏みつけてやるわ!!!」


「この下種野郎!」


「ぬわあぁあああああああああああああああ!」


 マルシア卿の額の血管が浮き上がり、赤く染まる。するとみるみるマルシア卿の顔が変わっていった。

 顔は大きく膨らみ、鼻は丸く、耳は蝶の羽のように大きく広がった。


「おい、デルク。マルシア卿って豚の魔族なのか?」


「しらねぇ! 俺はしらねぇぇぇえええ!」


 マルシア卿の顔は豚の顔に変化していた。

 

 身体も二周り程大きくなり、腕や足も3~4倍も太くなった。


「俺は豚じゃねぇ!!」


 マルシア卿の怒り任せに放った拳は、物凄いスピードで陸目掛けて飛んできたが、陸は難なく身をかわす。

 マルシア卿の拳は、今まで陸が背にしていた石の壁をプリンのように突き崩す程であった。


「陸様、こやつ悪魔か、別の魔王に魂を売って、力を得たようです」


「そんなことも出来るのか!」


「はい、おそらく死にそうになった子供の魂を贄にして、欲望の力を手に入れたようですな」


「なんとも醜い姿になっても力を欲するか」



欲望の化身:ベルゼス・マルシア

体力:S

魔力:B

スキル:魔族契約 魔族化 ベルゼブブの加護 


ベルゼブブの加護:ベルゼス家に古より封印されし魔王の力。欲望を糧に、魔族との契約の果てに、強靭な肉体を手に入れることが出来る。


「こいつ、魔王クラスだ!」


「ぴぎゃぁあああああ!」


 ベルゼスの大振りの拳は、当りこそしないが、石壁に覆われた小部屋の壁を崩し回り、崩壊寸前まで来ていた。


「俺が奴を抑えるから、子供達を頼む」


「やれやれ、陸様は人助けがお好きだ」


「豚野郎、てめーは許せねぇ!!」


 ベルゼスの振り抜いた拳は、既の所でかわされ、伸びきった腕を陸が切り上げ、ベルゼスの腕が宙に舞う。


「ぴゃがあああああああああああああああああああ!!!! 腕がぁああああああ」


「やかましい口だ」


 いつの間にか刀は納刀され、ベルゼスの喉に地獄突きが入る。

 腕を押さえる為、前かがみになっていたベルゼスの体勢は喉を軸に、くの字に曲がり、宙に浮いた。


「うがっ・・・・・・・あっ・・・がぁっ・・・」


 上手く呼吸の出来ないベルゼスは両膝を付き、喉を手で押さえた。


「楽に死ねると思うなよ!」


 そう言うと、腰の回転だけで放ったミドルキックが、ベルゼスの側頭部に当り、そのまま側宙し、壁に激突した。

 立ち上る粉塵は衝撃を物語っていた。


「今のうちに子供を外へ! デルクも手伝え!!」


「あっ…ああ!」


 目の前で起こる非常識な出来事の連続で、全くついてこれなかったデルクが、陸の一声で我に替える。

 鎖で繋がれていた子供達も、少女がどのように切断したのか不明だが、今更何が起こっても驚きはしない。

 デルクは直ぐに保護し、外へ脱出した。


★★★



痛い・・・苦しい・・・殺したい・・・・・力が欲しい・・・・・・


-----ならば叶えてやろう-----


-----貴様の願い、代償は安くないぞ-----


・・・・・構わない・・・・あいつを殺せるなら・・・・何でもいい・・・・


-----しかと聞き遂げた-----


 傷だらけのベルセスが、最後に交わした魔族契約ににより、古の魔王ベルゼブブの封印が解かれた。

敵が下種い程、残虐性な戦闘に躊躇いがないです。


最後はお決まりのパワーアップ第二形態!!



しかし、蹴った相手が側宙って。ねーだろって乗り突っ込みしました(笑)

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