第二話
ですが、今はお兄様をお止めする方法を考えるべきだと思うのです。
私に止められるかどうかは置いておいて、まずはお兄様の奇行を何とかしなくてはなりません。
とてもではありませんが、自信はありません…………。
ただ、何とかしなくては。
そう思うのです。
あぁ。
とは言ったものの、どうしましょう……。
私にはお兄様になんといえば良いのか分かりません…………。
第一、お兄様の奇行をお止めできるのはお父様です。
ですが、お父様はお父様で公務でお忙しいのですわ。
それに、以前ご相談した時は、笑ってこうおっしゃられましたの。
『ルファネスはルーイに良く似ているからな。言うだけ無駄だ』と。
お父様。
お父様はもう、叔父さまの私生活に口出しするのをお諦めになられたように、お兄様についてもお諦めなのですのね……。
お母様は――――。
『きゃぁぁぁぁあぁ! ルファネスさん、貴方と言う方は!!』
あぁ……。
今日もまた、お母様の悲鳴が響いてしまいました。
お兄様。
どうか、お母様の心労をお増やしにならないでくださいませ……。
お母様。
お母様も、お兄様の奇行の一つ一つに驚かなければ、お兄様もこのような奇行に走ることは無いかと……。
…………いえ。
もし、お母様が驚きにならなくなったとしても、周りが驚いてしまいますので、意味がありませんわね…………。
あぁ。
こんなときにロイドさんと、ウィルロットさんが居て下さったらどんなに良いでしょう。
ロイドさん……。
そういえばこの前のパーティで見たときも、素敵だったわ……。
何よりあのダンス。ロイドさんが動くのと少し遅れて揺れる長い髪。
優しい微笑み。
素敵なリード。
あぁ。あのときはレティの勧めで、お化粧を厚めにと頼んでおいてよかったです……。
そうでなければ、一緒に踊ってくださった時に、顔が真っ赤になっていることを気づかれてしまうところでした。
でも、私。
ずっと俯いてしまっていたような気が……。
あぁ……なんということでしょう。
私はロイドさんに嫌な思いをさせてしまったかもしれません。
せっかく『踊ろう』と誘ってくださったことが嬉しくて、って。
私、頷いただけで、口も聞いていません……。
私、最低です。
きっと、ロイドさんは私に呆れているのでしょう。
もしかしたら、『困った妹』だと思われていたりして…………。
……それは由々しきことです!
つい最近、せっかくロイドさんが私を『一人の女性』とおっしゃって下さいましたのに……!
そんな。
また『妹』に逆戻りなんて嫌です……!!
あ!
そうですわ!!
ロイドさんからの手芸の宿題をやってしまいましょう。
そして、私は手芸がちゃんとできる『女性』だということを、しっかりアピールすれば良いのですわ!!
ということで、私は赤い毛糸と鉄製の鍵棒を使って、丸い敷物を編むことにします!
とりあえず、できたら続き出します。