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プロローグ
BL小説をめざしましたが、内容的にはBL未満、といった感じです。そういう要素が一切受け付けられない、という方はご遠慮ください。作品中に出てくる悠一と唐沢メインのお話も書くつもりなので、もしよかったらチェックしてみてください。
夢の中の俺は11歳でまだ声変わりをしていない。
自宅の庭にいてしきりに誰かを捜している。
人の気配がして俺は振りかえる。
知らない男がニコニコ笑いながら近づいてくる。
「悠君」
声変わりしてない甲高い声で俺はその男を呼ぶ。
その夢の映像を俯瞰している俺が言う。
そいつは悠君なんかじゃない!
悠君は。俺の知っている悠君は…
どんなだった?
どんな顔でどんな声でどんな仕草で。覚えてない。何も思い出せない。そんなはずない。あんなに仲が良かったのに。
目が覚める。
ここ2、3日見続けている夢。
気になっているからだ、と思う。
発端は父親の一言だった。