吸血鬼の抵抗の意思
もう一つの作品を書こうと思ったら何故か『吸血鬼』が書きたくなってしまったのでこちらを投稿(汗)
「着いたな、じゃあ俺から入るけど良いか?」
俺は引きずられている格好のまま二人に聞く。
他の生徒がいなくて助かった。もし中等部の制服を着ている二人に引きずられている高等部の生徒が居たなんて事になったら…周りからどんな目で見られるか分かったもんじゃないし。
「はい、良いですよ」
「俺もそれに賛成です」
ドシャッ
そう言うと同時に二人は俺の腕を離し、結果俺は廊下に頭を打ち付けた。
「…お前等、それ先輩にする態度か?」
立ち上がりながら二人の方を向きジト目で言う。
そしたら二人は笑顔で
「何を言ってるんですか朱雀さん、私達は仲間ではないですか。平穏に生きたい吸血鬼同士、ね」
「そうです朱雀さん。同じ吸血鬼の仲間じゃないですか」
…そう言ってくれるのは素直に嬉しい。
「そうだな、俺達は平穏に生きたい吸血鬼としての仲間だしな。先輩も後輩もないか」
「そうですよ」
「そうです」
俺の言葉に笑顔で頷く二人…けどな。
「学校では先輩だから気を付けよう、な?」
「「は、はい!」」
俺の笑顔で少し驚いた声を出す二人、うん宜しい。俺は笑顔を止める。
何処か矛盾してるな。
「あ、それと紫苑」
「はい?何ですか?」
紫苑の用事というのが気になったから聞いてみる。
同じような内容だったらまとめて話すし。
「紫苑の用事って何だ?もしかして生徒会や『魔の会』についてか?」
「はい、僕とソウ、そして朱雀さんが吸血鬼と言うのが生徒会と『魔の会』の人達にバレているそうなので。もしかして朱雀さんもですか?」
「当たり、なら内容は同じだな。それじゃあ俺から先入るな」
「「はい」」
コンコン
ガチャ
「理事長いますか?俺達のことを何故ばらしたのか、理由と謝罪を聞きに来ました」
「「失礼します」」
理事長室の扉を開けてそう言い放った。
二人は後から普通に入って来る。
「やぁ朱雀君、そして紫苑君、双識君。貴重な昼休みに私の所に何のようかな?……それと朱雀君、相手の反応がないのに扉を開けたらノックの意味がないよ?」
扉を開けて俺の目に入ったのは豪華そうな椅子に腰掛けているスーツ姿の理事長。見た目は青年、だけど中身は人外。目が開いてるのか閉じているのか分からない位な細い目。
あの目に見られてた人は人外が人外ではないか簡単に判断されてしまう、さらにその種族さえも。この学園が人外が多いのは理事長が各県から生徒を目で見極めて集めているせいだからだ、そのおかげで理事長はその理事長という座にいられるのだろう。どうやら此処は天と魔の血を引く者が建てた学校らしいし…恥ずかしい事に入学してから気がついた事だが。
まぁ、と言っても他にも人外は沢山いるんだろうけどな。
「今言ったでしょ。何故俺達のことをばらしたのかその理由と謝罪を聞きにきたと」
「…あぁ、吸血鬼のことですか。それについては申し訳ないと思っています、私もこんな事はしたくなかったんですが、仕方がなかったんですよ」
理事長が苦虫を噛み潰した顔をしながら言う。
仕方がなかった?
「仕方がない、と言うのは?」
「上が、性格には『異界』に居る上司の命令でね。この学園にいる、人間ではない生徒の情報を生徒会と『魔の会』の人達に教えなければならなかったのです」
上、ね。詳しくは知らないが魔や天の血を引く者達は基本この世界、には生まれる事はなく、理事長が言っている此処とは違う世界、『異界』と言う所で生まれるらしい。
でも『英雄』などに分類される天の血を引く者はこの世界に生まれることが多いいらしい…全部おじさんに聞いた事だけど。
それと何故二つの血を受け継ぐ者達が争っているのかと言うと、『神々の遺産』と言う物が原因だ。何でも大昔神の手によって創られた普通ではありえない『力』や魔力を持った物のようだ。その中でも別格なのが『番号付き』他の『神々の遺産』よりも貴重で多大な力を秘めている『神々の遺産』らしい、その力は創った神すらも殺してしまう程の力だとかなんだとか。
ちなみに俺はその『神々の遺産』を持っている、しかも『番号付き』だ、番号は4番で形状は一見普通の腕輪。名前は『死神の呪い』…物騒な名前だ。
まぁ俺が獲得した物では無く、おじさんが強い力を感じて異界に行った時天と魔の連中が争っていたらしくそこで取ってきたらしい…争っていた殆どの連中を戦闘不能にして。
その『番号付き』は俺達の家、正確には地下にある一部の空間を『空間剥離』と『次元剥離』で厳重に保管してある。
「なるほど理由は理分できました。ではもし俺達が殺されていないと言う事を理事長の上が知ったら…」
理事長は申し訳なさそうな顔をしながら言う。
「はい、きっと討伐隊が組まれる事でしょう。『神々の遺産』を巡る争いも最近は『番号付き』の出現報告もありませんから落ち着いてきてますし、もし知られたら…いえ、もう知られているでしょう。近いうちに吸血鬼の討伐隊が天と魔から出撃されるでしょう」
…最悪だ。まさかここに来て魔と天の両方から討伐隊が組まれるだと?俺はまだ大丈夫だが二人は、紫苑とソウは危ないだろ。吸血鬼の討伐となるとどっちの陣からも『名前付き』が出てくるだろう。
後ろを見ると紫苑とソウは顔を強ばらせていた。
無理もない、紫苑とソウも俺と同じく『名前付き』が出てくる可能性を考えたんだろ。幾ら吸血鬼でも『名前付き』の相手は正直無謀と言えるだろう。ただしそれは何も訓練していていない吸血鬼の場合だけ。俺は小さい頃おじさんに言われ訓練をしてきたから対抗出来る、でも紫苑とソウは訓練なんてやってないだろう。やっていて普通の筋トレぐらいだと思う。
「…そうですか。討伐隊が組まれる事は…当然、生徒会と『魔の会』の人たちは知っているんでしょうね」
「はい、今日の二時限目が始まった辺に『異界』に報告をしたのが『魔の会』ですから生徒会も当然知っています。さらに悪いことに上はこの学園に在校している『英雄』と称される天の血を引く者たちも戦力にしようとしています」
最悪だな、こうなったら俺の平穏どうこう言ってる場合じゃないか……仕方ない、出来ればこんな事はしたくはなかったけど、やるしかないか。
「分りました。俺達吸血鬼は」
そこで俺はひと呼吸置き、宣言する!
「殺されないよう、精一杯抵抗させて頂きます!」
宣言しながら俺は心に誓う、紫苑とソウを守らなければと。
どうでしたか?
今回は朱雀が天と魔に抵抗の意思があると表明しました。その他にも何かスケールが大きくなって行き、自分でも追いついて行けてるか不安な感じです(汗)
誤字脱字、その他色々ありましたらよろしくお願いします。