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理不尽な連行と後輩

…何故こうなった?


昨日家に戻った後、そのまま寝た俺、朱雀は朝風呂をして朝食を昨日のコンビニで買ったものを食べて学校に来た…そこまで、そこまでは良かったんだよ。


そこまでは良かったのに何で…


「さて、貴方の目的を聞かせてもらいましょうか?吸血鬼、夜月朱雀君」


校門を潜った瞬間に生徒会メンバーに連行されなければいけないんだ…生徒会の部室とも言える場所、生徒会室に。


理不尽だ。


しかも『魔の会』の人達も居るし…仲悪いんじゃないんですか? 


「ですから生徒会長、俺は只普通に生きていきたいんですよ。まぁ吸血鬼だから普通じゃないですけど」


「吸血鬼が普通にですか?それは無理な事ですよ、朱雀君」


何故?吸血鬼ってそんな周りからバレないですよね?


「それはどうしてですか?失礼ですけど貴方方は昨日まで俺が吸血鬼って事に気がついていなかったですよね?それなら普通に社会に出ても普通に生活出来るのでは?」


しかも俺は魔術で気配を隠蔽してるからさらに気づかれにくいから大丈夫なはず、少なくとも第12真祖としての気配は消せてるけど、それ以上は無理だった。

だから俺の気配は真祖では無く、普通の吸血鬼となっている。


「…それは、確かに私たちの失態ですが。しかし今はもう知ってしまったのです」


「貴様が吸血鬼だって事にな」


蓮香先輩?生徒会長の言葉を遮ったせいで生徒会長の雰囲気が一気に悪くなりましたけど。


「蓮香?何で貴方はいつも私の言葉を途中から横取りするのかしら?それは止めなさいって何度も言った筈よね?」


そう言って生徒会長は手の平を蓮香先輩に向ける。


って、え?


「何だ聖奈?まだそんな小さい事を気にしているのか、ハゲるぞ?」


それに続いて蓮香先輩も何処からか取り出した剣を鞘から抜き放ち構える。


…仲悪いな。噂に違わず、と言うか先輩方魔力を少し抑えましょう。天井や壁がミシミシいってます。


「なぁ静雄…いや、此処ではルシファーって呼んだ方が良いか?」


俺は横に居る静雄、ルシファーに声を掛ける。


「止めてくれ朱雀、普通に静雄で良いから。その笑顔は止めろ」


「そっか、じゃあ質問。此処で戦闘を開始して大丈夫なのか?」


「ん、問題無い。生徒会室と俺たち『魔の会』の部室は頑丈に造られているからな」


自信満々と言った感じで言い張る静雄。


「でもさ、それだけで防げる程先輩方の攻撃って甘いのか?」


…正直俺は絶対無理だと思う。何故なら二人の攻撃速度と威力は半端ないから。


昨日攻撃を受けた俺が言うんだから間違いない。


「まぁ当然そう思うだろう、しかし此処で活躍するのが我らが『魔の会』を代表する屈指の結界魔法の使い手、泉椎名いずみしいなさん。俺らの間ではエリスノートと呼ばれている、ちなみに副部長だ」


静雄が副部長の紹介をする、ちなみにこの間にも先輩方は睨み合って魔力を高めていってる…生徒会室大丈夫か?


「…え~と、静雄君?椎名さん、今日は休みだけど」


勢いのいい人物紹介をしてくれた静雄に声をかけたのは…誰?しかも何故かその顔は絶望的な顔をしている。周りを見ると皆さん同じような顔をしている。


「マジっすか!ヤバイ、生徒会室が潰れるぞ!二人の戦闘に耐えられる結界魔法を貼れる奴なんてもう『異界』にでも行かない限りいないぞ!!」


「静雄、結界貼れる人居ないのか?」


テンパってる静雄に声をかける。

…それにしても『異界』、な。きっと静雄達みたいな人外の人達が沢山いるんだろうな、行った事ないから解らないけど。


「結界なら俺だって貼れる、でも先輩達の戦いに耐えられるような結界を貼れるのは椎名さんだけなんだよ!」


あぁ。なるほどなるほど、皆さんが絶望的な顔をしている理由が解った。先輩方の先頭に耐えられるような結界を貼れる人がいないからこのままだと学園がピンチだと。


…仕方ない、他の生徒も通っている学園だ。少し手助けするか、その代わり俺の平穏がまた一歩遠のくけどな。


コンコン


俺は床を二回足の裏で叩く。

その瞬間生徒会室全体を術式が覆う、周りの人が驚いているけど無視。

結界魔術『空間剥離』。効果は指定した空間とその外にある空間の僅かな間を別の空間に繋げて外部への影響を一切無くす。しかも俺の魔力があれば指定した空間から普通にでる事が出来るという便利なオプション付き。


これは俺の家の地下室の訓練所でも使用している魔術、かなり便利。


「ほらよ静雄、これでこの空間の外には一切影響は出ないぞ」


俺はそう言って席を立ち呆然としている静雄の元に歩いて行く。と言うか蓮香先輩を生徒会長もこっちを見て呆然としているんですけど。

結界貼った意味あるのか?


自分の指を歯で少し噛み切る。


「それと…ホイ、これを持ってればドアから出られるからな」


俺は自分の血を固体化させた小石を此処に居る人達の分だけ静雄に渡す。

俺の血は魔力の塊だからな、それを俺が小石か何かにして渡すことで他の人は指定した空間から出ることが出来る。


「じゃあ、時間的にもやばいんで。これで失礼します…あ、結界は昼休みに消しておきますから」


未だに呆然としている皆さんを置いて俺は自分の教室に向かって歩き出す…途中からダッシュに切り替えたけど、だって時間がピンチ。


「後一分でSHRが始まる!」


俺は別校舎にあるクラスに向かってダッシュした。


何でこの学園は校舎が二つもあるんだよ!!



*******



「よ~し、これで授業を終わる。起立、礼」


「「「「ありがとうございました」」」」


ふぅ、やっと四時間目の授業が終わった。ちなみに数Ⅱだった、正直あまり理解出来ていなかったけど。


あの後はダッシュしたおかげで何とかチャイムが鳴っている間に教室に滑り込めたけど…ん?静雄?あいつは当然遅刻だよ。と言うかそのまま来なかったし。


「さて、理事長に会いにでも行くか」


俺の事をバラしたんだから何かしないとな…でもその前に


『滅』


…これで良し、結界は消滅した筈だ。


「どうするかなぁ、この先」


理事長室に向かう間にこれからの生活について考える。


もう、生徒会と『魔の会』の皆さんには俺の存在がバレてしまったし。でもそれって、俺以外のこの学校にいる吸血鬼はまだバレていないって事だよな。

良かった、あいつ等二人は俺と同じで平穏に過ごしたい吸血鬼だからな。


「あれ、朱雀さんじゃないですか。どうしたんです?こんな所で」


「あ、本当だ。朱雀さん、どうして別校舎に?」


俺は声のした方向に体を向ける。


…噂をすればなんとやらだな。このタイミングで今考えていた二人と出会うなんて。


「久し振り、紫苑にソウ。俺か?俺は理事長に用があってな、二人はどうしたんだ?」


「僕も理事長に用があるので」


俺の問いに答えたのは紫苑。本名は遠藤紫苑えんどうしおん、赤色の後ろ髪を肩あたりまで伸ばし、前髪は目に少し掛かる程度に伸ばしてある、目の色は髪と同じで赤色。制服をしっかり着ている、優等生だ。

この学園の中等部の三年。


「俺はその付き添いです。理事長室に行くまでには『魔の会』か生徒会室のどちらかの前を通らないといけませんから」


それに続いて答えたのがソウ。本名は夜刀双識やとうそうしき、黒い後ろ髪は紫苑と同じくらいで前髪は右側だけが目に掛かっていて左側は目に掛からないように分けている、目の色は黒。制服は紫苑と違って着崩している、不良?なのかどうかは解らないけど普通に良いやつだ。

ソウも紫苑と同じく中等部の三年だ。



「あ~そっか、どっちかは通らないといけないのか」


「はい…って朱雀さん、忘れてたんですか?」


「………」


「まぁ、朱雀さんだから仕方ないって」


「…ソウ、酷くないか?」


「そうだね、朱雀さんだもん。仕方がないか」


「…紫苑まで」


俺って、二人にどんな認識されてるんだろ。


ショックで廊下に膝を着く俺。


「さぁ朱雀さん、そんな所で廊下に膝を着いてないで行きますよ」


ショックで膝を突いている俺の右腕を掴み引きずろうとする紫苑。


「理事長室に行きますよ、朱雀さん」


そう言って紫苑が掴んでる腕とは逆の腕、左腕を掴んで俺を引きずっていく。


…後輩が先輩に対する扱いじゃない気がするのは俺だけだろうか?


結局そのまま理事長室まで後輩に引きずられて行った。


お久し振りです、随分と間が空いてしまいましたがこれからは長く空けないようにして行きます。



感想その他色々待ってます。

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