表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ツインテール無双!〜勇者召喚に巻き込まれたら、魔法少女になった件。そしたら、いつのまにか百合ハーレムが出来てました〜  作者: sha-k_3
第1章・かくして魔法少女は異世界に芽吹いた

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/21

第14話・情報過多と熱異常

「それでは次に、色彩変化(カラーチェンジ)を試行していきます。現在、ひかり様が使用できる魔法属性は、火・水・風・地の4つです。それぞれ対応している色彩(カラー)は、(レッド)(ブルー)黄緑(ライトグリーン)(イエロー)となっています。能力を発動するには、『色彩変化』と唱えたあとに、2つの色彩を続けて声に出す必要があります。例を挙げると、『色彩変化・赤・青』と唱えることで、能力が発動出来ます」


わたしの文句を完璧に無視したエルは、淡々と色彩変化についての説明をし始めた。

ここまで冷淡だと、彼女がAIかなんかだと錯覚してくる。


(まあ、異世界にAIとかある訳………………あれ?)


だが、さっきから浮かび上がっているスクリーンや、そもそもこの部屋自体を創造する技術は、異世界にとって明らかにオーバーテクノロジーではないだろうか。

さらに言えば、ここまでの技術力はもはや現代世界でも最先端、もしくはそれ以上だと思う。


(え、じゃあエルってAI、もしくはそれに近い何か……ってこと?)


「………………ひかり様?」


「ん? あぁ、ごめん。少し、考えごとしちゃってた」


なんの反応も示さないわたしに、どうしたのかとエルが声をかけてくる。

首をこてんと小さく傾げる様子は先ほどから思っていたが、やはり酷く可愛らしい。


「えーと……唱えたあとに、2色続けて言えばいいのね?」


「肯定」


わたしの問いかけに対して、エルはこくりと頷いた。


「じゃあ、いくね……色彩変化(カラーチェンジ)(ブルー)黄緑(ライトグリーン)


そう唱えた瞬間、真下から眩しい光を感じて、不思議に思ったわたしは視線をそっちに向ける。

するとわたしの足元に、神々しく眩く魔法陣が浮かび上がっていた。


白光で描かれた魔法陣の四方には、赤、青、黄緑、黄の4色に輝く発光点のようなものが浮かび上がっており、中央からは2本の黒い光線が伸びている。

そして光線が、時間を進められた時計の針のように回転していくと、その先端が青と黄緑の光点を指して静止した。


「はい、成功のようですね。これで現在ひかり様は、水属性と風属性の魔法の行使が可能になりました」


「………………ほんとに? もうわたし、魔法が使えるの?」


行使が可能と言われても、正直に言って実感が一切湧いてこない。

『ウィンドカッター!』と唱えたりすれば、手から風の刃が放たれたりするのだろうか。


(でも、魔法少女が魔法使えなかったら、圧倒的に名前詐欺だもんね……)


そんなしょうもないことを考えていると、わたしの言葉に対してエルが返答を口にした。


「肯定。ひかり様の魔力は現在進行形で消費されていますが、初級魔法レベルなら即座に使用が可能です。試行をしますか? 試行をする場合は、修練用ダミーゴーレムを召喚します。それと、魔法の手解きも行いますが、どうされますか?」


「修練用ダミーゴーレム?」


「特殊な製法で液化した魔力によって構成されているゴーレムのことです。通常のロックゴーレムよりも頑丈であり、特徴として粒子レベルでも残っていた場合、時間経過で完全に再生します。そのため、剣術や魔法の修練用に使用されているゴーレムです」


(あー、ゲームで言うところの、試し斬り用のカカシみたいな感じかな?)


「それじゃあ、お願いしてもいい?」


「承知しました」


エルはわたしの言葉に頷くと、わたしたちの間の床に魔法陣が浮かび上がる。

キラキラと輝く魔法陣からポンッと飛び出てきたのは、兜が被せられた金属製のカカシだった。


なんというか、酷く既視感がある。


「それでは魔法に手解きをしていきます。まずは、鳩尾の上の辺りに手を当ててください」


カカシを見ながらボケーっとしてたわたしは、彼女に言われるがままに手を動かしてその辺りを押さえる。


「今からわたしが魔力を流していきますので、それを感じ取ってください」


「はい、わかりむッ!?」


エルの言葉に返事をしようとした瞬間、彼女の美しい顔が一瞬で近付いてきて、わたしのくちびるにその小さな口をくっ付けた。

すると、だんだんと舌に熱が込もってきて、喉、首、心臓を通って熱が流れ込んでいく。


(わた……え、キスされてる……?)


とんでもない衝撃にわたしが脳をショートさせていると、今度は鳩尾の上の辺りが一気に熱を帯び始めた。

そこに、何かが溜まり込んでいるような感覚を覚えながら、わたしはあまりの熱に気道が苦しくなってくるように感じる。


次の瞬間、溜まり込んでいた何かがそこで大爆発を起こしたのか、マグマが噴火によって流れ出したのかと思うほどに、ボコボコと全身の血管が酷く熱くなった。


「ッ!? ぐっ、は、はぁ……はぁ……な、なんなの? 急にき、キスしてきたりなんかして……! それに、なんか体が酷く熱いし……!」


わたしは喉から込み上げてきそうになった熱い何かを飲み込むと、息を切らしながらエルを睨みつけた。

有無を言わさずファーストキスを奪われた上に、毒薬を仕込まれたかと疑うくらいに体が熱くて痛い。


どうしてわたしはこんな状況に陥っているのだろうか。

そんなことを思いながら数秒が経つと、いつのまにか体から熱が引いており、それが分かったのかエルが再び説明を始めた。


「魔力を相手に流するには、肉体的接触が必要となります。その中でも、キスによる接触が最も効果的とされていますので、今回はその方法を使用しました」


いや、その選択は最も効果的かもだけど、わたしにとっては絶対に最適解じゃなかったけどね……

わたしが呆然としながら文句を心で呟いている間も、エルは音声機械のように説明を続けている。


「現在ひかり様の内部では、私の魔力がひかり様の魔力と共鳴を起こしています。それによって魔力器官が刺激され、ひかり様の魔力が覚醒しました。これで、ひかり様が魔法を使う上での事前準備が整いました」


「か、覚醒?」


「はい。魔力を体外に排出できるようになるには、魔力を覚醒させて全身に巡らせる必要があります。それは――」


「そこまでで大丈夫! 正直、今日だけで情報を詰めすぎて、そろそろ涙が出てきそうになってきたから……」


このまま分からない単語を聞き続けてると、日が沈んで反対から昇ってきてしまう。

まあ、この部屋からは太陽なんて見えないけれども。

それに、1から100まで理解が出来ていないという訳でもないし、大丈夫だろう。


脳がオーバーヒートし始めたわたしがエルの説明を遮ると、彼女は不思議そうな雰囲気のままこくりと頷いた。


「承知いたしました。それでは今から、初級魔法の練習を始めていきます。まずは、魔力を感じるところになります……が、ひかり様は魔力感覚が非常に長けているように思われます」


「そうなの?」


「はい。先ほど全身を熱く感じていたのは、魔力が神経を巡回していたことによるものです。そのため、熱を感じられていたのは、魔力感覚が冴えていることの証拠になります。それでは、次の段階に進みましょう。手のひらに魔力を集めて、ウォーターボールと唱えてください」


(手のひらに魔力を集める……? と、とにかくやってみるか……)


わたしは、さっきまで高熱を感じていた鳩尾の上の辺りに、ギュッと力を込めた。

じわじわと熱が籠ってきたのを感じたわたしは、それを右手に集めようと強く強くイメージする。


「ッ! 熱が上がってきてる!」


すると、籠っていた熱がどんどんと上に上がってきて、最終的に右の手のひらに熱が集まっている。

わたしは右手を前に出すと、カカシの方に向けながら力を込めて叫んだ。


「………………ウォーターボール!」


次の瞬間、手のひらを向けた先に直径5センチほどの水の球が浮かび上がった。

水球は3秒ほどその場に留まると、カカシに向かってゆっくりと動き始める。


そして数秒ほど空中を揺蕩ってから、パチンッと弾ける音と共に地面に落ちた。


「で、できた……!」


「肯定。ひかり様は、魔法の発動に成功していました」


どうやらわたしは、ついに魔法使いとしての第1歩を、しっかりと踏み出せたみたいだ。

だけど、ただ1つだけ、言いたいことがある………………










(想像の数倍、しょぼくない……?)


頭の中で描いていた魔法への幻想が、今、音を立てて崩れ落ちた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ