第30話 魔王契約
昨日は急遽投稿できず、申し訳ありませんでした・・・
代わりに今日はいつもより、多少ボリューミーです!!といってもほんの数百字の違いなのですが・・・
追記
誤字を訂正させて頂きました。
「じゃあみんな、俺と契約してくれるってことでいいの?」
俺は一抹の不安を覚えながら、目の前にいる仲間達ーーーケルト、サーレ、ボレアス、ミキ、ルックーーーの顔を一通り眺めた。
すると謎の黒装束の男ことルックが、困ったような、呆れたような顔をして俺の前に手を差し出してきた。
「何回言ったらわかるのかな?いいから早く契約しようよ~」
俺が何度も同じことを聞いてくるからか、めんどくさくなったらしいルックは、早く早くと急かしてくる。
俺のスキル『魔王契約』は、契約者が主に逆らえなくなるかわりに主のスキルの一部が使用可能となり、身体能力の向上が発生する。
一見いい事尽くしに思えるかもしれないが、これは契約者は一生ゲーム内では主に逆らえなくなることを意味する。つまり、言うなれば奴隷となんらかわりはないということだ。
俺が慎重にならないことも何ら無理はなく、逆に急かしてくる仲間達はどうなのかと考えてしまう。
「本当にいいのか?あまり言いたくはないけど・・・俺の奴隷になるようなもんだぞ?」
「はあ~、早く!!僕たちの決断は変わらないんだからさ~。時間が勿体ないよ」
俺はお前のことを心配してだな・・・と喉まで出かかったが、必死に堪えた。こんな押し問答を続けても時間が勿体ないことには違いない。
しかしこれは一大事なことであって、そんなノリで決めていい代物ではない。
「ルックは言葉が足りんな。・・・こいつは大事な大事な妹を助けてもらったんだ。それに、無力な自分がとことん嫌だと思い知ったのだろう。その意思を受け取ってはやれないだろうか?」
ボレアスが横から口をはさんできた。
ルックは『言葉が足りん』といわれて少しムスッとしたが、言いたかったことを的確に言われたことで多少溜飲は下がったのだろう。今は、うんうんと満足そうにうなずいている。
「ルックは分かったけどさ・・・他のみんなはどうなの?」
「俺は勿論イングストについていくって決めてたからな。契約だろうがなんだろうがやってやるってもんさ」
ケルトは満面の笑みでそう言った。男の笑顔など誰得か!!って昔の自分なら言っていただろうが、今の自分は存外そうでもない。やはりケルトは特別なのだろう。
「俺もだな。地竜を倒した時からお前らの実力を認めていた。強い奴と歩みを共にするのも存外悪くはないぞ?」
ボレアスさんは迷いなくそう言った。おそらく本心からの言葉なのだろう。単純だが物凄く心に残る、彼らしい一言だった。
「私もなのです!!助けて頂いたので、兄共々よろしくなのです!!」
ミキちゃんはこれまた満面の笑みで言った。ケルトとはまた違う可愛らしい笑みだ。俺がロリコンだったなら一発アウトだっただろう。現にルックが恍惚とした表情を浮かべている。・・・シスコンめ。
「勿論、私もですよ。助けて頂いた時からそう決めてましたので!!」
最後にサーレはきっぱりとそう言い放った。彼女のまっすぐな瞳がこちらとぶつかる。それを見て、相変わらず美しい顔をしていると思った。見惚れてしまいそうで、思わず視線を少し下に下げると、そこにもまた刺激的なものーーー大きなアレーーーが見えてしまい、思わず赤面してしまいそうになった。
真面目な雰囲気だったので何とか理性を保てたが、やはり魅力的な女性だと思う。
「みんな・・・ありがとう。みんなの気持ち、受け取ったよ・・・本当にありがとう」
「そ、それは分かったが、何で泣いてんだよ!?」
ケルトにそう言われて初めて気が付いた。俺の頬を涙がすうっと駆け抜けていったのだ。しかし、これは冷たくない。まるで布団の中にいるような、そんな暖かい涙だった。
「わ、悪い。無意識にな。それよりも早速始めよう」
俺は素早く涙をぬぐって、まずは差し出されているルックの手を取った。
白くてほっそりとした手だ。と思ったらマメもできている。まだ小学校高学年くらいの容姿と年齢にしては、苦労を感じさせられる手だ。妹が連れさられた後、必死に努力してきたことがうかがえる。
「ルック、まだ出会って間もないけどこれから頼むよ。・・・君がスルガのこと暗殺してたってことには正直驚きだったけどね」
スルガはとっくにルックによって暗殺されていた。と聞いた時、俺は目玉が飛び出そうになるくらい驚いたものだが、それも含めて彼にはこの名前が似合うだろう。
「それじゃあ君の二つ名は『死神』だ。死を司る神にして俺を支えてくれ」
『魔王契約』を行うには、主が契約者に二つ名を授けなければならない。これは一生変更不可能であるため、つける側には物凄いプレッシャーがかかるのだが・・・俺は厨二病気質があったので、難なくつけることができた。
「『死神』ルック。主であるイングスト様に敬意を尽くすよ」
すると、ルックの体が光り始めた。そして数秒後、光は収まった。
どうやら契約は完了したらしい。
続いてはミキちゃんに行うことにした。
先程のように握手をすると、ルックがこちらを睨め付けてきたのだが・・・・まあいいか。
とても柔らかい手だった。どれほど柔らかいのか筆舌しがたいが、それ程だったのだ。思わず守らなければという庇護欲が湧いてくる。
「ミキちゃん。これまで沢山怖いを思いをしてきたと思う。でももうこれからはそんなことはさせないよ。必ず守る。・・・二つ名は『小さな悪魔』だ。(兄をシスコンへと変える)その力遺憾なく発揮してくれ」
「『小さな悪魔』ミキ。主であるイングスト様に敬意を尽くしますです!!」
すると、ルックのように体が光り出すとまた数秒で収まった。
次はボレアスだ。
握手をしても鎧で手の感触は分からない。ただ、その鎧から伝わってくる熱いものは感じ取ることができた。
「ボレアス。今まで相談事とかありがとう。熱くて超が付くくらいの親切な君にはいつも助けられたよ。これからもよろしく。・・・・二つ名は『暗黒騎士』だ。その鎧に恥じないくらいの剣術を期待しているよ」
「『暗黒騎士』ボレアス。主であるイングスト様に敬意を尽くします」
再び光り出し、収束した。
次にサーレだ。
やはり白くて柔らかくて、いつでも何度でも触りたくなるような手だ。彼女から発せられるいい香りには思わず脳が蕩けてしまいそうになる。その手はまさに母のようでもあったし、また一人の女の子でもあった。とても安心できる手だ。
「サーレ。狸のことありがとう。君がいなかったら俺は確実にあそこでゲームオーバーだった。本当にありがとう。・・・・二つ名は『魔王の左腕』だ。いつも傍で俺のことを支えてくれ」
「は、はぅぅ・・・・はっ!『魔王の左腕』サーレ。あ、主であるイングスト様に敬意を尽くします!!」
一瞬顔を赤らめていたサーレだったが、すぐに気を取り直した。
周囲では甘いなこの空気と思っている者が多数いたのだが、誰も口には出さなかった。・・・・そう。まるでイングストがサーレに告白しているかのようだったからだ。ただし残念なことにイングストには自覚がなかった。だからサーレが照れたのも、手を握っていたからだと勝手に憶測してしまったのだ。
最後にケルトだ。
握手をすると、また涙が出そうになった。やはり安心感が桁違いだ。出会ってまだ4、5日程度なのにも関わらず、実家のような、いや、それ以上の安心感だった。まるで元あるべき場所に帰ったような、そんな気がした。
「ケルト・・・お前に言う事は特にない。これからも頼むよ」
特にない・・・イングストのことを知らない人が聞いたならば、それは信頼されていないと思われるだろう言葉なのだが、イングストのことをよく知っているケルトからすれば、最も嬉しい言葉だった。
(分かってるぜ。何も言わなくても俺とお前は一心同体だ)
「二つ名は『魔王の右手』だ。俺の最も頼れる人としてこれからもよろしく」
「『魔王の右手』ケルト。主であるイングスト様に敬意を尽くします」
全員の契約が終了すると、もう辺りは朝になっていた。赤い日差しが部屋の窓から入ってきている。その光に目を奪われている仲間たちはこの時、まだ知らなかった。
これから歩む道が長く、険しいものになることに。
人間族プレイヤーの総数:約16万人
魔族プレイヤーの総数:約4万人
8対2という戦力差は絶大だということに。
因縁の対決が始まろうとしていることに。
そして、まだ見ぬ陰謀が今、動き出そうとしていることに・・・・・
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