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第三話 ラーゼン公爵

拙い文章、人物、状況情報など色々欠けていると思いますが、よろしくお願いします。

◇◇病室◇◇


 デヴィラネは自分の父であるラーゼン公爵のお見舞いに訪れていた。病に伏せっていると聞いていたが・・・。


「おぉ、デヴィラネではないか!?」


「・・・病室を間違えたのでしょうか?」


 目の前にいる父はもはや200キロ近くはあろうかという巨体で超肥満体である。あれ?デヴィラネの記憶にある父はふっくらとしていたが、こんな豚ではなかったはず・・・。


「お元気そうですね?」


「いやはや目がよう見えんようになったよ。死期も近いということなのだろうな。」


 元気そうに見えるが、やはりどこか悪いのだろうな。


「そうですか。」


「足も全く動かんよ。そのおかげで食べることしか楽しみがなくてのぅ。」


 んん?あれ?なんか前世で俺の父がそんな感じの症状を出してたような・・・。


 ちょうど看護師が食事を運んできた。それには肉がたっぷり載ってて、食後のデザートである甘味が大量にあった。ワインも付いていた。野菜は見当たらない。まさに栄養面シラネと言っていいくらいのメニュー。


「これこれこれよぉ。どうせ死ぬなら太く短くよぉ。」


 ラーゼン公爵が「いただきまーす」を言わせる前にデヴィラネが食事を取り上げた。


「ど、どうした?」


「お聞きしますが、どういう病気に罹ってます?」


「原因不明じゃ。ひどく喉が乾くて、常に水を飲んでおるなぁ。」


 あぁ、もうわかったよ。思いきり糖尿病じゃねーか。この中世風の時代じゃ、医療が進んでないのか。回復魔法はあるが、傷や毒を治すだけで病気には効かないようだしな。


「お父様。野菜を中心に食べなさい。」


「えぇ・・・。」


「私としては長生きして欲しいのですよ。」


「しかし、野菜を食べて治るのかね?」


「治療法がないなら、野菜を中心としたメニューや薬膳料理で血糖値コントロールをしていかねばなりません。」


「血糖値?」


 血糖値という概念がないのか。わかりやすく伝えるにはこれだな。


「とにかく痩せないとダメということです。」


「儂はこのザマじゃよ。」


 悲観するラーゼン公爵。男は病気になると悲観する生き物だよな。わかるよ。求める相手が必要だということくらいは。


「私がいますので、一緒にダイエットを頑張りましょう。」


「・・・デヴィラネ。我が娘にこう言われて頑張らなきゃいかんな。」


 ラーゼン公爵の目に生きる力が輝いたかのように見えた。


 デヴィラネはラーゼン公爵と雑談を交わし、婚約解消の本題に移るタイミングを測る。


「公務で忙しく、構ってやれなかったが、成長したな。病気になったことには感謝せねばならんかのぅ?ハハハ。」


 ラーゼン公爵が高らかに笑う。だが、以前のデヴィラネであったら、絶対にお見舞いしなかっただろう。


「それでイザーク王子殿下とのお付き合いはどうだね?」


 ちょうど好都合の話題タイミングにデヴィラネは乗る。


「そのことですが、婚約解消をしたいと思っております。」


 するとラーゼン公爵が驚きのあまりに口をあんぐりとする。


「・・・すまない。もう一度言ってくれないか?」


「婚約解消したいと申し上げています。」


 ラーゼン公爵は驚きからようやく理解に追いつき、慌てる。


「ど、どうした?!理由を言え!!」


「国の将来を考えると私では重荷でしかなりません。」


 実際に自分の中にいるデヴィラネは酷すぎる性格だしな。早急に婚約解消に持っていかないとイザーク殿下により断罪イベントを起こされても面倒だ。


 万が一、イザーク殿下と結ばれて王妃となってもあのデヴィラネのことだ。下手なことをして国民を怒らせて殺される。もちろん、婚約解消することで自分の母親であるララトイア夫人を怒らせて殺される。だが、自分の母親なら逃げてもいいくらいだからな。むしろそっちの方がマシだ。


「何を言っておるんだ!!国の将来を考えるなら君ほどの適任者はいないんだ!!」


「(はぁ?!)」


 どういうことだ?デヴィラネには国の将来を支える役割があるのか?


「それはどういう意味ですか?」


「儂の口からは言えん!!」


 ラーゼン公爵は何か知っているようだが、これ以上聞き出そうとしても頑なに拒否する。


「・・・まさかイザーク王子殿下もこの件はご存じなのか?」


「はい。」


「・・・はぁ。アルトメア王様の耳に入れば、呼び出しを受けるはず。失礼のないようにな!」


 ここでまたアルトメア王様が出てきたか。


「そうですか。」


「我が娘よ!イザーク王子殿下と婚約解消をするなど間違ったことは考えるな!!」


 ラーゼン公爵は動けないながらもドアップで顔を近づけてこようとする。思わずのけぞるデヴィラネ。


「わ、分かりました・・・。」


 ラーゼン公爵の顔ドアップを間近で見るとつい頷いてしまった。何故なら、脂てかてかで気持ち悪い・・・。


 デヴィラネはラーゼン公爵のお見舞いを後にする。


 困ったぞ。アルトメア王様に直談判しないといけないのか。まぁイザーク殿下が婚約解消を進言してくれるし、その後の反応待ちだ。考えるのはその後にしよう。



◇◇夢の中◇◇◇


 あぁ、また俺は前世の自分に戻ってる。M字ハゲおっさんのな。と言うことは・・・・。


「お前ぇぇぇぇぇぇ!!」


「ゲベラァッ!!」


 出会い頭に一発殴られた。やはりオーク女ことデヴィラネが出てきた。どうやらここは夢のようだ。よく見ると前世の俺の部屋だ。


「ギャァ!痛いぃぃぃぃぃ!!」


 俺も痛いが、デヴィラネも痛がる。学習しないやつめ。俺とデヴィラネは表裏一体。痛みも共有しているんだから気をつけてくれよ。


「なんで殴るんだ?!」


 まぁ理由はわかるけど、あえて訊こう。


「婚約解消しようとしたからでしょ!!何勝手にやってるの!?」


 デヴィラネの返事は予想通りだ。ならば。


「その答えは漫画を読めばわかる。そこらへんの漫画を読んだか?」


 俺の部屋には悪役令嬢書籍が結構あるのだ。それを読めば婚約解消の原因にたどり着けるはずだ。


「あぁ、漫画って絵物語のこと?面白いわよね。出てくる悪役令嬢って馬鹿みたいね。」


 いや、お前も悪役令嬢だからな?周囲から見てもそうだからな?


「出てくる王子様、全員イケメンね。それにヒロインの立場がまさに今の私よ。あぁ、逆ハーレム狙いたいわね。それがどうしたの?」


 あぁ、思い上がりすぎて駄目だ。なんで我が身振り直せないんだ?


「そうそう。DVDって何よ?」


 あ、そうか。DVDって言ったけど、わからないよな。中世風ファンタジー世界にDVDなんてないしな。


「これだよ。」


「丸くて穴があるわね。ドーナツみたい。」


 食い意地張りすぎだ。


「食べるなよ。」


 俺はDVDをデッキに入れて、TVに映し出す。悪役令嬢関連のアニメだ。


「何!?イケメン王子が動いてるぅ?!」


「面白いだろ。って聞いちゃいないか。」


 デヴィラネがTVに釘付けになっている。これでデヴィラネがこれ以上、突っかかってくることはないだろうと安堵する。


「(時間をかけて悪役令嬢関連の物を見せて、自分の立場を理解させるしかないな。)」


 俺は死が訪れるバッドエンド回避に精を出すのであった。



◇◇アルトメア学園◇◇


「一日一善。」


 アルトメア学園の正門にて派手に転んだ女生徒がいたのを目撃したデヴィラネが手を差し伸べる。


「大丈夫?怪我はないかしら?」


「ヒィッ!あ、ありがとうございます!!」


 デヴィラネの巨体さに圧倒され、差し伸べられた手を握ったら、分厚く、気持ち悪く思った女生徒はお礼を述べるとすぐ立ち去った。


「一日一善。一日一善。」


 アルトメア学園の廊下にて書類運びをやらされている生徒が手元を間違えたのか書類をぶちまける。書類が散乱したのを目撃したデヴィラネが近寄って、拾い上げる。


「お手伝いしましょうか?」


「ヒィッ!!あ、ありがとうございます!!」


 デヴィラネは書類を拾い集めるが、屈むため、腹の肉が邪魔。よって、足を幅広げて屈んで拾い上げるため、周囲の視線にはあまりにもデヴィラネのみっともない姿が映っていた。さらに拾い上げるのにも効率悪く、太りすぎだろという周囲の思いが一致していたのは言うまでもない。


「一日一善。一日一善。一日一善。」


「イザーク王子殿下がお優しいからって、男爵家の分際が勘違いしないで頂戴!!イザーク王子殿下は婚約者がいるのよ!!」


 デヴィラネは庭園にていじめの現場を目撃する。これはさすがに一日一善の許容を越えた現場に尻込みしかけるが、なんとその姿は自分の取り巻きであるローゼたち三人ではないか。おい。やめろ。俺が良いことしてるのに帳消しされるかのような行動は取るな!!ということは相手は・・・。


「デヴィラネ様の差し金?なるほど。自分は変わったと周囲に振り撒き、裏で陰湿な行動を取る。頭を使うようになったのね。納得だわ。」


 ピンク色のボーイッシュ系少女のリシアサンスだった。


「いい。よく考えてみて。婚約者があの図体ではイザーク王子殿下の婚約者に、将来の王妃にふさわしいと思って?」


「「「・・・。」」」


 ローゼたちが押し黙る。いや、少し否定して。やっぱりこの図体じゃ、ダメだよな。人は見た目で八割方が決まるというものだよな。そりゃ、良いことしても皆、微妙な反応だもんな。くそぅ。


「デヴィラネ様について行けば、安泰と考えているなら大間違いよ。それは沈没船に乗るようなものよ。」


「「「・・・。」」」


「ね。だからデヴィラネ様から引いた方があなたたちのためよ。」


 リシアサンス。お前は俺をそこまで引き摺り下ろしたいのか?ならばいいだろう。宣言しようじゃないか。婚約解消をな!!


 リシアサンスとローゼたちの間に割ってデヴィラネが入った。


「「「デヴィラネ様!!」」」


 ローゼたちが不味いところを見られたため、慌てふためく。ローゼたちを他所にデヴィラネはリシアサンスと対面する。


「話は聞かせてもらったわ。まず、私はローゼたちにこのようなことは指示しておりません。」


 だが、疑惑ありありの目つきするリシアサンス。


「この私がイザーク王子殿下との婚約者にふさわしくないと。ならば、この場ではっきり宣言しましょう。」


 デヴィラネが貯めに貯めて、リシアサンスとローゼたちに言い放つ。


「ダイエットするわよ!!」


 それはアルトメア学園に響き渡る激震であった。

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