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Rの世界  作者: 冬生まれ
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E-1

※注意※

ページが切り替わるごとに、時系列が変わります。

◆…現在軸。転移後の世界の記録。

◉…過去軸。転移前の世界の記録。

となっています。



◉2016/06/01

こうやって日記アプリに愚痴を書き込んだって仕方ないのにな。けど、誰も相談する人がいないから、せめてこうやって吐き出さないと、もっと苦しくなりそうだ。

今まで褒められないのが当たり前の人生だったから、特に辛いと思わなかったけど、今日の打ち上げで、同期の人達が褒められる中、自分だけが褒められないというのは、さすがに堪えた。

漫画だとこういうシチュエーションがよくあるけど、現実でも本当にあるんだな。

自分は人からの評価をあまり気にしないタイプだと思っていたけど、そうでもないみたいだ。


◉2016/06/04

気晴らしに新しい化粧品と服を買いに行った。もし知り合いに見られたら、田舎に住んでいる妹に頼まれたと言い訳しよう、と思っているけど、実際にこの言い訳はどこまで信じてもらえるだろう。

今日はいい買い物ができた。限定色の桜色のティントがとても自然な色味で、今まで買った中で一番好きになりそうだ。これくらいの色なら、会社につけていってもバレないかもしれない。

でも、やめておこう。

それから、タンクトップ型の白いパーカー。フードがウサギの耳の形になっていて可愛い。

化粧品と服は本当に僕を幸せにしてくれる。


◉2016/06/06

打ち上げのことを気にして、会社に行くのがちょっと嫌だったけど、もう大人なんだからそんなこと言っていられない。

僕だけ褒められなかったことは、気にしないようにしよう。

たまたま忘れられただけかもしれないし、これから頑張って認めて貰えばいいだけだ。


◉2016/06/08

いつも僕を遠くから見てニコニコしている年配のお客さんがいたから、思い切って挨拶してみたら、驚かれて逃げられた。パートのおばちゃんが「あのお爺ちゃん、xxくんのことを女の子だと思って夢見てたのよ。残念ねぇ」と言って笑ってた。

化粧して中性的な服を着ているときならともかく、スーツなのにそんなことあるのだろうか。爺さんは耄碌しすぎだ。


◉2016/06/09

今日は失敗をしてしまった。

去年退職した人が、まだいると思ってリストに加えてしまっていたのだ。違う部署だから知らなかった。関連部署に慌てて謝りに行ったら、事務のお姉さんに黙って苦笑された。

上司には「退職した人くらい、ちゃんと把握してくれていないと困るよ。しっかりして」と叱られた。

うちの会社は社員が多くて全部覚えるのは難しいと思っていたけど、他の人はちゃんと把握していたみたいで、知っていて当たり前という反応だった。覚えられていないのは僕だけみたいだ。


◉2016/06/10

僕の周りはすごく仕事ができる人ばかりなあ、と呑気に思っていたけど、もしかすると、みんなが当たり前のレベルで、僕が他より劣っているだけかもしれないと、不意に思った。

僕は場違いなところにいるのかもしれない。

もしかして、みんなはもう気づいてた?

僕だけが上手くやれていると思っていたのかな。


◉2016/06/12

先週買った白いパーカーと黒のショートパンツを着てメイクをした。

自分で言うのもどうかと思うけど、どこから見てもボーイッシュな美少女だ。もちろん、まだまだ課題はあるけど。

休日の部屋の中でだけ、僕は理想の存在になれる。嬉しい。

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