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異空人ー碧空からの招待状ー  作者: 加賀くらま
第1章
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第5項 天孫降臨

11:33 芝公園内第一戦闘団指揮所


「報告は明確迅速にっ!それで、どんな奴らが降りてきた!送れッ!!」

第一戦闘団長にある第一普通科連隊長の怒声が飛ぶ。30秒前に前線から「浮遊体より何かが降下」と報告を受けた時、指揮所内一同が驚いた。そして、それは関係省庁やJTF司令部のある朝霞駐屯地、展開各部隊に伝染した。

「HQ、情報小隊。目標は小型の縦長箱型の物体。内部に搭乗員がいるかは不明。なお、目標は接地後、行動停止。送れ」

「情報小隊、HQ了解。状況、待機」

戦闘団長は直ちに、朝霞のJTF司令部へ接近の可否を求めた。


「....HQより、CT各隊へ。戦闘団長の神崎だ。命令を達する。情報小隊は降下目標に接近し、内部を確認せよ。1C隊長は小隊を選抜し、監視任務引き継ぎ。それ以外の各隊は事態に備え待機」

椅子に座り直した戦闘団長は1人つぶやいた。

「...まだRCV(87式偵察警戒車)さえ展開できてないのに」


情報小隊は前進を開始した。それぞれの各班が止まっていたビルの陰や木陰、高架橋の側から移動し、降下した目標へと急いだ。

情報小隊は本来であれば偵察用バイク、73式小型トラック、軽装甲機動車が配備されている。しかし、このようなビル群のど真ん中で監視任務を行うには、あまりにも目立ちすぎることや、道にとらわれない柔軟な移動ができることから、あえて徒歩による監視、接近を行った。

情報小隊長の指示で、3個分隊(マルヒト、マルフタ、マルサン)がそれぞれの任務に当たる。

マルヒトは降下目標に接近し、内部を確認。マルフタ、マルサンはマルヒトの援護をするが、降下目標が浮遊体直下に存在するため、何らかの攻撃に備え援護に必要な距離を維持しつつも、一度の攻撃で全滅しないようある程度散開する。

マルヒトが、降下した物体の目の前に立つ。恐る恐る近づき、分隊長が扉らしき隙間に手をかけようとした時...。


「プシューッ!!」と勢いよく吹き出した青白い煙に思わず全員が死を覚悟した。訓練の賜物か、咄嗟に伏せる者、銃を構える者、仲間を庇う者。


「こちら情報小隊長!マルヒト無事かっ!?送れッ!!」

「HQより情報小隊!何があった!?送れッ!!」

「マルフタよりマルヒト分隊長!仁科無事かっ!?」

「情報小隊長より情報小隊各隊へ。状況、ガスの可能性あり。総員、呼吸器装着ッ!」

途端に無線が悲鳴をあげる。絶望が支配するかに見えた。


「...各隊へ。こちらマルヒト分隊長。生存です、いや、皆生きています」

マルヒト分隊長は口ではそう言いつつも、顔は硬直し、銃を正面に向けたままだった。いや、マルヒト全員がそうだった。

「中に誰かいる...」

開け放たれた物体の扉を見て、誰かが呟いた。






それは、人だった。まさしく、人だった。


男女らしき2つの生命体は、全身を黒いスーツとシャツ、ネクタイと靴で包み込み。その表情は全くの無であった。

男はオールバック、女はポニーテール。一見すれば同じコーデをするカップルに見えなくもないが、状況が状況だ。それはない。


「おい!仁科っ!」とマルフタ分隊長がマルヒト分隊長に駆け寄るが、彼も、マルフタ全員も全身が硬直し、目を見開いた。


「.....」

おもむろに男性の方が内ポケットから、ある物を取り出した。それをマルヒト分隊長に向ける。それは円形の筒のような、銀色に輝くものだった。

“シュン”という風を切るような音がした。とっさに全員が銃口を向けた。


「驚かしてすみません」

男は唐突に口を開いた。しかも、日本語で。

呆気にとられる一同。それを無視するかの如く、男は続けた。

「我々に敵意はありません。そして、貴方方と同じ日本人です」

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