バーンフレイム
スケイルシールド★★★を装備してステータスを確認すると……うん、防御力が上がっている。
かなり頼りになるような錯覚を覚えるが、こんな盾一つで危機的状況を乗り越えられるかわからないので、そのまま進む。
問題は両手がふさがっている所だろうか。
リーゼが持たせてくれたリュックを背負っているけど、この盾はさすがに入りそうにない。
と、思いながら歩いているとガサガサと音が聞こえた。
その方角を見るとパープルオウルと言うフクロウみたいな動物が何か捕まえた動物に圧し掛かっているようだった。
割と小さい。現実のフクロウくらいの大きさだ。
アナライズリングで解析出来ないかと向ける。
――ザザ――
砂嵐が起こって名前以外はわからない。
引き返すにしても、一本道だった様な……草葉の陰に隠れてやり過ごすか?
見た感じだと勝てなくはなさそうだけど、ここは異世界の迷宮だ。
ゲームだと見た目は弱そうなのにすごく強いなんてよくある事だ。
その可能性は十分ありえる。
出来れば、戦わずに済ませたい所なんだが。
と、考え、ふと振り返ると。
「ホー!」
翼を広げたパープルオウル二匹目が俺の背後から襲い掛って来た。
「く!」
咄嗟にスケイルシールドを前に向けてパールプオウルのツメ攻撃を受け止める。
ガツッと良い音が盾から響いた。
うわ、衝撃がきついな。
だが、耐えきれない相手ではなかったようだ。
ツメ攻撃が効かないと察知したパープルオウルが羽ばたいて空へ逃げようと試みる。
「でえええい!」
その隙を俺は逃さずに、剣を振りかぶった。
「ホー!」
パープルオウルの羽に剣が命中。
ザシュッと肉を切る感触が手に伝わる。が、硬い! 上手く攻撃が入らなかった感覚がある。
うー……実戦はゲームとかとはやっぱり違うな。
飛び上がるのに失敗したパープルオウルは床に落ちて、体勢を整えようとしている。
させるか!
俺はLv1でここはリーゼ達の話では深い階層なんだ。
この隙を逃したら俺自身の命にかかわる!
俺は盾を手放し、両手で剣を握ってパープルオウルを上から突きさした!
「ホォオオオオオオオオ!」
剣が突き刺さったパープルオウルはじたばたと暴れだし、俺の攻撃から逃げようと試みる。
早く、早く息絶えろ!
深々と突き刺した所でもう一匹のパープルオウルを見る。
俺が一方的に一匹を仕留めている所を唖然とした表情で見ている。
……知能があるかわからないがここで攻められたらたまったもんじゃない。
思いっきり睨みつけ、次はお前の番だと匂わせて笑う。
「ホー!」
バササッともう一匹のパープルオウルは逃げ出した。
よし!
と、暴れるパープルオウルに視線を向ける。
「ホ――」
糸が切れた操り人形のようにパープルオウルの体の動きが止まった。
俺は剣を引き抜いて、本当に死んだか再度突く。
……まったく動く気配が無い。
これが……実戦なのか。
命の危機だから殺せた。
最初の一匹と戦えたか分からないけど……やるしかないと思う。
Lvアップ!
Lvアップ!
Lvアップ!
と、アナライズリングに項目が次々と出てくる。
どうやら俺はパープルオウルを倒せたお陰で駆け足気味にLvが上昇したようだ。
「ん?」
ポロっとパープルオウルの体からスクロールが出てきた。一緒に魔晶石も出てくる。
このスクロールはなんだろうか?
試しに開いてみる。
そこには俺にも読める文字で、こう書かれていた。
『バーンフレイムLv5』残数5
「バーンフレイム?」
俺の前に炎の塊が出現して一直線に飛んで行った。
なんだ!? 魔法か?
リーゼが教えてくれた魔法にも似たようなモノがあった気がする。
これって魔法の巻き物?
誰でも使えるって奴かな? 想像通り残数4に減っている。
0になると使えなくなるって所だろう。
「さて……」
このパープルオウルの死骸はどうするべきか?
このまま放置するのも良いけど、脱出までどれだけの時間が掛るかわからないぞ?
……やるか?
ここで殺した獲物の血抜きとか解体を。
今まで碌にした事が無い事だけど、生き残るためにはやらなきゃいけないんだよな。
剣でパープルオウルの頭を……力を掛けて落として逆さ吊りにし、血を抜く。
後は、安全を確認できる所で、捌こう。
「うわ……剣が……」
血まみれになった剣を見て、血の気が引く。
リュックの中にある布で血糊を拭ってから近くに落ちてた枝と草でパープルオウルの足を結んで吊るす。
生き残る為とはいえ、こんな事をしなきゃいけないんだな……。
とにかく、スケイルシールドのお陰で運よくダメージを受けずに済んだ。
パープルオウルなら戦えるのもわかったし、やっていくしかない。
そのまま俺は辺りを探索しながら歩き続けた。
やがて、同様に迷宮内で道具を複数拾った。
『オウルフェザーブーツ』★★★ 付与効果、素早さ上昇
三匹目のパープルオウルがドロップした。
靴はリーゼが用意してくれたモノだったのだけど、試しに履き替える。
サイズは最初大きいかと思ったけど、問題ない。
デザインはフクロウの靴みたいなスリッパって感じ。
若干、体が軽くなった気がする。
この付与効果のおかげだろう。
次に遭遇したイエロースカイニシン。
大きさはタラくらいの大きなニシンだった。
「空飛ぶニシン……」
しかも黄色い。
魚が空を飛ぶとかどんだけ異世界なんだよ。
イエロースカイニシンは俺を見るなり矢の様に突撃してきた!
は、早い!
ゴン!
咄嗟に構えた盾に当たってイエロースカイニシンはポトリと地面に落ちた。
「……」
すごく間抜けだ。
何がしたいのだろうか。
盾に頭をぶつけて失神するニシン。
地味に防御力が高いのか白銀の剣で突くと硬かったのでエラに突き刺して仕留める。
そんな感じで数匹倒した末にドロップしたのが。
『ニシンスカイフォールド』★★★ 付与効果 防御力+
腰に付ける装備品だ。とりあえず付けている。
パープルオウルよりもイエロースカイニシンと言う空飛ぶ黄色いニシンの方が戦いやすい。
突進してきて、水鉄砲を吐いてくるけど、盾で耐えきれる範囲だった。
しかも何回か戦っている内に動きが遅くなっているように感じて手早く倒せた。
で、地面に落ちているのは……皿の破片?
尖っているから武器になりそう。他にも骨とか色々と落ちている。
多分、ゴミだ。
ただ、投擲武器として役に立ちそうだから持ってきた。
パープルオウルとかの魔物に接敵すると同時に投げつけてから戦闘に突入するようにしている。
で、落ちてる道具の中に武器を発見。
錆びたどうの剣だった。
『どうの剣』★★★ 付与効果 腐敗
持って行くかすごく悩んだ。
だけど剣くらいならどうにかなるかと、紐で縛って持ってきた。
約3時間の範囲での成果だ。
他にスクロールを数枚発見した。
こんな感じでLvもある程度上がっている。
現在のLvは9。
心なしか盾が軽く感じてきた。
これがLv補正なのかな?
というか深い階層にいるはずなのに思いのほか戦えている。
運が良いのか悪いのか。
うーむ……出口はどこにあるのだろうか?
進んでも進んでも先が見えない。
そう思いながら歩いていると――
「ゲコ!」
グリーンフロッグという名前の大きなカエルが出現した。
大きさは俺と同じくらい。かなりでかい。
Lv9で勝てるか? きっと、大丈夫だろう。
油断はしてはいけないけどさ。
俺は白銀の剣を見つめる。
心なしか刃こぼれしてきているような気がするけどさすがにそれは無いと信じたい。
そう思って、グリーンフロッグのジャンププレスを盾で受け止めて突き刺す……。
ズプ――
ボキッと剣からイヤな感覚がした。
「ゲコオオオ!」
悶絶するグリーンフロッグだが、致命傷を与えられていない。
見ると剣の剣身だけが突き刺さっている。
「リーゼが買ってくれた剣が!」




