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迷宮フィールド

 翌日。

 十分に休息を取ってから俺達は次のゲートに向けて歩きだした。

 遭遇する魔物にも大分慣れてきたと思う。

 職業コアのLvも十分に上がってきたから、心なしか戦闘がかなり楽だ。

 ちなみに重歩兵のコアのLvは21まで上昇している。

 なんとなくだけど俺自身のLvよりも上昇の幅が大きい様な……。


「ムウムウ」

『セイジが日に日に動きが早くなっていて、強くなって行ってるはずなのに全然追いつける気がしないってフェーリカが言ってるよ』

「そんな物かな? 多分、職業コアのお陰だと思うけどさ」

『前よりも随分と重装備になってきているのに、全然動きが重そうじゃないですものね』

『そうね。職業の力って馬鹿に出来ないみたいだし、私達も得られないか研究しないとね』


 リーゼとロザリーの会話に俺も頷かざるを得ない。

 確かに……強くなっている様な気がする。

 少なくとも初めて挑んだゲートの時よりも数倍は強くなった様な錯覚を覚える。

 見つかる装備が少々不安だけど、装備の重さも感じずに進めているし。


 なんて思いながら遭遇する魔物を仕留めていると……空にリング状の雲が浮かんでいるのに気づいた。

 なんだろう? さっきまではなかったのに。

 そう思っていると、フェーリカとゴジョも俺の視線に気づいて見上げる。


「ムウ!」

『セイジさん。フィールドチェンジの可能性があります。十分に備えてください』

「わかった」


 確かに、変化の兆しはフィールド変更の合図らしいし。

 事前に知る事が出来たなら良いか。


「スノーホワイトリトルデビルからユニーク装備が欲しかったかなー」


 コレクター魂が名残惜しく感じさせてしまう。

 予備の装備とか調達したかったけど……変化してしまうならしょうがない。

 そう思いながら立っていると、地平線の先から光がこちらに迫って来た。


「まあ……寒かったし、調度良いか」


 火山フィールドが来たら今度は暑すぎる事になりそう。風邪をひきかねないし……鍛冶が出来るかもしれないからと探索を引き延ばす事になるかもしれないな。

 なんて思いながら、フェーリカとゴジョと身を寄せ合ってフィールド変化を受け入れる。

 ザーッと音を建て、遭難した時の事を思いながら光に目を瞑り……目を開く。

 今度はどんなフィールドに出るか……そう思って辺りを見渡すと……石壁?


「今度はなんだ?」


 かなり薄暗くて、埃臭い。

 湿っぽいし……なんて言うか今までの環境とは異なる事を理解する。


「どんなフィールド?」

『迷宮系か洞窟系かもしれません。オイルタイマーの使用に制限が掛る可能性が高いので注意してください!』

「出発前に言っていたね。わかったよ」


 出発前にリーゼ達が俺に注意していた事だ。

 だから、覚悟は出来ている。

 まさかこんなに早くそんな事態に遭遇するなんて……運が悪いのか、それとも良いのか。


『天井が低いですね。これじゃあ偵察がやりにくいです』


 リーゼの使い魔を飛ばして調査するには、天井が少々低めなのは確かだなぁ。


『隠し通路とか有るかもしれないからこっちはやりがいがあるけどね』


 レイオンは黙ってマッピング用の用紙を出している。

 ああ、そう言う事もしてくれるわけ?

 本当至れり尽くせりだな。


『方角は分かるかもしれないけど、迷宮系となると遠回りしないといけない事もあるから注意してね』

「ああ」


 アナライズリングがしてくれるから大丈夫じゃないかと思うんだが……。

 そう思っているとマッピングしようとしている事にリーゼが説明してくれる。


『迷宮系のフィールドの場合、アナライズリングに障害を発生させる罠などがあったりします。その時にマッピング機能が一番に障害を受けやすいのでこちらが事前にしておきますね』


 なるほど、罠の警戒を強めるのか。

 というか……そんな事も起こる訳ね。

 リーゼ達のアシストがあって助かる。

 正直に言って、レイオンってフェーリカの合成を判別するタイマーで、今の所会話に入って来るしかないと思っていたけど、違ったんだね。

 まあ、リーゼの補佐をしてはいたけどさ。


『とにかく、十分に注意してくださいね』

「もちろん。だけど……リーゼらしくないね? 帰れそうなら帰るのも手とか言うかと思った」

『えーっと』


 あ、リーゼが若干恥ずかしそうにする様な声が聞こえる。

 どうしたんだろう?


『迷宮系はね。目的地である可能性が大きいのよ』


 ロザリーが補足する。


「そうなの?」


 俺達の目的は俺が元の世界に帰る為に資料の捜索だ。


『ええ、草原や森フィールドで古びた家の本棚とかにもあるかもしれないけど、迷宮や古城に該当する場合は図書室が狙い目になるわ』


 ああ、資料はそういう所に集まる訳ね。

 よくよく考えてみれば、地面に本が落ちてたりしたら何か嫌だ。


『確認しなきゃいけないけどね。何の迷宮なのかセイジ。確認をお願い』

「了解」


 俺はアナライズリングで現在、何のフィールドなのかを表示させる。


 ★★★の七級迷宮4階層フィールド


 やっぱり迷宮のフィールドっぽいなぁ。


『後は何の迷宮なのか分かれば更に良いんだけどね』

「迷宮にも違いがあるんだ?」

『ええ、地下迷宮なのか、それとも迷路なのか、果ては古城なのか……ホント迷宮でも色々と種類があるのよ』


 海や雪原も似た扱いだったみたいだしなぁ。

 多分、そう言った差があるんだろう。


『じゃあセイジさん、少し進んでみてください。何の……迷宮フィールドなのか判別できるかもしれないので』

「OK。じゃあ行こうか」

「ムウ」

「クア」


 持ってきた明かりを持って俺達は進む事にした。

 幸いな事に即座に魔物に遭遇するとかは無い。

 そもそも……油断している訳じゃないけど、低い階級だ。

 敵わない相手が出る可能性の方が低い。

 そう思いながら曲がり角を曲がった所で……リーゼ達が絶句した。


『これは――』

『なんと――』

『おおー』


 そう、曲がり角を曲がった先にあったのは……壁が本棚になっている通路だったのだ。

 ずーっと……それこそ、道を曲がる先まで本棚がある。

 本棚が無い壁は石壁で……何だろうか? ここは。


『迷宮図書館フィールドです! コレは運が良いですよ!』

『やったわね。滞在ギリギリまでここで資料を調べるべきね』

『★3の迷宮図書館フィールドでしょ? もしかしたら世紀の大発見な代物が収められているかもしれないよ!』

「つまりかなり良い場所って事だね?」

『はい! 私も当初このフィールドへの調査をしようと思っていたんです』

『とんだ棚から牡丹餅よ! セイジ、手頃な本棚から本を出してみなさいよ』

「え? うん」


 俺は本棚にある本を適当に手に取って見る。

 異世界の文字で書かれた物だ……読むのは出来そうにない。

 表紙は……やや擦り切れている様にも見えなくはない。

 試しに広げて文字を目で追ってみる。

 リーゼ達の授業で見た様な気がするなぁ。

 ロザリーの使い魔が俺の肩に止まって、開いたページをみる。


『これは……バーンフレイムの魔法理論の本ね……ってちょっと待って! そんな詠唱式があるって言うの!?』


 割と陽気なロザリーが何か凄く焦った表情で言ってる。

 きっと凄い事なんだろうなぁ。


『セイジ、もう少し前のページを開いてくれない?』

「うん」


 言われるまま、前のページへと戻す。


『えー……この書物の理論を覚えると、魔法にLvを付けて唱えられるみたいなんだけど……Lv6の魔法が使える様になるみたいね』

「スクロールで簡易的に使えるのがLv5だからもっと上の魔法な訳ね」

『凄いわね……とんだ世紀の大発見の資料よ。ただ……初心者がいきなり上級の魔法書を読むくらい難しい内容だけど』


 ダメじゃん。


『ただ、要点は勘さえあればどうにか覚えられそう。一発だけの必殺技になるけど、私は唱えられると思うわ』

『そんな無茶してどうするんです?』


 あ、リーゼがロザリーツッコミを入れている。

 そこはロマンなんだと思うけど。


『だけど世紀の大発見よ! 上手く広範囲殲滅魔法を習得すれば、怖いもの無しになるわ!』


 魔法使いが町一つ消し飛ばすアニメが昔あったなぁ。

 ドラゴンさえも仕留める驚異的な魔法って奴。

 それの再現をロザリーが出来る様になるのか。

 ちょっと怖いな。


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