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フナシャツ

『あ、セイジ、また反応。砂浜に埋まってるみたいよ』

「え?」


 そんな物までわかるってロザリーってかなり優秀なんだな。


『言われて見れば確かに反応がありますね。さすが魔法科ですね』

『魔力的反応が高い物しか探せないけどね。海じゃなくて遺跡とか迷宮フィールドに当たったらもっと助言出来ると思うわ』


 ロザリーが自慢げに答える。

 いや、既に十分助かっているけど。


『ロザリーなら隠し通路とかも見つけますもんね』

『うん』


 おお!

 そんな事まで出来るのか。

 まさにレーダーって感じだな。

 と、思いながらロザリーに言われた所を掘る。

 するとそこには若干錆びてるけど、鉄の剣が見つかった。


『鉄の剣』★★★ 付与効果 腐敗


 お? 切れ味だけならデコボコ合成剣よりも高いっぽい。

 かと言って強化分を加味すると若干低めかな?

 腐敗というのは敵に対してではなく、剣自体が錆びている事みたいだな。


「世界のゴミ箱ってのは分かるけど、毎回若干質に問題があるのが見つかるなぁ……」


 リーゼ達もそうなのだろうか?

 と思ってリーゼの使い魔に視線を合わせる。


『場合にもよります。質の良い物が見つかる事もありますよ』

『そうそう』


 レイオンも同意するけど、今の所人工物で質が良い物って言ったらスケイルシールドくらいだろうか?

 最初に見つけたのは運が良かったって事なのかもしれない。

 話によるとノレイトークが持っていた聖剣もゲートで見つかった物らしいので、そこはピンからキリまであるんだろう。


『まだまだあるみたいだから掘って』


 ロザリーに諭されて、言われた場所を掘る。

 すると今度はブロンズアーマー(下)という、下半身から下の防具が出てきた。

 上の方も見つかったけど、ベコベコだ。

 質も良いみたいだな。

 これって、上半身の状況から察するに所有者が死んだからここに来たとか何だろうか。

 そう考えると呪われていそうで装備するか躊躇う。


『ブロンズアーマー(下)』★★★ 付与効果 斬撃耐性


 随分と大量に見つかるなぁ。

 サイズが少し大きいけど、使えそうだ。

 ニシンフォールドと切り変えよう。

 ボーングリーブの方が若干上だから、残りはリュックに入れて持ちかえるか。


「よーし!」


 お? 心なしか軽いぞ!

 アーマーマスタリーの効果で補正が掛ったのかもしれない。

 あんまり目新しい物が見つからないかもしれないと思っていたけど、良い感じに収穫出来ている。


「じゃあ進もう」

『海水だから錆びさせない様に頑張ってくださいね』


 あ、そうだった。

 ブロンズアーマーに防水処理とかは……きっとされてないだろうなぁ。

 後で錆び落としをしないと大変そうだ。

 何て思いながら遠浅の海岸を進んで行った。


 途中、スペクトラムブルーココナッツと言う……擬態にしては不自然っぽいヤシの木の魔物と遭遇して仕留めた。

 根を張ってるから逃げられないし、思い切り近づいて合成剣で切ったらアッサリと倒せた。

 同時にドロップしたのが、ココナッツロッドと言う釣竿だ。

 これで釣りでもしろと言うのだろうか。


 後は、遭遇する魔物を屠って行っている。

 ゴーストのユニーク武具を見たいが中々落とさない。

 フナの方は……フナシャツという、フナの絵がプリントされたシャツを落とした。


『フナシャツ』★★★ 付与効果 火耐性(弱)


 防具性能が悲しいほどに低く、胸当ての下に一応着用してるけど、意味があるかよくわからない。

 リーゼ達曰く、きっとリーゼ達の世界の服よりも高性能だそうだ。

 難点と言えば柄が微妙な事だろうか。

 まあ海にはよく合うけどさ。


「しかし……随分と遠いな」


 オイルタイマーでゲートのある方角を確認すると、ある程度近づいて来ているが、見えない。

 見晴らしが良いのにも関わらずだ。

 もう6時間くらい探索しているだろうか。


『ふわぁ……』


 ロザリーがあくびをする声が聞こえてくる。

 目を閉じてリーゼ達の様子を見ると日が沈んでいる。

 出かけたのが昼を過ぎていたから当たり前か……。


「クア」


 ゴジョも若干疲れの色を見せているし、俺も少し疲れた。

 戦闘の連続だし、いい加減休んだ方が良いだろう。

 そんな時にちょうど良く、島に辿り着いた。

 ゴーストが居たので、速攻で仕留めてから振り返る。


「そろそろ休憩を取ろう」

「クア!」

「ムウ!」

『あ、休憩ですね』

「うん。リーゼ達も、何だかんだで気を張ってると思うから少し休んでよ。俺達はこのままここでキャンプをしようと思う」


 どこで休めば良いかと思ったけど、一旦ここで休んだ方が良いだろう。


「それともオイルタイマーで帰る?」


 それが一番安全だけど、あんまり収穫って程の物が無い。

 物資と言ったら海水と砂くらいかな?

 岩礁で大量に岩を持ちかえる手があるけどー……。


『セイジさんが決めて良いですよ』

「うーん……」


 日帰りダンジョンってのもどうかと思うし、ゴジョとフェーリカのLvが良い感じに上がってきている。

 重歩兵のLvも今確認した所だと、12まで上昇してて結構強さを実感しているから、せめて七級のボスに挑んでからでも良いかもしれない。


『まあ、キャンプで良いんじゃないかしら。普通の冒険者はそうやって潜っているんだし』

「やっぱり?」

『ゲートから直接潜って降りれる階層って普通はそこまで深くないの、もちろん深い所へ行けば行くほど、良い物が見つかるって法則もあるし、今の内にキャンプになれるべきだと思うわね』


 ロザリーの案も一理ある。

 階層が低い内に準備はしておいた方が良いか……。


『普通は、ですよ。セイジさんの場合は深い所に事故で落ちてしまいましたし、無い訳じゃないですよ』


 リーゼも念押しとばかりにロザリーの言葉に補足した。

 転送事故もあるから一概に言えないって事なんだろうなぁ。


『ちなみにこっちの法則だけど、三階から五階くらい一気に降りると休憩スペースみたいな空間に入れるのよ。そこが一番安全な場所なんだけどね』


 そんな法則まであるのか。

 魔物が何時襲ってくるか分からない状況を潜りぬけた冒険者が安心して休める空間って事なんだろう。

 そこで英気を養う。


「じゃあ長めの探索だけど、ロザリーの言ったその休憩スペースまで行くのを目標にしようか。それまでに荷物が一杯になったとか不測の事態があったら撤退するけどね」

『わかりました。ですが十分に注意してください』


 ぐううう……っとゴジョの方から音がした。

 お腹空いてるのか。

 というか、また一回り大きくなっている様な気がする。

 大きくなり過ぎて、風船みたいに突然爆発しないか心配だ。


「じゃあキャンプの練習って事でここで寝泊まりするから」

『セイジさんは初めてゲートに入った時にも野宿の経験はありますから、ゴジョを十分に見てて上げてくださいね』

「もちろん」


 リーゼの注意を聞いていると、フェーリカがてきぱきと背負っていたリュックからキャンプキットを取り出してテントを作る。

 おお、手慣れてるなぁ。


 後は、携帯用のランプに持ち込んだ魔結晶で明かりを付けて、ヤシの木でたき火を作って、倒した魔物、ヒヤシンスフナを捌いて、棒で刺して焼く。

 サバイバルのキャンプだけど、随分と余裕のある状況だ。

 目を閉じるとリーゼ達も各々、休みを取り始めている。

 食事をしたり、風呂に入ったり、寝る準備をしている感じだ。


 俺の方は日が落ちたりしないので違和感はあるけど、リーゼ側がとっぷりと夜が更けて来ている。

 最初にゲートに挑んだ時にも思ったけど、日が落ちないから時間の経過が麻痺するなぁ。


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