黄昏に舞い散る花びらの中を(2026.3.8配信)
空高く 駅のホームに
見送りにに来てくれた友は
ぎこちない夜間クラスの
優しさで無邪気に戯れあって
十人とほんの少しで
祝いあう卒業式は
ここまで生きてきた眼差しのまま
消えない傷もわずかな夢も
噛み締めて ただ埃にしていた
黄昏の同じホームで
母さんも旅立って行った
ちっぽけな僕と妹の
嗚咽を払い除けるように
あれ以来 背負い続ける
憧れも孤独でさえも
どの場所で誰といても
果てなく急かされたまま
いつでも叫びと
悔しさのなかにいた
僕は今 この街を出てゆく
卒業は ここからの旅立ちは
吹っ切れたように桜並木を
吹き荒ぶ春風のように
あの人と僕は違うから
それぞれにむかう輝きのなかで
いつまでも手を振り続けるだろ
でもね だけど捨て去ることなんてできやしない
きっと皆 引きずって歩いていくんだ
黄昏に舞い散る花びらの中を
色褪せた六畳一間
板張りの台所に越した
猛暑が止みそうにない
夏の夜はだれも無口になり
遅すぎる夕食を終え
泥のように父は眠り
妹の食器を洗う音のなか
咽び泣くように 開け放った
窓の向こうへと口笛を吹いていた
アパートの鉄の階段を
誰かが登って来る音が
部屋の前を横切るたび
ひとり眠りにつけない夜は
向かいの店 ケバく光ってる
呼び込みのネオンの下で
母親気取りのお姉さんたちが
男について酒と
タバコの臭いなか
語ってくれていた
僕は今 この街を出てゆく
卒業は ここからの旅立は
いつのまにか追い越してしまった
父の背の高さのように
繰り返す季節の狭間で
気づかないうちに手にしてしまった
遠くへの新しい憧れだろう
求めてばかりだった日々は今も
この胸を黄昏に染めているのに
デッキに立つのは強がりなんかじゃない
僕は今 この街を出てゆく
卒業は ここからの旅立ちは
吹っ切れたように桜並木を
吹き荒ぶ春風のように
閉まりゆく扉のなかから
それぞれにむかう輝きのなかで
いつまでも手を振り続けていた
透明な無数の約束と青い誓い
僕はみな引きずって歩いて行こう
黄昏に舞い散る花びらの中を
花びらの中を
花びらの中を
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アーティスト名【HIDEHIKO HANADA】もしくは【(曲名)】で検索していただきましたら、表示されます。
ぜひ小説【トゥルーカラーズ=僕らの家族スタイル】シリーズとあわせてお楽しみ頂きましたらと思います。
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