エピローグ
最終回です。
この回だけテオ視点となります。
あれから何年の時が経ったのか。数えることも忘れてしまった。
数えていたのはいつまでだったかな……。
オババが生きていた時は、一緒にリステリアのお墓参りとかも行って、そのたびに「もう何年経ったな……」なんて話もしていたんだけど。
そのオババも眠るように亡くなってからもう……ええと、100年?200年?一人だと年なんて数えなくなってわかんなくなる。
あ、一人とか言うと妖精たちが怒る。
「ぼくらいるのにー」
「ておといっしょにいるのにー」
「ひとりとかいうなバカておーっ!」
そうやっていてくれるから、俺は一人でも寂しくないな。いや、一人じゃないんだった。妖精たち、五月蠅いくらいにいつも俺の周りにいるし。
そいつらも、リンゴの精だから、元はリステリアが俺にくれたリンゴから生まれた存在だ。
だから、先に亡くなってしまうリステリアが俺に残してくれた存在……なんて、勝手に思ってるんだけど。自分の子どもに対する感情とはまた別。
そう言えば俺とリステリアの子どもの子どもの孫の孫の孫の孫……なんてもう、血縁関係分からないくらいの子孫はどうしているんだろうな?今度、気が向いたら探してみようかな?それもいいかもな……なんて。
ふっと笑って、俺はジャムをかき回す手を止めた。
スプーンで掬って、少々味見。うん、美味しい。リステリアが作ってくれたのと同じ味。
冷めるまでちょっと休憩するかな。とりあえず、火を止めて、伸びを一つする。
窓から見える夜空は今日も星が瞬いている。満天の星、流星も見える。
星を見るたびに思い出す。
「ねえ、星の光ってね、今光っているのが見えているのではなくて、すごおおおおく昔の光がね、何万年もかけてようやくここまで届いているものなのですって!」
キラキラと輝くリステリアの瞳。その瞳を見るのが俺は好きだ。
「見えているのは……、数十年前、数百年前、数千年前、数万年前、あるいはもっと過去の姿なのかもしれないわ」
リステリアがいくつかの星を指さしする。俺は、その指を追って、夜空を見る。
「だけど、今、それを見ているわたしたちは……、無くなった星の光でも、それを見て綺麗だと感動する。あのね、わたしはね……」
夜空を指していた手を下げて、リステリアは俺の手を握ってきた。……まるで祈るように。
「あの星々みたいに……、わたしは、貴方の心を、いつまでもいつまでも照らしたい。それがわたしの願いなの」
何度も言って聞かせてくれたリステリアの言葉。
最初に出会って、ジャムを貰って。リンゴの木を買ってくれて、それを俺が育てて。
ドラゴンの姿でリステリアをオババの森まで連れてきて、それからリステリアの領地にため池を作った。
結婚式のリステリアが綺麗で、俺はその綺麗さを言葉では伝えられなくて、とにかく感動してリステリアを抱きしめるしか出来なくて。リステリアはリンゴみたいに顔を真っ赤にしてた。すんごく可愛かった。
領民のみんなも俺がドラゴンになって、リステリアを背に乗せて空飛んでいる時は俺に手を振ってくれたりして。
子どもたちが生まれて育って、孫が生まれてまたそいつらが育って大きくなって……。
たくさんの幸せを貰った。
一人の残される悲しみよりも、喜びの方が多い。
リステリアと一緒に過ごした時間は、宝石なんかよりキラキラ輝く。今も俺の心の中で。
時折、寂しくなる時も確かにあるけれど。だけど、何百年という時間が経っても、色褪せることなく胸の中に在る。
きっと俺が死ぬまで、この気持ちが、消えることなんてないだろう。
いつまでも、リステリアを感じている。死に別れても、離れても。リステリアの光は俺に届いている。
まるで、この夜空の星のように。
「わたしはあの星々みたいに……、死んだ後も、ずっとテオに光を届けるわ」
耳に聞こえてくるリステリアの声
「届いてるよリステリア。今も、これからもずっとね」
俺の返事も夜の中に溶けて消える。……大好きだよ、リステリア。いつか、俺も死んで、生まれ変わって……。そうして、また新しい俺と新しいリステリアで。出会って、恋をしてそして。
永遠に、それを繰り返したい。
大好きだよリステリア。
俺は星に呼びかける。何時までも、ずっと、ずっと。
- 終 -
最後までお読みくださいましてありがとうございました!
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数多くある物語の中から、藍銅 紅の物語を読んで下さってありがとう!
このお話はこれで完結ですが、また別のお話でお会い出来たら嬉しいです。
いつかまたどこかでお会い出来れば幸いです。
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新連載始めました。(2022年10月16日追記)
「転生前から好きだった。だから愛妾になれ」と国王陛下から命じられた転生伯爵令嬢の話
https://ncode.syosetu.com/n8580hw/
お読みいただけると幸いです☆




