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【完結】婚約破棄された被災令嬢はドラゴンに永遠の愛を誓う  作者: 藍銅 紅(らんどう こう)@『前向き令嬢』2巻 電子書籍2月配信


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手を繋ぐ

満天の星の海から、ドラゴンのテオが降りてくる。すっとひと筋、落ちる流星みたいに。


わたしは思い切り手を伸ばす。降ってくる星を掴むみたいに。


くるりと、体の裏と表が変わるみたいに人間の形になったテオを抱きとめる。


「大好きよ、テオ」


お帰りとかありがとうとか、ラーカス様をどこまで送り届けたのとか。

側にオババ様がいらっしゃることまで気にもせずに。


わたしは胸の中の想いを吐き出した。


「わたしはテオが好き。一生一緒に居たいってわたしも思う」

「リステリア……」


いきなり言い出した私に、テオは驚きながら、それでも優しい目でわたしを見つめてくれた。


「だけど、わたしは人間だから。ドラゴンのテオとは一生の長さが違う。わたしはどうしたって先に死ぬ。テオを残して。……テオは、それでも、いいの?わたしはテオと居て、幸せな一生を送ることが出来る。でもテオは……」

「うん。リステリアが居なくなった後、俺は長い時を一人で生きるだろうね。実際にそうして生きてきたオババを、この目で見てきているから、それがどんなものか、理解できる」


テオがオババ様へと顔を向ける。


「よかった、起きたんだねオババ」


「ああ。お前の吠える声が大きくて目が覚めちまったよ」

「あはは。ごめんごめん」

「ま、いいさ。明日になったら黒の森に帰るから、背に乗せて飛んでおくれよ」


オババ様の「帰る」との言葉に、テオの「りょーかい」という軽い声と、わたしの「えっ!」という驚きが重なった。


「このままここに居たら、リステリアの力になりたくなるだろうからね。魔女はそんなに人間と交わらないもんなんだよ」


引き留めたいとは思う。だけど、それはオババ様の迷惑になるかもしれない。わたしは何も言えずにただ、泣く一歩前のような目で、オババ様を見る。

オババ様はそんなわたしの頭をぽんぽんと叩く。


「べつに今生の別れってもんじゃないんだし。何時でも森に遊びに来な。テオの背に乗って」

「……よろしいのですか?」

「ああ。テオの嫁ならあたしの孫も同然だ」


テオの嫁発言にわたしの顔が一気に赤くなる。


「その発言はちょっと気が早いと……。まだ問題が山のように……、それにテオの気持ちも……」


ごにょごにょとわたしは口の中で言う。


「ま、その辺の話はテオとリステリア、二人でしな。夜はまだ始まったばかり。朝まで時間があるさね。じゃ、あたしは先に休ませてもらうよ。まだすこし体がだるいからね」


ひらひらと手を振って、オババ様は部屋にと歩いて行ってしまった。


残されたわたしたち。しばらくの間、ゆっくりと歩いていくオババ様の背を見送って、それから、テオに向き直る。


「あの、テオ」

「リステリア、その」


二人で同時に呼びかけ合って、そして、二人同時に黙り込む。


「わたしね」

「えっと俺は」


また、同じタイミングで話しだしてしまった。き、気が合うのかなっ!?それともペースとか喋るリズムとかが似ているのかな?それってもしかして、わたしとテオの相性が良いってことなのかしら……、なんて考えてしまって、またもやぶわっと顔が赤くなった。


い、いやいやいやいや、落ち着いてわたし。


そういうことを考えるのは、後っ!今、わたしがテオと話さなくてはならないことは別の事よっ!


息を吸う。思いっきり。そして吐く。すうはあすうはあと、胸を押さえながら、いきなり深呼吸をしだしたわたしに、テオはすっと右の手を差し出した。


んんんんん?この手は何?えっと、触れていいってこと……?


じーっと見ていたら、テオがさっとわたしの手を掴んでくれた。


「ちょっと、歩きながら話そうか」

「さ、さんぽ……?」

「せっかく星、綺麗だから。眺めながら話そうよ」

「じゃ、じゃあ……あっちの方にあるフラワーガーデン……って、今、花は咲いていないけど……。でもガゼボとか、あるから、す、座って眺めるのはどうかしら。」


庭はジャガイモ畑にしてしまったから、ロマンのかけらもないけれど、星があるからいいわよね。


ゆっくりと歩き出すテオ。わたしも促されるまま、歩き出した。


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