表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】婚約破棄された被災令嬢はドラゴンに永遠の愛を誓う  作者: 藍銅 紅(らんどう こう)@『前向き令嬢と二度目の恋』書籍発売中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/32

願い



オババ様の話を聞く前だったら。

もしかしたらわたしは……テオに好きだと告げて、テオと生きて……わたしが死ぬ前に「生まれ変わって、またテオに恋をする」とか、ロマンチックなことを言ったかもしれない。


でも、生まれ変わったとしても、わたしはわたしじゃない。

魂が同じでも、記憶はない。


わたしはずっと、考えていた。


オババ様はそんなわたしに、それ以上何も言わずに、ただゆっくりとスープをすすっていた。


剥いた果物も、食べて。使った皿を厨房の隅で、さっと水で洗って。


それから、ゆっくりとオババ様はわたしに言った。


「そろそろテオも帰ってくる頃かね。出迎えるかい?」


こくん、と頷いて、わたしはオババ様と一緒に庭に出た。






夜空一面に光輝く星たち。まるでカスミソウみたいな小さくてたくさんある花が、夜空に咲いているみたい。


ぼんやりと眺めていたら、すーっとひと筋、星が流れた。また一つ。そしてまた一つ。


「おや、今日は流星群の日だったかい」


オババ様も、夜空を見上げている。


本当かどうかは知らないけれど、流星って、彗星が崩壊して散らばったもの……と、伝えられている。


つまりは壊れた星。


だけど、美しい流れ。


今、わたしたちの領土には明かりが少ないから、いつもより明るく綺麗に見えているのね。


また、星がひとつ流れた。


「流れ星に願いをかけると叶うって聞いたことあるかい?」

「ええ……。小さい頃、母や兄と一緒に願いをかけたことがあります」


幼いころの記憶。

流れ星がすっと流れて消えるまで、三回願いを言うと叶う。

がんばって早口で言ってみたけど、三回なんて言えなかった。

お兄様は「金金金。よし言えたっ!」なんて言って、お母様に呆れられていたけれど。

今、思い出すと、くすりと笑ってしまうような、過去。


「叶うか叶わないかはともかく。星に祈るような願いを、リステリア、お前は持っているのかい?」


魔女の、瞳だった。

深淵を覗くような。

吸い込まれていきそうな。


もしも……もしも、今。

わたしがテオと同じくらい長く生きたいとか願ってみたら。


オババ様は叶えてしまうのだろうか?

それとも……。


はくり、と。わたしの口が動いた。だけど、言葉は発しない。出来なかった。


千年生きる。それはどんなことなのだろう?

分からない。

テオと一緒に生きるのは素晴らしいと思う。嬉しい。正直、そうしたいとは思う。


だけど……。


それを願ったところで、それを叶えるほどの代償は、わたしには払えない。


幼いころに、テオにリンゴの木をあげた。

それで、テオが今、わたしに色々と手を貸してくれて、領地は復興に向かうことが出来た。


テオやオババ様に、わたしは何も返していない。


していただいたことを、感謝しているだけ。


何も返せないのに、願いだけ、求めるのはおかしいと思う。


それにオババ様は魔法を使い過ぎて倒れて……今、ようやく起きられたところ。


千年生きるようにして欲しいなんて願い、どれだけ大きな魔法を使わないといけないのだろうか?わたしに魔法をかけてくれる事によって、オババ様がまたお倒れになったり、死んでしまったりしたら。


わたしはぶるぶると頭を横に振った。


そんな願い、するべきものじゃない。

してはいけないというよりも……したくない。


オババ様に願うのではなく、かなわないかもしれないけど、星に託すようなわたしの願いは……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ