山を崩す
オババ様の予想通り、嵐は三日三晩続き、ようやく止んだ。だけどオババ様はまだ目を覚まさない。
大丈夫、なのだろうか?
「んー、大丈夫、だとは思うけど。オババももう年だから。多分回復がすんごくゆっくり何だよ。人間と違ってオババは竜族の魔女だし。一・二か月くらい寝てるかもね」
オババ様が目覚めるまでの間、とりあえず我が家に滞在するだけで「ただ飯喰らい」になるのは嫌だからと、テオはわたしの領地改造に手を貸してくれることになった。
いえ、今までしてくれたことで、もう一生かけても返しきれないほどの恩を受けたとわたしは思っているんだけどね……。
でも、テオを一緒に領地を改造するのはちょっと楽しそうと思ってしまった。
オババ様がいつ起きるのか、どうなのかと気をもんでいるだけよりはいいだろうと思って、テオによろしくお願いしますと頼んだ。もちろんお父様の許可は取ったし、領民達にも通達済み。
そうして、領民一丸となって、土地改造がスタートした。
ため池などは作ったけれど、やはり、水というものは低いところに流れていくのだ。
だから、ナーハン河を一番低いところにして、その左右の河川敷は広く開ける。そして河川敷の周りに土嚢や土を盛っていき、ナーハン川の水位より、高い土地に町や畑を形成する。せっかくというべきか、テオやオババ様のおかげで前回までの水害で出た崩れた家屋や放置された木々なども全て綺麗に流されて、今、領地は土以外何もない真っ新な、広大な土地だけが広がっているので、お父様は災害に強い土地作りを根本からしてしまおうと考えたのだ。水路は低地に。畑や住居は少し小高い丘の上に。
普通に考えたら何十年もかかる計画。
だけど、テオがあっさり言うのだ。
「あ、じゃあ、崩してもいい山、どこか指定してくれる?山一つ崩してそれで出た土とか岩とか使えばいいだろ?ナーハン河沿いの……河川敷にする部分を空けて、その両側に堤防的な感じで一段高い土地作るよ。木材は加工して家とか作れるだろうし」
……流石ドラゴン、というべきなのか。何十年かかるかわからない土地改造。
なのにテオはあっさりと仕上げてしまった。
「すごい……」
どかーんと山を崩して、それを運んで。河川敷に沿って、岩を並べて、樹木も配列して、土を運んで……。まるで魔法だ。いえ、ドラゴンによる力業、よね……。
もう何というか、わたしはあんぐりと口を開けてみているしかなかった。




