14
アレクシアはホッと胸を撫で下ろすと、リーゼロットを横目で盗み見る。
これは、バレてないの?バレてるの?どっちなの⁉︎
先程顔を上げた時、確り彼女と目が合った。だが、リーゼロットは特別何も言わなかった……。
「シアさんは、読書はお好きでしょう」
いや、完全にバレている。笑顔でリーゼロットにそう言われて、アレクシアの笑顔は引き攣った。
「あら、そんな事私だって知っていますわ。シアは、落ちている本を拾ってしまうくらい本が大好きですものね?」
話に割って入ってきたモニカに、更に笑顔は引き攣る。
「……」
アレクシアは、自分の趣味をモニカに話していない筈だが……リーゼロットは兎も角、何故彼女がそんな事を知っているのか……。
落ちている本を拾う……まさか⁉︎
「も、申し訳ございません‼︎あの廊下に落ちていた本はもしかして、モニカ様の物でしたか⁉︎」
すっかり持ち主に返しそびれていた本。返さなくては……と思いつつ、返す素振りすらアレクシアはしなかった。あれからやはり、本が落ちている事はなくあの2冊を手放してしまったらまた暫く本が手元にない状態になる……そう思うと持ち主を探す気にはなれなかった。
「構わないわ、シア。もし気に入ってくれたなら、あの2冊は貴女に差し上げるわ」
「そんな、恐れ多いです……」
いざ貰えるとなると、申し訳なさでいっぱいになってしまう。それに……内容が内容なので、自分の所有物になると思うと複雑な心境になる。
「遠慮しないでいいのよ。それより……その、やっぱりシアは、あの本の中の王子様みたいな方が好みなの?結婚したいとか、思ったりする?」
「え……」
意外な言葉に思わず声が洩れてしまい、慌ててアレクシアは口に手を当てた。
心なしか、こちらを見るモニカの目は期待に満ち溢れている様に感じる。
「……」
好み……じゃない。確かに姫を救い出した王子は格好良く、素敵だとは思った。幼い頃のアレクシアなら、理想の王子様だと言っただろう。だが今は……違う。
この国の王太子もそうだが、輝いている人は苦手だ。アレクシアには、眩し過ぎる。だから王太子妃になりたいなんて、間違っても思わない。それにあの王太子の隣に立つ女性は、同じ様に輝いている人が相応しい。あの本の王子様に対しても同様だ。
私は……お姫様になんてなれない。
「シア?」
黙り込み俯いてしまったアレクシアを、モニカは心配そうに覗き込む。
「いいえ、まるで……私には、眩し過ぎます。不釣り合いで、私などがその様に考えるだけでみっともない事です」
その言葉にモニカも、リーゼロットも顔を顰めた。




