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異世界に戻った異世界賢者の備忘録  作者: 夏
1章 転生と継承
8/98

4-2

短いです

次が少し長いやも…


翌日迎えの馬車がエルナの家に到着していた。

エルナが二階にいた俺に声をかけてくる。

「用意はできてるか、リュウ」

俺は呼ばれたので階段を降りる。

「大丈夫だ」

「おお、似合ってるぞ。それか、噂の大賢者装備とやらは」

「ああ、この姿は初めてだったか」

エルナは頷く。

「しかし、随分と見たことのないような素材で作られていそうな装備ばっかりだな」

「はは、多分今では伝説になってる素材だと思う」

そんな俺の装備はといえば、銀と金で細工されたサークレット。黒と金色の鱗状のローブ。その下は白地と金刺繍で彩られた衣。漆黒の革靴だ。

耳にはリング状のピアスと首元には蒼い宝玉のついた十字ネックレス。右手首には太めの装飾されたブレスレットがはまっていた。ちょうど隠さなければいけない印の上にぴったりだった。

「体に合わせて伸縮自在だからいつでも着れたんだが、こんな装備目立つ」

「はは、違いないな。しかしただの服じゃないだろ?」

おれは頷く。

「上から順に不死鳥羽のサークレット。黒龍のローブ。聖者の衣。次元獣の革靴。アクセは魔封じのピアス。身代わりの護符。そしてソウルオブサマサだな」

「見事に伝説級の装備だらけだな」

おれは照れ隠しに頭を掻いた。

「賢者として実用的になってる。各種状態異常は効かないことはもちろんブレスや魔法ダメージもかなり軽減される。そのうえ魔法増幅効果と魔力消費軽減もあるから賢者装備としては最強だろう」

「違いない。それだけの付与があればな」

「行こう」

エルナは頷く。彼女の服装は近衛隊の公式の式服だった。騎士らしく赤と金刺繍の施された騎士らしい装備だ。式典に出られる家族としての同行になる。


馬車に揺られ城に向かう。

馬車中で今日と明日の予定をエルナから聞かされていた。


今日は式典当日ということもあり王都に住む貴族たちが見守る中謁見室で授与される。

進行の打ち合わせ等をした後、実際に午後に式典がある。

進行の打ち合わせは午前中に完了しており午後になって今は式典のため城に登城中だ。

式典の後は城内にある貴賓室にて待機し広い食堂にて立食形式の夕食会がふるまわれる。

その後は任意だが王家主催のダンスパーティがある。任意なので深夜日付が変わるころお開きだが主役でも早期退席は可能だ。

最初に王からの声が始まりの合図。

王族もだいたい二時間ほどで退席するのが慣例らしい。

ダンスパーティという名の出会いの場であり社交場だ。気にいる相手がいればともに退席していくので三時間ほどすると終わることが多いのだ。区切りとして四時間の日付までとされている。

ただ、それは公式の授与の場合だ。

今回は簡易版ということもあり立食式の夕食会はあるもののダンスパーディは開かれない。

その上急ということもあり授与に出席するのは公爵と侯爵の貴族もしくはその代理人のみ。数も圧倒的に少ないのがありがたいと思う。

それでも今日は貴賓室に宿泊ということに変わりはない。

宿泊後は自由だ。

翌日、朝食は王族とともにとることになるがその後は自由。城から出ることもできる。

 マナーやダンスなど一通りの貴族としての素養と教養はたたきこまれているがめんどうくさい。早く終ってほしいものだ。



無事に式典も終わり胸には騎士爵の証をつけて夕食会の途中だ。

服はなぜか動きやすいものに変えてほしいといわれもう一つの覇王用の服に変える羽目になった。

この服、好きではない。賢者用の白と黒と金のローブ服と違い覇王用は黒と赤の布地に銀で縁取りされ金で大きく刺繍された漆黒のマントが目立ち騎士の姿そのものだからだ。もちろん実用的でもある。


立食形式とはいえさすがに王家主催の夕食会。上等な食事が並んでいた。料理は部屋の大きさに反してひとまとめに置かれていた。グラステーブルも壁際や柱周辺に配置されていて大広間はかなり広くひらけていた。

ここでダンスでもおどれそうなほどである。

食事もそこそこに公爵や侯爵の貴族方たちに挨拶をしていると時間もすぐだった。

一通り挨拶を終え一息ついているとクリスティーナ姫が豪華なドレスを着飾りやってきた。

「楽しんでいらっしゃるかしら?」

「…楽しむゆとりはないな。気疲れしているよ」

「素敵な衣装でお似合いだけど随分と高級ね」

一目で気が付いたらしい。この服装も伝説級で埋め尽くされている。

「高級どころじゃない装備だからな。派手なんで嫌いなんだよこの服は」

「そうなの?」

「堅苦しいから早く終ってほしいな」

愚痴交じりにため息を一つつくとそんな俺を見てクリスは軽く笑った。

「あなたらしいわ」

「言ってろ」

「ふふ。ではご要望通り終わりに入りましょうか」

「終わり?」

「ええ。最後に主役の貴方と私がダンスを一曲踊って夕食会は終わるの」

「それでか。動きやすい服に着替えろと言われたのは」

「ふふ、そういうこと」

クリスはスカートのすこし持ち上げお辞儀をした。

「一曲お願いいたしますわ。騎士様」

「喜んでお相手いたしましょうクリスティーナ殿下」

おれは胸に片手を当て軽くお辞儀をして手のひらを殿下に向けた。

そっと手を重ねてくる。

部屋の中央に歩を進めると優雅な音楽が流れてきた。

クリスの肩と腰に手を添えダンスを始めた。

周囲は静かに見守っていた。

ダンスがおわり二人してお辞儀をして周囲から拍手が鳴り響いた。

そんな中国王が声を周囲にかける。

「今宵は素晴らしい夜を感謝しよう。今日は皆も時間を割いてくれたことに感謝する」

国王はクリスを伴い部屋を後にしていった。

 これで閉会か。疲れたな。さっさと戻るか


俺も踵を返し部屋を後にした。



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