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異世界に戻った異世界賢者の備忘録  作者: 夏
1章 転生と継承
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1-2


というわけで転生です


 赤ん坊からの再スタートかと思っていたんだけど違ったな

というのも今俺は十歳でようやく前世の記憶が蘇り覚醒したというような感じだ。

姿はといえば前世の工藤隆の姿とよく似ていた。

黒髪に東洋系の顔立ち、目の色は深い青、東洋系でもおそらく美形の部類に入るだろう顔は整っていた。

今の俺は辺境にある地方貴族の次男坊という立場。十五になれば成人とされ後継ぎでない次男坊は領地から出され騎士や魔導士や臣として国に仕えるか冒険者となって自由に生業にするかの二択だ。

ちなみに成人するとミドルネームを付けられる。

領地を持っていれば領地名が付くが基本自由に付けられる。

次男坊以降は任意だという。つけるのもつけないのも自由というわけだ。

俺としては工藤を入れたいと思っている。


この世界の人は生まれながらに職業を一つだけ生まれ持つらしい。

生きていくうちにその職業が努力と修練と勉学において増えていくこともあるらしい。

そんな俺は早々に二つ持つというのはチートなことだと実感する。

なぜか。それは二つある職業の一つは王者。

これはかなりレア業らしい。名からそうだろうなあと思っていたから秘密にしている。

神も言っていたしな、王者の職業は基本隠匿されると。鑑定スキルを使われると表示される。

で、基本職業が賢者だがこれはこれでレア業でもあるが王者ほどではないにしろ上級職というやつで生まれながらに持てる職業ではないらしい。

この世界はいわゆるステータスという自己分析窓がある。

だけどこのステータス窓、実は他者にも見られるのだが基本覗き見禁止だ。まるでゲームだな。

意識するだけで窓は出る。ほかにも習得特技や習得呪文も見れる。

そう呪文。この世界は魔法が使える。これも神から聞いていた。

基本は書物で呪文を覚えイメージで発動する。仕組みは世界に魔素が漂っていてその魔素から呪文が作られる。

この魔素・いわゆる生命力というもので生命に等しく内包されてあるのだがこの魔素は年々減少しているという。

おそらくこの魔素を循環させる機能の鍵が俺なのだという。

循環しない魔素は害になるらしくよどんだ魔素は魔物を作り出す。魔物は魔素を汚していく。悪循環だ。

意外なことに魔素を魔法で使っても自浄作用になるとのこと。これは世界の常識らしい。

そんな俺のステータスはといえば


リュウ=マリノス

職業=賢者・王者

HP=100

MP=100

力=100

素早さ=50

集中=200

魔力=100

特技〈抜刀術・剣術・体術・全武具習得・無詠唱・魔術付与・魔道具作成=MAX〉

呪文〈水・炎・熱・光・闇・土・風・空間・聖・魔・回復=全最上級習得済〉

スキル〈鑑定・図鑑・言語自動翻訳・速読・暗記・道具収納EX・装備自動変換・特技呪文補助機能・魔力消費最適化・即時自動習得・浄化・完全防御〉

固有スキル〈覇王の末裔・管理者の福音・管理者の祝福・覇王の結晶・王者の証(現在使用不可)叡智の結晶・覇王の覇道記(現在使用不可)・叡智の魔術記(現在使用不可)〉


こんな感じだ。まさにチート級スキルだらけ。

道具収納の一覧を見ると我が愛刀修羅がある。

ほかにも武器が入っていた。剣や弓と槍、短剣と杖、そして指輪だった。

その武器は杖以外の名が覇王〜と付いていた。おそらくは前世の覇王時代の武器と思われた。

杖は叡智の魔導という。指輪が不思議だった。イヴの指輪という。イヴといえば神の名か。

イヴの指輪を鑑定したらトンデモ指輪ということが発覚。

イヴの指輪

創造神イヴの愛と力を結晶化され創造神イヴとの通話を可能にし、あらゆる異常を防ぎ健全なる状態に保全する機能を持つ破壊不可・譲渡不可

 愛って…

俺は驚きよりも呆れたというより納得していた。

ほかの武器も状態保全と譲渡不可が付いていた。

愛刀修羅には状態保全と福音の付与及び強化がある。

状態保全とはいわゆる刃こぼれせず自動修復機能がある。つまり折れて粉々に破壊されても元に戻るということ。素晴らしい機能だ。

後で使ってみることにしようと思う。スキルに全武具習得があるから使えるだろうと判断した。

固有スキルを確認すると覇王の末裔の中に全武具習得特技があった。

他に鑑定・図鑑・道具収納がここに入る。


覇王の結晶には装備自動変換と体術、そして武具特技のすべてがあった。

体術と聞こえはいいがこれもチートだった。体術の中に完全防御があるのだ。つまり勝手に体が防御行動を取るということ。回避もしかり。


管理者の福音には回復呪文と浄化スキルと自動浄化スキルもあった。ちなみにこの二つのスキルは常時作用である。これが魔素浄化だろう。


管理者の祝福これが一番のチートだろう。

スキル内に転生者の恩恵がある。記憶経験自動保全と言語自動翻訳、所持移行保全というものだ。

覇王系の武器と杖を持っていた理由、前世の記憶があり習得していた事全て使える理由がここにある。

俺の記憶と特技、この世界に居た頃の前世の特技呪文三つ分の人生がここに集約されている。


叡智の結晶を見ると呪文系が集約されているような感じで、無詠唱・速読・暗記・取得呪文のすべてと魔術付与・魔道具作成がある。それと魔力消費最適化、即時自動習得と特技呪文補助機能というものも。

魔力最適化とはつまり消費魔力を極限に減らすものだ。使えるなぁ。

即時自動習得ってことは見ただけでいろいろ習得できるってことだ。チートだ…。

特技呪文補助機能が気になった。見ると便利機能で図鑑と連動していてその場に最適な呪文等を提案するらしい。俺にはありがたい機能なのでオンにしておく。


自己分析もおわったので早速鍛錬だ。

と、いうのも今の自分は平均的な十歳の体格とステータスなのでこれからを思うと鍛錬して能力を伸ばすべきと判断したのだ。

まぁ平均的な十歳といえないかもしれないがそれでも鍛錬だ。



翌日裏手にある雑木林にやってきた俺は少し開けた場所を見つけて愛刀修羅を出す。

周囲には空間魔法の一つ防御結界を張る。これで周囲は安全で思う存分鍛錬できる。

 懐かしい刀の感触。確かめるように無心に振るか

感覚を取り戻すように無心になった。

集中していたのである。抜刀術は集中力もいるからな。

しばらく無心で振っていた俺は近寄ってくる人に気が付かなかった。

その人物は俺の繰り出す太刀筋に驚いていた。

当たり前である。およそ十歳の繰り出す太刀筋ではなかったからだ。

俺はふと太刀筋に魔法を乗せればどうなるのか気になった。

無詠唱と魔術付与のスキルだ。

思い立ったら吉日というわけでさっそく繰り出してみることにした。


いろいろ試したら相性がよかったのは炎と風だった。他は微妙で最悪だったのは土だった。

そこまで確認して一息つくと結界の外に人影を確認した。

見られていたことにちょっと驚いた。

空間魔法の一つで結界を解くと荒れてしまった周囲の時間を巻き戻して解除される。

そこには見知った女性が立っていた。

「エルナ姉さん。いつ帰ってたの?」

そう、この女性は俺の実の姉だ。俺よりも七歳上に当たる。

俺とよく似た黒髪の青い目でモデル並みに身長があり見目も俺と同じで麗しい美女の部類に入る。見た目はとても美女だが負けん気が強い。

二年前十五になり成人してその職業からこの国ヴェリアス王国の騎士として士官する道を選んだ。

姉の職業は騎士だ。俺と同じで覇王の末裔スキルがある。

騎士職と覇王の末裔スキルはかなり相性がいい。国に仕官して二年たつがこんな辺境にまでそれなりに名が聞こえてくる。

そして数少ない俺の全ステータスを知る人物だ。

そう王者の職を知っているのだ。なぜかといえば簡単。鑑定スキルで見られたからだ。

まだ自分が幼く窓を出せない時期に鑑定スキルを使い自分の職業を調べるために使われたときに発覚した職業王者。当時両親たちとかなり慌てたという。無理のない話だ。ほぼ未知の職業だったから。

その時に俺が転生者というのも知られている。

だが実感はないと言っていた。

当たり前である。転生者として覚醒したのがつい最近だからだ。それまではどこにでもいるただの少年だ。

俺の声に気を取り戻したのか寄ってきた。

「お前いつの間にそんなに技量をあげた?」

そんな姉に苦笑を浮かべた。

「最近だよ。最近やっと記憶が全て覚醒してきたんでね。今日が初試しだ」

「そ、そうか…」

「驚かせてしまったみたいだな。すまない姉さん」

「…いや、気にするな。だが、母さん達には報告したのか?」

「いや、自己分析が先と判断してまだ報告までは…」

「そうか、とりあえず村に戻るぞ。いいな、リュウ」

うなずく俺をみて姉さんは俺と共に村に引き返した。

「今日村に帰ってきてお前を驚かそうとしたのに驚かされたのは自分だったな」

姉は苦笑交じりで呟いたその言葉に笑ってごまかすしかなかった俺だった。



村に帰ってすぐに事情を知る人物達のみで報告と今後の方針会議が行われた。

俺の職業と転生者である事実を知る人物達。ここにいるすべてだ。

まず両親と姉さんと俺と十歳の年の離れた兄さんそして村長と教会の神父だ。

俺と十歳年の離れた兄さんは異母兄弟で実は覇王の末裔ではない。母さんは後妻にあたり先妻と母さんは親友同士だったという経緯がある。

覇王の末裔を持つのは母さんだ。そのせいでいろいろあったらしい。

「鑑定をするよ。いいねリュウ」

姉さんが鑑定スキルを俺に使う。

俺は覚悟を決めて頷いた。

「どうぞ」

鑑定で出た俺のスキルと特技と呪文の数々を見て一同は驚愕していた。

数年前にした鑑定では出なかったものが多い。

記憶がないのだから当然だ。

呪文特技全てが出なかったのだから。また記憶がないゆえに出現しないスキルもあり俺のステータスは激変していた。

そのスキルとは王者の証・覇王の結晶・叡智の結晶・覇王の覇道記・叡智の魔術記の5つだ。


「すさまじいのう」

村長はその一言しか出なかった。

教会の神父は疑問を持ったようだ。

覇王の覇道記・叡智の魔術記この二つのスキルだ。

「この二つのスキルは何なのでしょうか」

「多分俺の前世と前々世の詳細な記憶と思う。どうも条件が揃ってないようでまだ使えないけど」

「この王者の証とやらもそうなのか?」

兄さんの声に頷いた。

「おそらく何かの条件設定があるんだと思う。この証は記憶というよりスキル特技に近いかもしれない」

「じゃあこの結晶の二つはなんだ?」

姉さんがまじめに聞いてきた。

「この二つは明確にわかってるよ。前世の修練してきたすべての特技技能や呪文が詰まってる。俺の記憶している前世は二つ分だからその二つが結晶という形でスキル化してる」

「この抜刀術とやらはなんだ。聞いたことのない言葉だが?」

「ああこれは転生前におれが修練した技能だよ。武器は姉さんも見ただろうけどこの刀で使う剣術のことを抜刀術というんだ」

いうと俺は即時に愛刀修羅を出す。

「多分この世界ではだれも見たことないと思うよ。異世界の技能だしさ」

「異世界、って勇者召喚の異世界か?」

そう聞いてきた姉だ。

俺はうなずいた。

姉はさらに聞いてくる。

「ほかにも道具収納で持っている武器とかあるのか?」

「…あるよ。いろいろ」

「見せろ」

有無も言わさず父は言った。

俺は一息ついて隠すのを諦めた。

机の上にすべての武器と指輪を出した。

「これで全部だ。全部状態保全と譲渡不可がかかっているから持てないよ皆はね」

「この指輪もか?」

「これはちょっと違う。名をイヴの指輪といって譲渡不可なのは一緒だが破壊不可だからね。これが一番効果がすさまじい」

そこで気が付いたのが神父だ。

「イヴといえばわれらが神の聖名。まさか?」

俺はうなずいた。

「多分聖職者なら垂涎の指輪だろうな。神との通話を可能にするものだけどそれだけじゃなくあらゆる状態を防ぎ最善の体の状態を維持する機能がある」

神父は祈りをささげた。

「なぜそのような聖なる御物があるのですか」

「転生前にお願いされたからなイヴにこの世界をよろしくと。そのせいだろうな」

簡単に俺が言うと一同絶句された。

苦笑いしかできなかったが気を取り直す。

すると不意に指輪が光りだし宙に浮く。

「ん?」

しばらく見つめていると指輪は俺に向かって来るとあっさり右手薬指にはまる。

「げ」

驚いて外そうと試みるとこれが皮膚にでも縫い留められたかのように抜けない。

どんなにやっても外れないので軽く右手を振った。指輪をしているような違和感すらないので諦めた。

「外れない…。まいったな…」

「しかし右手薬指ですか。あるべき場所にはまりましたね」

「?」

不思議そうに俺は神父を見た。

「我ら聖職者は総じて神への信仰の証としてその身を神に捧げた身。その心は神に寄り添う証として右手薬指に指輪をするのです。その指輪を外さぬ限り神にその生涯を捧げる覚悟。いわゆる婚姻と同義」

「え」

「リュウ、貴方は真実、神に愛されしお方。その身の幸福は神の御心そのもの。どのような使命を神により授かったのかは聞きませんがひとりの人間として成長し、愛を知り、子を成し人生を全うすること、それこそが神の御心とおもうがよろしいでしょう」

「…そうだな」

俺は一息ついて拡げていた武具を仕舞った。

その後父が俺に聞いてきた。

「お前はどうしたい?」

「どう・・・とは?」

「成人後のことだ」

俺は押し黙った。

「私と同じように王国に仕えるかどうかということだ」

「それは…」

「もし私と同じように仕えたいというなら便宜は図るが、おそらく難しいのではないかなと思う」

暗に王者職業が王国仕えには不向きなのだ。

それは俺にも理解できる。

そして使命のことも考えると冒険者が妥当と思うのも事実だ。


「俺は冒険者になりたい」


「そうか」

父は納得顔だ。

「使命の一つに世界を回るというのがある。国仕えでは無理だ。成人までは自分を磨きたい。あらゆる意味で俺は世界を知らない。知りたい。そして魔物討伐も使命の一つでもある以上は鍛錬をして今の技能を使いこなさなければならないと思ってる。今はまだ年相応の力しかないから」

「やるべきことはわかってるのね、リュウ?」

母は俺に聞いてきた。

俺はその言葉に力強く頷いて見せる。

「だから今まで通りでいいよ。今まで通り、勉学と鍛錬に励む。それだけだ」

その顔つきは十歳の顔ではなかった。

一同は納得してくれた。

「もし俺の知識や力が必要ならいくらでも協力はできるから遠慮なくいってほしい」

俺は笑みを浮かべた。

「ここは俺の居場所だから」

父は感極まったのか俺の頭をかき混ぜるように撫でてきた。

「五年早いぞリュウ」




俺は村周辺で自己鍛錬をしつつも村人に魔法を教えて暇を見つけては自分の村周辺にあるもっと辺境にある街に出かけて魔物を討伐していた。これも勉強になるし浄化になるからだ。


この世界には冒険者ギルドという場所があるが成人していなければ登録できないため売ることしかできなかったがそれでもこの世界が異世界だということをリュウは実感したのだった。

それでも五年の歳月はリュウにとってあっという間であり自分の村周辺にある町は浄化し終わらすには十分だった。



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