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第30話:彷徨う森の薬師

いつもお読み頂きありがとうございます。


今回から新章になります。

エルフの女の子…個性的なキャラにできるように頑張ります。


最後までお読みいただけますと幸いです。

「はぁ…はぁ…、ここまで来れば…大丈夫か…。」


 きれいな緑色の髪を(なび)かせて、一人の美少女が森を駆ける。

 華奢な体つきに長い耳はエルフ族の特徴だ。

 彼女は弓を片手に、ひたすらに魔物から逃げていた。


「あんな強い魔物がいるなんて聞いていないよ…。弱い魔物しかいないって言っていたのに…。」


 魔物から逃れて木陰で一息ついていると、獣道で物音がする。


「!!?…また魔物?!うーん?吸血鬼族(ヴァンパイア)…?。」


 彼女は隠れながら物音の方にじーっと長い耳を立てる。


「…でさ~、あのママトが最高なのよ!」

「だよな!グラスランのママトは本当に旨い!!最高の血の味だ!!」


「…ママト?グラスラン?」



------------------------------------



 俺は家でぐーたらしている。

 ルナに包まれながら至福を感じている。

 あ~、癒される。

 窓の外をみると、賑わう我が街グラスランが見える。


 先日からグラスランとエルサムの交易が始まった。

 思ったよりも上手くっているみたいだ。

 特にうちのママトは吸血鬼(ヴァンパイア)の間で人気が高いらしい。なんでも「最高の血の味」とのこと。本当か!?

 うちもうちで助かっている。エルサムで採れる薬草は“毒消し薬”などの材料になるようで、俺が創造で作っている。スライムたちも「味の世界が広がった!!」とか言って喜んで薬草を食べている。


 吸血鬼の何人かは、うちの村でも生活をするようになったが、1日中陽が当たらないエルサムと違い、生活がしにくそうだ。ただ、その内何人かは俺とリンクをしていて、リンクをしたものは進化で日中も問題なく行動ができるらしい。今も、外で美味しそうにママトを食べている吸血鬼カップルが見える。羨ましいな、おい。


 …ん?よく見ると何やら見かけない種族がいるな。

 緑色の髪の毛に真っ白な肌。耳がキリっと長い。

 美人だが…口からは涎を垂らし、目が血走っている…。

 あっ!カップルからママトを奪った。

 おっ!ゴーレムにあっさり捕まった。


・・・


 その後、守衛のゴーレムが事情聴取のため俺のもとに連れてくる。


「すみません…悪気はなかったんです!お腹が空き過ぎて…つい…。本当にごめんなさい。」


 美少女は今もお腹の音を、ぐぅ~、と鳴らしている。


「わかった。吸血鬼族(ヴァンパイア)の二人も許してやってくれ。お詫びに、ママトを好きなだけ食べていいから。」

「え!?食べていいんですか?」

「いや、お前じゃなくて、吸血鬼(ヴァンパイア)たちに言ったの!」


 美少女は目を輝かして聞いてくる。少しおかしな()


「で、君は誰?どこから来たの?」

「よくぞ聞いてくれました。私は薬師のソフィアといいます。名前くらい聞いたことありますよね?」

「え?初めて聞くけど…。」

「うそ!?『薬師のソフィア』って、聞いたことないですか?!西の国じゃ一応有名人なんですけど…」

「知らないな。で、薬師のソフィアはここで何を?」

「え…ちょっとショックなんですけど…。私、もう少し自分が有名だと思っていたんですが…。」

「その話はいいから。で、ここで何を?」

「…私は西の聖ルクス国から来ました。何でもバッカナールで“メッタニ草”が売られていると聞いたので!そう、私、貴重な薬草には目がないんです!!」


 急にソフィアの話に熱が入る。

 やっぱり、どこか変な()だ。


「で、わざわざバッカナールに来たんですけど…なぜか内紛中じゃないですか!!おかげでメッタニ草が売ってる場所も分からないし!!国に帰りたくてもバッカナールで護兵団を見つけられない状態だし!!私、回復魔法は少し使えるんですけど、それ以外はからっきしなので…バッカナールの宿で大人しく静かにしていたんですよ。」


 ソフィアの話は止まらない。


「そしたら、聞こえたんです。宿の前で話している人たちが、『魔の森には珍しい薬草が自生している』って言っているのを!私確信しました!“メッタニ草”だ!って。だから、宿の人に場所を聞いて、魔の森に行こうと決めたんです。幸い魔の森()()()、何もない草原地帯だからスライムとかゴブリンとかそこまで強くない魔物しか遭わないって言ってたので、一人で無事に魔の森まで行けたんですけど…。」


 ソフィアの話が続く。


「そしたら…魔の森は強い魔物ばかりじゃないですか!!聞いていないです!そこからは本当に地獄で…死ぬかと思いました。熊のような魔物に襲われるわ、虎のような魔物に追われるわ、カボチャのおばけにからかわれるわ…ほんと死に物狂いで三日三晩逃げていたんです。碌にご飯も食べれなくて…魔の森には本当に薬草くらいしか生えていないんですよ!!」

「さっき薬草には目がないって…薬草があれば満足なんだろ?」

「それとこれとは別ですよっ!!!」


 なぜかキレられる。

 ソフィアはまだ続ける。


「で、魔物からやっと逃げ切って、あの二人を見つけたんです。三日ぶりにご飯の話を聞いたので、もう本当…わたしふらふらと…気づいたらこの街にいて…そして気づいたらママトを食べていました。」


 ソフィアは言いたいことを言って、満足気だ。

 「本当に大変だったんですから。」っと、念を押している。


「…長い。で、肝心の“メッタニ草”は見つかったのか?」

「あ!!そうでした!“メッタニ草”探していなかった!また魔の森に行きたいんですけど、この街には護兵団とかいますか?」

「兵士はいるけど…。」


 そこにライリーが通りかかる。


「お、ライリー。いい所にいた。この間エルサムからもらった薬草を見せてくれないか?」

「あ、ユラ様。いいですよ?エルサムの薬草、本当に美味しいんですよ!ユラ様も食べてみます?」

「こ!これ!!“メッタニ草”!!!これ!ください!!」



 やっぱりうちの街にあったようだ。 


ここまでお読み頂きありがとうございました。


よければブックマーク登録等を行って頂ける嬉しいです。

大変励みになります。


今後ともよろしくお願い致します。

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