第3話:3つの領土
ご愛読頂きありがとうございます。
強引な内容が続きますが、あと少しでファンタジーな内容を書ける…はずです。
引き続きお読みいただけますと幸いです。
「はじめまして、ユラです…。」
あたりが、シーンと静まり返る。
え?俺、何か変なこと言った?!
「ユラ…?おかしいですね。今宵は3柱のはずだったのですが…。」
白髪の紳士が困惑する。
「ユラさん…貴方は、エストラーダ様からの『印』をお持ちですか?」
「エストラーダ様?『印』?」
分からない単語出しすぎ。
まず、ここどこだよ。
「『印』とは、大魔王エストラーダ様から頂く誉れ高いスキルのこと。ユラさん、貴方は御呼びでない可能性がありますね。わたくしに、貴方のスキルを見せてください。『鑑定』。」
《告:「鑑定」スキルの使用を確認致しました。「秘匿」スキルを用いますか? はい/いいえ 》
《告:「鑑定」スキルの使用を確認致しました。「創造神の加護」により「鑑定」スキルの獲得が可能です。スキルを獲得しますか? はい/いいえ 》
無機質な言葉が矢継ぎ早に頭に響く。
よく分からない。
とりあえず、「はい」。
《告:「秘匿」の使用により、「鑑定」の一部レジストに成功しました。》
《告:「鑑定」の獲得に失敗しました。》
~鑑定結果~
《ステータス》
名前:シンドウ・ユラ
称号:魔王(序列49位)
武術:なし
魔術:火、水、風、雷
スキル:なし
固有武術:なし
固有魔術:なし
固有スキル:■■、■■
加護:■■
精霊:なし
リンク:なし
~~~~~~
「あれ?やはり『印』をお持ちでない。いや、でも”魔王”なのですね…。スキルも、何も持っていない?う~ん…。」
紳士が頭を悩ます。
「”固有スキル”は無いみたいですけど…”魔王”ということは、やはりエストラーダ様がお認めになった…?まぁ、いいです。こんなこともあるでしょう。でも、困りましたね。貴方たちに用意した領地は3つしかないのです。」
領地が3つ?これから俺たちどこかの土地を治めるのか?
「申し訳ございません。この世界の理をお伝えしておりませんでしたね。何も分かっていなさそうなユラさんのため、簡単にこの世界についてと、貴方がたの役割に関して説明させて頂きます。」
俺が”疑問の顔”ばかりをしていたためか、白髪紳士が答えてくれた。
「申し遅れましたが、私の名はアルバン=エルニド。自分で言うのも何ですが、古くからの魔王の一人で御座います。今宵の晩餐会『ヴァルプルギスの夜』を仕切らさせて頂いております。以後、お見知りおきを。」
改めて、白髪の紳士が麗しく一礼をする。
「この世界には、我らが大魔王エストラーダ様が治める魔属領パタゴニアを始め、いくつかの魔族の領土が御座います。貴方たちには、その一領土を豊かにして頂きたいと考えております。魔属領は基本的には豊富な魔素で満たされた土地であり、魔族や魔物以外が生活しにくい環境となっております。そのため、多くの魔物がいらっしゃいます。魔物は意思を持たず、本能のままに動きますが、一方で強い力には絶対服従を致します。あなた方には力を示し、これらの魔物を治め、この領地を豊かにして頂きたい。」
エルニドが続ける。
「しかしながら、この世には麗しき魔族以外にも、多くの種族・国が存在しております。特に、人間族の国々は厄介極まりなく、先日も魔属領の一部を奪おうと愚行を犯してきましたよ。彼らは、魔素が濃い地で作られる”魔石”を生活に必要としており、度々侵略行為を働いてくるのです。」
綺麗に整った白髪をかき上げながら、力を込めてエルニドは言う。
「ぜひ、貴方がたには、エストラーダ様に頂いた力を遺憾なく発揮して、人間族を打ち滅ぼし、更なる魔族の繁栄に貢献して頂きたい!」
なるほどなるほど。
この世のルールは分かりました。
けど、人間族は敵なのか?俺、もと人間だし、今は人間じゃないのか?
話の流れ的に、今は魔族ってやつになったのかな?
「と、言うわけで、あなた方には3つの領土を用意致しました。1つ目は、北の山岳地帯にある街、トライデンです。少し寒いですが、山岳地帯には豊富な鉱脈もあり、今後の領土の発展には困りませんねぇ。もう一つは、雨の町ウェルチ。ちょっとジメジメしていますが、豊富な水資源があり、周りに魔物も沢山いそうですねぇ。最後はオススメ、夜の街トラム。もうすでに発展したオシャレな街ですが、前の魔王さんが色々あって死んでしまいまして、後任を探していました。ここには、レディーファーストということで、アーシェさんに行ってもらいましょう。あ、忘れていました、ユラさん。用意していませんでしたので、適当に辺境の地をご用意致しますね。」
と、エルニドがお茶目にウィンクする。
ちょっと!辺境の地!?
「話が長くなりました。そろそろ、今回の『ヴァルプルギスの夜』も締めの時間です。これからの皆様のご活躍と、魔族の益々の発展を祈念致しまして、会を締めさせて頂きましょう。」
エルニドが高らかに宣言すると、会場は再び薄暗くなる。
ああ…エルニドさん。
色々聞きたいことあるのに…。
気がづくと、ユラは何もない草原にいた。気がつく
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